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発展編
Let's go to the beach 13
「宗吾さん……あのっ待ってください」
「風呂だ!風呂に行くぞ」
「あっはい」
宗吾さんと芽生くんの後を追い風呂場に向かう道すがら、僕の心臓はまだかなりドキドキしていた。
しかし芽生くんがあのタイミングで起きてしまうなんて驚いた。そして宗吾さんの言い訳もかなり厳しかった。そんな宗吾さんが可愛くも思え……不謹慎だが楽しい気持ちになってしまった。
「瑞樹、何笑っている?」
「あっいえ」
うわっ……見つめられるとやっぱりドキっとするな。
さっき確かに宗吾さんの大きな手が僕の平らな胸に触れて……そのままギュッと揉まれてしまった。
はぁ……躰が火照るよ。
僕の弟の名をしっかりと呼んでくれたのも、宗吾さんだ。
本当にあなたに話せてよかったと思っています。
宗吾さんの口が「夏樹」と発音した時はゾクッとした。僕の好きな人が大事な弟の名を口にしてくれるなんて……素直に嬉しかったです。
あの子はたった四歳であの世に逝ってしまったから、夏樹のことを覚えている人が僕以外……誰もいないから。
(おにいちゃんっ、おにいちゃん、だーいすき!)
僕の心の中には、まだ聴こえるよ。夏樹が僕を呼ぶ甘えた可愛い声がちゃんとね。
幼い夏樹にとって唯一の救いは、両親と一緒に逝けたことなのかな。
天国で寂しくなかったかい?
ひとり残された僕はね、本当はすごくすごく……寂しかったよ。
(どうして僕だけ置いて、みんな逝っちゃったの)
親戚の人たちが僕のことを厄介者のように冷たい目で見ている。憐れな目、避ける目……皆の視線が怖かったよ。
(怖い……僕も逝きたい……ひとりはいやだ。僕も夏樹と一緒にパパとママの所に一緒に逝きたいよ。家族と一緒なら怖くない。そうだ……今日のお葬式が終わったら、僕も皆の所に逝こう。でも……どうやったら逝けるのかな)
幼心に真剣に後追いについて考えていた。
雨に濡れる樹の更に上の天上を見上げ、まもなくそこへ逝くことをそっと誓った。
でも……そんな時広樹兄さんと目が合ったんだ。優しい目をした兄さんの視線を受け、何となく会釈した。それから暫くして……僕のことを兄さんと母さんが迎えに来てくれた。
僕が生きていることが嬉しいと、僕の胸の鼓動を確かめてくれた宗吾さん。
僕はあの時死を選ばなくて……よかったのですね。
もしかしたら僕は……ずっと誰かに必要とされたかったのかもしれない。
一馬に抱かれたのは、そんな理由もあった。アイツの愛は温かくて心地良かったから。
でもあいつは僕を置いていってしまった。
もう置いていかれるのは嫌だ。
宗吾さんにずっとついて行きたい。
それは……逝きたいんじゃなくて、生きたい。
こんな風に想えるなんて……宗吾さんの愛はすごい!
****
「瑞樹、悪い。芽生がおしっこだって。先に風呂入っていてくれるか」
「僕が芽生くんに付き添いましょうか」
「大丈夫だよ。すぐ戻るよ」
保養所の大風呂は大きくないようだ。脱衣籠が十個程度棚に並んでいて、そのうち四つが使われていたので、先客がいるようだ。
僕は少しだけ裸になるのを戸惑っていた。
馬鹿だな瑞樹……いつまでも気にしてもしょうがない。
和解はしたが四宮先生にトイレで股間を弄られたことや、潤にかつて家の風呂場で躰を執拗に触れられた過去を思うと、他人と一緒に風呂に入るのが怖いのが本音だった。
「タオル……腰に巻くのは、いくら何でもやり過ぎかな」
だからしっかり白いフェイスタオルで股間を隠して中に入ると、驚いたことに昼間海で一緒に過ごした洋くんが立っていた。
「あっ……」
「また会えて嬉しいです」
「僕もです。洋くん」
洋くんの方は腰にしっかりタオルを巻きつけて、キュッと結わいていた。さっき僕が悩んだやつだ。思考回路が似ているのかな、君とは……
お互いタオルで前を隠して、気恥ずかしそうな笑みを浮かべ合った。
でも彼……すごくいい。なんだかホッとする。
暫く喋っていると、芽生くんの元気な声が聞こえてきた。
「わぁ~大きい~広い~!」
「芽生くん走ったら駄目だよ!」
さっき注意したのに、芽生くんは走り出し、まるでバナナの皮でも踏んだかのようにツルっと滑ってしまった。
「危ない!」
咄嗟に芽生くんの後ろに回り込んだ。
尻もちをついても痛くないように、僕が盾になる!
ドシッという衝撃に一瞬目を瞑ってしまったが、僕の足に芽生くんの可愛いお尻がちょこんと乗っていたので間に合ったようだ。
ところが……
ん?
芽生くんが咄嗟に洋くんの腰巻きタオルを掴んでしまったようで、洋くんのタオルがひらりとはだけて、空に舞い、風呂場の濡れた床にベシャッと落ちた。
洋くんはその衝撃で尻もちをついてしまったから、股を大きく開いたような姿になっていた。その内股のかなり際どい部分に、大量の痣がついているのが丸見えになってしまった。
僕にはそれが何か、すぐに分かった。
すごい数だ……洋くん……すごく愛されているんだね。君の相手はあのお医者さんだ。そう考えると、僕の方も恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。
僕の膝の上の芽生くんがそれをじっと見て、いきなり泣き出したのには驚いた!
「芽生くんどうした?どこか痛い?」
「おっおにいちゃんだいじょうぶなの?」
「え?」
「わ!どうしよう!ボクが洋お兄ちゃんに、大けがさせちゃったぁ!」
宗吾さんが芽生くんの泣き声を聴いて、すっ飛んできた。
「どうしたんだ?芽生!」
「おっおにいちゃんのここ、いっぱいお怪我してるの!これ全部メイのせいだ!ごっごめん」
怪我って……えっと……あっまさかアレを?うわぁ……芽生くんの誤解にどう反応したらいいのか分からない。
「あっ……あの、その……」
洋くんもかなりたじろいでいる。もう、しどろもどろで見ていられないよ。
でも分かる……その気持ち!
先日兄さんや宗吾さんの前に素っ裸で飛び出した僕も、そんな気持ちだったから。
「風呂だ!風呂に行くぞ」
「あっはい」
宗吾さんと芽生くんの後を追い風呂場に向かう道すがら、僕の心臓はまだかなりドキドキしていた。
しかし芽生くんがあのタイミングで起きてしまうなんて驚いた。そして宗吾さんの言い訳もかなり厳しかった。そんな宗吾さんが可愛くも思え……不謹慎だが楽しい気持ちになってしまった。
「瑞樹、何笑っている?」
「あっいえ」
うわっ……見つめられるとやっぱりドキっとするな。
さっき確かに宗吾さんの大きな手が僕の平らな胸に触れて……そのままギュッと揉まれてしまった。
はぁ……躰が火照るよ。
僕の弟の名をしっかりと呼んでくれたのも、宗吾さんだ。
本当にあなたに話せてよかったと思っています。
宗吾さんの口が「夏樹」と発音した時はゾクッとした。僕の好きな人が大事な弟の名を口にしてくれるなんて……素直に嬉しかったです。
あの子はたった四歳であの世に逝ってしまったから、夏樹のことを覚えている人が僕以外……誰もいないから。
(おにいちゃんっ、おにいちゃん、だーいすき!)
僕の心の中には、まだ聴こえるよ。夏樹が僕を呼ぶ甘えた可愛い声がちゃんとね。
幼い夏樹にとって唯一の救いは、両親と一緒に逝けたことなのかな。
天国で寂しくなかったかい?
ひとり残された僕はね、本当はすごくすごく……寂しかったよ。
(どうして僕だけ置いて、みんな逝っちゃったの)
親戚の人たちが僕のことを厄介者のように冷たい目で見ている。憐れな目、避ける目……皆の視線が怖かったよ。
(怖い……僕も逝きたい……ひとりはいやだ。僕も夏樹と一緒にパパとママの所に一緒に逝きたいよ。家族と一緒なら怖くない。そうだ……今日のお葬式が終わったら、僕も皆の所に逝こう。でも……どうやったら逝けるのかな)
幼心に真剣に後追いについて考えていた。
雨に濡れる樹の更に上の天上を見上げ、まもなくそこへ逝くことをそっと誓った。
でも……そんな時広樹兄さんと目が合ったんだ。優しい目をした兄さんの視線を受け、何となく会釈した。それから暫くして……僕のことを兄さんと母さんが迎えに来てくれた。
僕が生きていることが嬉しいと、僕の胸の鼓動を確かめてくれた宗吾さん。
僕はあの時死を選ばなくて……よかったのですね。
もしかしたら僕は……ずっと誰かに必要とされたかったのかもしれない。
一馬に抱かれたのは、そんな理由もあった。アイツの愛は温かくて心地良かったから。
でもあいつは僕を置いていってしまった。
もう置いていかれるのは嫌だ。
宗吾さんにずっとついて行きたい。
それは……逝きたいんじゃなくて、生きたい。
こんな風に想えるなんて……宗吾さんの愛はすごい!
****
「瑞樹、悪い。芽生がおしっこだって。先に風呂入っていてくれるか」
「僕が芽生くんに付き添いましょうか」
「大丈夫だよ。すぐ戻るよ」
保養所の大風呂は大きくないようだ。脱衣籠が十個程度棚に並んでいて、そのうち四つが使われていたので、先客がいるようだ。
僕は少しだけ裸になるのを戸惑っていた。
馬鹿だな瑞樹……いつまでも気にしてもしょうがない。
和解はしたが四宮先生にトイレで股間を弄られたことや、潤にかつて家の風呂場で躰を執拗に触れられた過去を思うと、他人と一緒に風呂に入るのが怖いのが本音だった。
「タオル……腰に巻くのは、いくら何でもやり過ぎかな」
だからしっかり白いフェイスタオルで股間を隠して中に入ると、驚いたことに昼間海で一緒に過ごした洋くんが立っていた。
「あっ……」
「また会えて嬉しいです」
「僕もです。洋くん」
洋くんの方は腰にしっかりタオルを巻きつけて、キュッと結わいていた。さっき僕が悩んだやつだ。思考回路が似ているのかな、君とは……
お互いタオルで前を隠して、気恥ずかしそうな笑みを浮かべ合った。
でも彼……すごくいい。なんだかホッとする。
暫く喋っていると、芽生くんの元気な声が聞こえてきた。
「わぁ~大きい~広い~!」
「芽生くん走ったら駄目だよ!」
さっき注意したのに、芽生くんは走り出し、まるでバナナの皮でも踏んだかのようにツルっと滑ってしまった。
「危ない!」
咄嗟に芽生くんの後ろに回り込んだ。
尻もちをついても痛くないように、僕が盾になる!
ドシッという衝撃に一瞬目を瞑ってしまったが、僕の足に芽生くんの可愛いお尻がちょこんと乗っていたので間に合ったようだ。
ところが……
ん?
芽生くんが咄嗟に洋くんの腰巻きタオルを掴んでしまったようで、洋くんのタオルがひらりとはだけて、空に舞い、風呂場の濡れた床にベシャッと落ちた。
洋くんはその衝撃で尻もちをついてしまったから、股を大きく開いたような姿になっていた。その内股のかなり際どい部分に、大量の痣がついているのが丸見えになってしまった。
僕にはそれが何か、すぐに分かった。
すごい数だ……洋くん……すごく愛されているんだね。君の相手はあのお医者さんだ。そう考えると、僕の方も恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。
僕の膝の上の芽生くんがそれをじっと見て、いきなり泣き出したのには驚いた!
「芽生くんどうした?どこか痛い?」
「おっおにいちゃんだいじょうぶなの?」
「え?」
「わ!どうしよう!ボクが洋お兄ちゃんに、大けがさせちゃったぁ!」
宗吾さんが芽生くんの泣き声を聴いて、すっ飛んできた。
「どうしたんだ?芽生!」
「おっおにいちゃんのここ、いっぱいお怪我してるの!これ全部メイのせいだ!ごっごめん」
怪我って……えっと……あっまさかアレを?うわぁ……芽生くんの誤解にどう反応したらいいのか分からない。
「あっ……あの、その……」
洋くんもかなりたじろいでいる。もう、しどろもどろで見ていられないよ。
でも分かる……その気持ち!
先日兄さんや宗吾さんの前に素っ裸で飛び出した僕も、そんな気持ちだったから。
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