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4 意地悪な男
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「契約成立だ。よろしく」
「……よろしく」
そんな風にお互いの目的のための契約結婚の約束が結ばれた。
一、お互い異性としての好意を持ってはいけない
ニ、アンナの命はジルヴェスターが守る
三、アンナの衣食住はバルト公爵家が保証する
四、外では仲睦まじい夫婦を演じる
五、半年婚約者として過ごし、その後結婚する
とりあえず二人で五項目を取り決めた。詳しいことは追い追い相談するという話になった。
「仲睦まじいフリはする必要あるの?どんなにあなたのことが好きな女性がいても、結婚した相手にあからさまに迫ってこないでしょう?」
私が首を傾げると、ジルヴェスターは何を言っているんだという顔を私に向けた。
「あるに決まっているだろう!私の結婚相手が異国人だと知ればすぐに第二夫人……いや、自分を第一夫人にして君を側室にしろと迫ってくる女が溢れるに違いない。だからこそ私達は相思相愛で、他の女など目に入らない振りをせねばならない」
「相思相愛とか振りでも無理でしょ!てゆーか……第二夫人って、この国は一夫多妻制なの!?」
「財のある者は何人妻を持ってもいい。君の国では違うのか?」
うわぁ……最悪だ。日本で育った私的にはそれは受け入れ難い制度だわ。
「日本は一夫一妻よ!結婚してるのに他の人と付き合ったら不法行為なんだから」
「そうなのか。変わった国だな」
「この国の方が変わってるわよ!」
結婚相手に何人も愛人がいるなんて、私なら耐えられないれないわ。
「私達は男女関係を持たない結婚だ。だから、アンナがどこで誰とも何をしても構わない。だが、後々面倒なことになるので子どもは作らないでくれ。あとは世間にバレないように内密にするように」
「……は?」
私は意味がわからず、低い声が出た。この男は一体何を言っているのだろうか?
「そうだな。気に入った男がいたら私に報告しろ。周囲にバレないように我が家に入れるように手配してやるから」
目の前の男はニコリと微笑んで、そんな頭のおかしなことを言っている。
「馬鹿じゃないの!契約とはいえ、結婚するのに浮気するはずないでしょ。あんたのことは好きじゃないけど、妻になるのに浮気なんてしないから」
そう伝えるとジルヴェスターは首を傾げ、理解できないという風な顔をした。
「私は君のために言ったんだが?貞淑な妻の『フリ』だけでいい」
「いりません!」
「そうか。まあ、君の自由だ。好きにしてくれ」
この男は本当に失礼な男だ。少し見た目が良いからって、こんな男がもてるとは思えないんだけど。
「じゃあ、とりあえず私の妻として恥ずかしくない振る舞いを身に付けてくれ」
ジルヴェスターは私に美しい顔でニコリと微笑んだ。その笑顔は感情が伴っていない恐ろしいもので、ゾクリと背中に冷汗が流れた。
――なんか嫌な予感。
「パチーニャ王国の歴史や言葉遣い、テーブルマナーにダンスは最低でも覚えろ」
「……え?」
「仮とはいえ、君は公爵家の妻になるんだ。私の恥にならないように励んでくれ。多少の粗は『異国人だから』と誤魔化してやる」
それってまさか、この国の貴族文化を色々覚えろってこと?めちゃくちゃ大変そうじゃないか!
「そんなこと契約に入ってなかったじゃない」
「私の妻になる以上当たり前のことだ」
「そんなの詐欺よ!なんで私があんたのために頑張らなくちゃいけないの?」
そう言った私を見て、ジルヴェスターは再び微笑んだ。
「嫌なら契約破棄だ。何もわからぬこの土地で、無一文の君が外に放り出されたらどうなるだろうな?外には魔物も沢山いる。明日には体が冷たくなっているかもしれないが……仕方がないな」
私はそれを想像してサーっと青ざめた。この国には魔物がいるの!?そんな場所に今放り出されたらまずい。
「そんな脅しみたいなこと……」
「知り合ったのも何かの縁だ、せめて骨は拾って弔ってやろう」
「…………るわよ!」
「ん?何と言ったんだ」
「やるわよっ!貴族っぽい振る舞いができればいいんでしょ!?やってやるわよ!!」
悔しいが、今はこうするより他に仕方がない。ならばとりあえずはこの性悪男の言うことを聞いて、色々と覚えて生き延びるしかないではないか。
「やる気になってくれてよかった。アンナは今日から私の婚約者だ」
私がギロッと睨みつけると、ジルヴェスターは「そんな顔をしても怖くないぞ」と鼻で笑った。
絶対こいつをいつかギャフンと言わせてやるんだから。私はそう心に誓った。
「ラルフ!今日からアンナは私の婚約者として我が家で暮らす。そのことを全使用人に徹底させろ。契約結婚だということは、我が家だけの秘密だ。他言させぬように」
「かしこまりました」
「アンナは大切な契約相手だ。丁重にもてなせ」
「はい」
ジルヴェスターはテキパキと指示を出し、さっき入った部屋は私の部屋としてすぐに整えられた。
「金は常識の範囲内なら好きに使って構わない。足りぬことがあれば侍女のニーナに言え」
好きにお金を使えと言われても、見知らぬ国で何に使っていいかわからない。
「生活もレッスン以外は好きに暮らせ。だがそうだな……あまりにお互い顔を合わせないのも後でボロが出そうだ。私達はモーニングだけ一緒に取ることにしよう。あとは全て別だ」
「わかったわ」
一日一回この男と顔を合わせるのも不本意だけど!だが、養ってもらう身なので文句は言えない。
「じゃあまた明日」
どうやら晩御飯を一緒に食べる気はないらしい。まあ、そのほうが気が楽だけどね。
「おやすみ!」
もう今日は顔は見ないぞ!という嫌味も込めてまだ真昼間にも関わらずそう言ってやった。
「ああ、おやすみ。良い夜を」
ジルヴェスターはくっくっくと笑いながら片手をあげて、自室に消えていった。
「ムカつく……」
そう呟いたところをラルフにしっかりと聞かれてしまった。目がバッチリ合って少し気まずくなる。自分の仕えている主人の悪口って微妙よね。
「アンナ様、この家の案内をさせていただきますね」
ラルフはまるで何も聞いていない、という顔で優しく微笑んだ。見事な素知らぬフリ……さすが優秀そうな執事なだけあるわね。
それから城のように広い家の中を案内してもらうだけですごい時間がかかった。もう足が痛い。何この家……たぶん一人でうろうろしていたら迷子になる。
「とりあえずは以上です。お疲れ様でした。少しお休みになってください。その後ディナーの準備をさせていただきます」
「……ありがとうございます。すみません」
「礼など不要です。時間になればニーナから声をかけさせます」
恭しく頭を下げられて、私は何となく居心地が悪い。私なんかにこんな丁寧にしてくれなくてもいいのに。
はあ、疲れた。私はこの国で本当に暮らしていけるのだろうか。フカフカのベッドに寝転がりながらそんなことを考えていた。
それからしばらくすると、ノック音がしてリビングに案内された。テーブルには豪華な料理が所狭しと並んでいる。
「すごく美味しそう。ねぇ、みんなは食べないの?」
「私達は後でいただきます」
「こんな広い場所で一人で食べるとか寂しいんだけど。一緒に食べようよ!」
そう伝えたがニーナに「お気持ちだけ受け取っておきます」と誤魔化されてしまった。だから仕方なく一人で座って食べることにした。
沢山のカトラリーが並べられている……こんなに出したら洗うの大変じゃないの。ナイフとフォーク一本ずつでいいのに。
「今夜は気にせず、好きにお食べください。正しいマナーはまた明日先生から学びましょう」
「……そうします」
どうせマナーなんてわからないので、私は諦めて普通に食事を楽しむことにした。
「美味しい!」
柔らかいお肉に濃厚なスープ、沢山の野菜が入ったサラダ……めちゃくちゃ豪華なご飯だ。
「お口に合ってよかったです」
ラルフやニーナは嬉しそうにニコニコと私を温かく見守ってくれている。他の使用人達も何故か私にとても優しい。こんな謎の異国人が急にこの家の奥さんになるなんて嫌だろうに……なんでなんだろう?
「なんでみんなは私にそんなに優しいの?」
そう質問すると、使用人達は顔を見合わせ眉を下げた。
「私達は旦那様が久々に楽しそうにされているのが嬉しいのです。全部アンナ様のおかげです」
楽しそう……?あれで?どこが?
「どこが楽しそうなの!?あの男に嫌味しか言われてないのに」
「……旦那様は本当はお優しい方なんです。過去に御令嬢方から色んな被害を受けたので、女性不信になられているだけです。どうか許して差し上げてください」
そう言われてしまうと、そうなのか……可哀想だなと同情してしまった。
「ねえ、ずっと不思議だったんだけどジルヴェスターのご両親はどこにいるの?」
「……数年前にお二人とも交通事故で亡くなられました」
じゃあ、このものすごく広い屋敷に彼はたった一人で暮らしているのか。この家に使用人は沢山いるけれど、家族と使用人じゃやっぱり違うものね。性格がねじ曲がるのもわかる気がする。
「そうなのね。仮の妻とはいえ、なるべく仲良くなれるように頑張ってみる」
「アンナ様、ありがとうございます」
その夜はとても穏やかに過ぎていった。使用人達とも打ち解けて、仲良くなれた気がしたのでなんとかここでやっていけるかも……と安心して眠りについた。
そして転生して一ヶ月。私はこの契約を結んだことを猛烈に後悔していた。やはりこの男と上手くやっていけるはずなどなかった。
「ガチャガチャ音を立てるな。朝から不愉快だ」
私は今、持っているナイフを目の前の男に投げつけようか迷っている。
「公爵夫人になるお前がそれでは、私の名が落ちる。しっかり勉強しろ。テーブルマナーができないなら食べるな」
――私はやっぱりこの男のことが嫌いだ。
「……よろしく」
そんな風にお互いの目的のための契約結婚の約束が結ばれた。
一、お互い異性としての好意を持ってはいけない
ニ、アンナの命はジルヴェスターが守る
三、アンナの衣食住はバルト公爵家が保証する
四、外では仲睦まじい夫婦を演じる
五、半年婚約者として過ごし、その後結婚する
とりあえず二人で五項目を取り決めた。詳しいことは追い追い相談するという話になった。
「仲睦まじいフリはする必要あるの?どんなにあなたのことが好きな女性がいても、結婚した相手にあからさまに迫ってこないでしょう?」
私が首を傾げると、ジルヴェスターは何を言っているんだという顔を私に向けた。
「あるに決まっているだろう!私の結婚相手が異国人だと知ればすぐに第二夫人……いや、自分を第一夫人にして君を側室にしろと迫ってくる女が溢れるに違いない。だからこそ私達は相思相愛で、他の女など目に入らない振りをせねばならない」
「相思相愛とか振りでも無理でしょ!てゆーか……第二夫人って、この国は一夫多妻制なの!?」
「財のある者は何人妻を持ってもいい。君の国では違うのか?」
うわぁ……最悪だ。日本で育った私的にはそれは受け入れ難い制度だわ。
「日本は一夫一妻よ!結婚してるのに他の人と付き合ったら不法行為なんだから」
「そうなのか。変わった国だな」
「この国の方が変わってるわよ!」
結婚相手に何人も愛人がいるなんて、私なら耐えられないれないわ。
「私達は男女関係を持たない結婚だ。だから、アンナがどこで誰とも何をしても構わない。だが、後々面倒なことになるので子どもは作らないでくれ。あとは世間にバレないように内密にするように」
「……は?」
私は意味がわからず、低い声が出た。この男は一体何を言っているのだろうか?
「そうだな。気に入った男がいたら私に報告しろ。周囲にバレないように我が家に入れるように手配してやるから」
目の前の男はニコリと微笑んで、そんな頭のおかしなことを言っている。
「馬鹿じゃないの!契約とはいえ、結婚するのに浮気するはずないでしょ。あんたのことは好きじゃないけど、妻になるのに浮気なんてしないから」
そう伝えるとジルヴェスターは首を傾げ、理解できないという風な顔をした。
「私は君のために言ったんだが?貞淑な妻の『フリ』だけでいい」
「いりません!」
「そうか。まあ、君の自由だ。好きにしてくれ」
この男は本当に失礼な男だ。少し見た目が良いからって、こんな男がもてるとは思えないんだけど。
「じゃあ、とりあえず私の妻として恥ずかしくない振る舞いを身に付けてくれ」
ジルヴェスターは私に美しい顔でニコリと微笑んだ。その笑顔は感情が伴っていない恐ろしいもので、ゾクリと背中に冷汗が流れた。
――なんか嫌な予感。
「パチーニャ王国の歴史や言葉遣い、テーブルマナーにダンスは最低でも覚えろ」
「……え?」
「仮とはいえ、君は公爵家の妻になるんだ。私の恥にならないように励んでくれ。多少の粗は『異国人だから』と誤魔化してやる」
それってまさか、この国の貴族文化を色々覚えろってこと?めちゃくちゃ大変そうじゃないか!
「そんなこと契約に入ってなかったじゃない」
「私の妻になる以上当たり前のことだ」
「そんなの詐欺よ!なんで私があんたのために頑張らなくちゃいけないの?」
そう言った私を見て、ジルヴェスターは再び微笑んだ。
「嫌なら契約破棄だ。何もわからぬこの土地で、無一文の君が外に放り出されたらどうなるだろうな?外には魔物も沢山いる。明日には体が冷たくなっているかもしれないが……仕方がないな」
私はそれを想像してサーっと青ざめた。この国には魔物がいるの!?そんな場所に今放り出されたらまずい。
「そんな脅しみたいなこと……」
「知り合ったのも何かの縁だ、せめて骨は拾って弔ってやろう」
「…………るわよ!」
「ん?何と言ったんだ」
「やるわよっ!貴族っぽい振る舞いができればいいんでしょ!?やってやるわよ!!」
悔しいが、今はこうするより他に仕方がない。ならばとりあえずはこの性悪男の言うことを聞いて、色々と覚えて生き延びるしかないではないか。
「やる気になってくれてよかった。アンナは今日から私の婚約者だ」
私がギロッと睨みつけると、ジルヴェスターは「そんな顔をしても怖くないぞ」と鼻で笑った。
絶対こいつをいつかギャフンと言わせてやるんだから。私はそう心に誓った。
「ラルフ!今日からアンナは私の婚約者として我が家で暮らす。そのことを全使用人に徹底させろ。契約結婚だということは、我が家だけの秘密だ。他言させぬように」
「かしこまりました」
「アンナは大切な契約相手だ。丁重にもてなせ」
「はい」
ジルヴェスターはテキパキと指示を出し、さっき入った部屋は私の部屋としてすぐに整えられた。
「金は常識の範囲内なら好きに使って構わない。足りぬことがあれば侍女のニーナに言え」
好きにお金を使えと言われても、見知らぬ国で何に使っていいかわからない。
「生活もレッスン以外は好きに暮らせ。だがそうだな……あまりにお互い顔を合わせないのも後でボロが出そうだ。私達はモーニングだけ一緒に取ることにしよう。あとは全て別だ」
「わかったわ」
一日一回この男と顔を合わせるのも不本意だけど!だが、養ってもらう身なので文句は言えない。
「じゃあまた明日」
どうやら晩御飯を一緒に食べる気はないらしい。まあ、そのほうが気が楽だけどね。
「おやすみ!」
もう今日は顔は見ないぞ!という嫌味も込めてまだ真昼間にも関わらずそう言ってやった。
「ああ、おやすみ。良い夜を」
ジルヴェスターはくっくっくと笑いながら片手をあげて、自室に消えていった。
「ムカつく……」
そう呟いたところをラルフにしっかりと聞かれてしまった。目がバッチリ合って少し気まずくなる。自分の仕えている主人の悪口って微妙よね。
「アンナ様、この家の案内をさせていただきますね」
ラルフはまるで何も聞いていない、という顔で優しく微笑んだ。見事な素知らぬフリ……さすが優秀そうな執事なだけあるわね。
それから城のように広い家の中を案内してもらうだけですごい時間がかかった。もう足が痛い。何この家……たぶん一人でうろうろしていたら迷子になる。
「とりあえずは以上です。お疲れ様でした。少しお休みになってください。その後ディナーの準備をさせていただきます」
「……ありがとうございます。すみません」
「礼など不要です。時間になればニーナから声をかけさせます」
恭しく頭を下げられて、私は何となく居心地が悪い。私なんかにこんな丁寧にしてくれなくてもいいのに。
はあ、疲れた。私はこの国で本当に暮らしていけるのだろうか。フカフカのベッドに寝転がりながらそんなことを考えていた。
それからしばらくすると、ノック音がしてリビングに案内された。テーブルには豪華な料理が所狭しと並んでいる。
「すごく美味しそう。ねぇ、みんなは食べないの?」
「私達は後でいただきます」
「こんな広い場所で一人で食べるとか寂しいんだけど。一緒に食べようよ!」
そう伝えたがニーナに「お気持ちだけ受け取っておきます」と誤魔化されてしまった。だから仕方なく一人で座って食べることにした。
沢山のカトラリーが並べられている……こんなに出したら洗うの大変じゃないの。ナイフとフォーク一本ずつでいいのに。
「今夜は気にせず、好きにお食べください。正しいマナーはまた明日先生から学びましょう」
「……そうします」
どうせマナーなんてわからないので、私は諦めて普通に食事を楽しむことにした。
「美味しい!」
柔らかいお肉に濃厚なスープ、沢山の野菜が入ったサラダ……めちゃくちゃ豪華なご飯だ。
「お口に合ってよかったです」
ラルフやニーナは嬉しそうにニコニコと私を温かく見守ってくれている。他の使用人達も何故か私にとても優しい。こんな謎の異国人が急にこの家の奥さんになるなんて嫌だろうに……なんでなんだろう?
「なんでみんなは私にそんなに優しいの?」
そう質問すると、使用人達は顔を見合わせ眉を下げた。
「私達は旦那様が久々に楽しそうにされているのが嬉しいのです。全部アンナ様のおかげです」
楽しそう……?あれで?どこが?
「どこが楽しそうなの!?あの男に嫌味しか言われてないのに」
「……旦那様は本当はお優しい方なんです。過去に御令嬢方から色んな被害を受けたので、女性不信になられているだけです。どうか許して差し上げてください」
そう言われてしまうと、そうなのか……可哀想だなと同情してしまった。
「ねえ、ずっと不思議だったんだけどジルヴェスターのご両親はどこにいるの?」
「……数年前にお二人とも交通事故で亡くなられました」
じゃあ、このものすごく広い屋敷に彼はたった一人で暮らしているのか。この家に使用人は沢山いるけれど、家族と使用人じゃやっぱり違うものね。性格がねじ曲がるのもわかる気がする。
「そうなのね。仮の妻とはいえ、なるべく仲良くなれるように頑張ってみる」
「アンナ様、ありがとうございます」
その夜はとても穏やかに過ぎていった。使用人達とも打ち解けて、仲良くなれた気がしたのでなんとかここでやっていけるかも……と安心して眠りについた。
そして転生して一ヶ月。私はこの契約を結んだことを猛烈に後悔していた。やはりこの男と上手くやっていけるはずなどなかった。
「ガチャガチャ音を立てるな。朝から不愉快だ」
私は今、持っているナイフを目の前の男に投げつけようか迷っている。
「公爵夫人になるお前がそれでは、私の名が落ちる。しっかり勉強しろ。テーブルマナーができないなら食べるな」
――私はやっぱりこの男のことが嫌いだ。
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