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贈り物の行方
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闇雲に、ただ西へ向かってジープを走らせた。
太陽は高く、その上空をさっきから敵の戦闘機が見え隠れしている。
セイフは何処へ向かったのか。いてもたってもいられなく走り出したが、砂漠は広く当てもなく動くのは自殺行為だ。僕は一旦ジープを停車させ、ハンドルに頭をもたげ考えた。慎重なセイフがひとりで行動するなんてあり得ない。普段のセイフなら、絶対にこんな行動はしないはずだ。一体何故だ?冷静に考えてみると、一つの考えにぶつかった。
もしかして……特別な何かだった?
まさか……いや、そんな奢ったことを考えるなんて。あぁ、でもそれしか考えられない。明日は僕の誕生日、すなわちセイフと再び重なる約束をしていた。僕の誕生日には、必ずさりげなく温かい贈り物をしてくれたセイフ。去年の贈り物はセイフ自身だった。今年もセイフをもらうつもりだった。でもセイフは、もしかして僕に贈り物をしようと?
数日前の会話を思い出した。
****
「なぁパドゥル……お前の両親の形見はこの刀だけなのか」
「あぁ、奇襲は明け方だったから、なにも持ち出せなかった」
「そうか……寂しいもんだな。何もかも一瞬で消えてしまうのは」
「そんなこと……セイフこそ、何も思い出がないだろう?」
「いや、ひとつだけある。これだ」
そう言いながら、シャツの胸元の奥のいつもつけていたネックレスを指さした。
いつも首元にチェーンが見え隠れして気になっていたが、そうか……セイフの肉親の思い出の品だったのか。セイフがそれを取り出すとチェーンの先に小さな指輪がついていた。
「それは?」
「…オレのバースデーリングだ。名前と誕生日が彫られていた。両親とはぐれたらしいオレにはこれがすべての手掛かりだった」」
「そうなのか……」
「あぁ、小さなオレはこれを握っていたそうだ」
「……セイフ」」
「お前にも、あるといいな。何か一つだけでも残っていればいいのに……」
****
それにしても西に何があるのか。建物らしきものはない。しいて言えば廃屋の町、僕の生まれ故郷があるのみ。そこまで思考を巡らせて、はっとした。まさかセイフはあの神殿の跡地に……僕の故郷へ行ったのか。一か八か……僕は再びジープを巡らせ走り続けた。
****
「パドゥル……」
乾ききった喉では、まともに声を出せない。だが呼ばずにはいられない。お前のことを……
白昼夢を見ていた。パドゥルがオレを助けにくる甘い夢を……俺に跨り、大粒の涙をポロポロと落とす、精悍なお前の顔……オレが育てた男。
そんな最中、鎖が突然切られてバサリを砂の上に躰が崩れ落ち、朦朧としていた意識が、ふっと正気になった。
何が起きたのか理解できず、でも気配はパドウゥルのものじゃなくて、恐怖心が湧いた。
誰だ……砂埃の向こうに立っている奴は……
「なんで……お前が……」
目を開き……視界に映った相手に、驚愕した。
太陽は高く、その上空をさっきから敵の戦闘機が見え隠れしている。
セイフは何処へ向かったのか。いてもたってもいられなく走り出したが、砂漠は広く当てもなく動くのは自殺行為だ。僕は一旦ジープを停車させ、ハンドルに頭をもたげ考えた。慎重なセイフがひとりで行動するなんてあり得ない。普段のセイフなら、絶対にこんな行動はしないはずだ。一体何故だ?冷静に考えてみると、一つの考えにぶつかった。
もしかして……特別な何かだった?
まさか……いや、そんな奢ったことを考えるなんて。あぁ、でもそれしか考えられない。明日は僕の誕生日、すなわちセイフと再び重なる約束をしていた。僕の誕生日には、必ずさりげなく温かい贈り物をしてくれたセイフ。去年の贈り物はセイフ自身だった。今年もセイフをもらうつもりだった。でもセイフは、もしかして僕に贈り物をしようと?
数日前の会話を思い出した。
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「なぁパドゥル……お前の両親の形見はこの刀だけなのか」
「あぁ、奇襲は明け方だったから、なにも持ち出せなかった」
「そうか……寂しいもんだな。何もかも一瞬で消えてしまうのは」
「そんなこと……セイフこそ、何も思い出がないだろう?」
「いや、ひとつだけある。これだ」
そう言いながら、シャツの胸元の奥のいつもつけていたネックレスを指さした。
いつも首元にチェーンが見え隠れして気になっていたが、そうか……セイフの肉親の思い出の品だったのか。セイフがそれを取り出すとチェーンの先に小さな指輪がついていた。
「それは?」
「…オレのバースデーリングだ。名前と誕生日が彫られていた。両親とはぐれたらしいオレにはこれがすべての手掛かりだった」」
「そうなのか……」
「あぁ、小さなオレはこれを握っていたそうだ」
「……セイフ」」
「お前にも、あるといいな。何か一つだけでも残っていればいいのに……」
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それにしても西に何があるのか。建物らしきものはない。しいて言えば廃屋の町、僕の生まれ故郷があるのみ。そこまで思考を巡らせて、はっとした。まさかセイフはあの神殿の跡地に……僕の故郷へ行ったのか。一か八か……僕は再びジープを巡らせ走り続けた。
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「パドゥル……」
乾ききった喉では、まともに声を出せない。だが呼ばずにはいられない。お前のことを……
白昼夢を見ていた。パドゥルがオレを助けにくる甘い夢を……俺に跨り、大粒の涙をポロポロと落とす、精悍なお前の顔……オレが育てた男。
そんな最中、鎖が突然切られてバサリを砂の上に躰が崩れ落ち、朦朧としていた意識が、ふっと正気になった。
何が起きたのか理解できず、でも気配はパドウゥルのものじゃなくて、恐怖心が湧いた。
誰だ……砂埃の向こうに立っている奴は……
「なんで……お前が……」
目を開き……視界に映った相手に、驚愕した。
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完結おめでとうございます。そしてお疲れ様でした(^^)
ひとつの幸せな物語を知ることができてよかったです。
まだまだ彼らの物語は続いていく、そんな後味を持てたことが嬉しいです。
ありがとう!(^^)! 藍白。
あーちゃ、コメントをありがとう♡
最後まで書ききりました。今度は幸せの余韻に浸れるかな~♪
私も彼らを幸せにしてあげることが出来てほっとしています。
書いていて、とても気持ちが良かったです。
読んでくれてありがとう♪(^^)/
私も君がいればいいっ!! と叫ばずにはいられないっ!! キタ━(゚∀゚)━! ネ、ネタばれか|д゚)!!
更新ありがとー!(^^)! ナイス更新!!
のほほんと続き待ってま~す( ̄▽ ̄)。。☆
あーちゃ♡感想をありがとう!
ノリノリで更新してしまったわ。不憫からの救いが好きすぎて……
パドゥル間に合ったよ!さて逃避行だね。次は^^
楽しみながら書いているわ。あーちゃとゆっくりおしゃべりもしたいです♡
奪い取ったああああっ!! 走れ、パドゥル――っ!! 西だああっ、西いいいっ!!
うみちゃ!! 更新だよぉぅ。大丈夫、間に合うよ、間に合うんだよっヾ(≧▽≦)ノと、熱いエールを送ってみる。
不憫路線同盟、がんばろーね!笑。
更新ありがとうございます(*ノωノ) 続き待ってるね☆
あーちゃ、実に12日ぶりに新しい話を書いたわ。今まで毎日更新していたので……自分でも戸惑ってしまった。ずっとこの子たちのこと気になっていたの。間に合うよね?急げーって応援していてね。きっと、間に合う!!
続きも半分くらい書いてあるので待っていてね。幸せにしてあげたい!!感想をどうもありがとう♡嬉しかったよ~