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小学生編
日々うらら 3
パパが帰ってきたよ。やったー! やったー!
ボクは宿題をかかえてお部屋に飛び込んだあと、うれしくってピョンピョンとびはねちゃった。
よかった~ さっきお兄ちゃん泣きそうになっていたから、しんぱいになっちゃった。
お兄ちゃん、もう、だいじょうぶだよ~!
だってパパが帰ってきたもん!
きっときっと、ぜんぶうまくいくよ!
ボクのパパって、すごいんだよ。
今ごろ、お兄ちゃんのごきげんもよくなっているだろうなぁ。
あっちのお部屋で、パパにマホウかけてもらっているのかな?
お兄ちゃんといっしょの毎日ね、とってもたのしかったかれども、パパもいたらよろこぶだろうなとか、パパがいたら何のスパゲティたべたかな? ってすこし考えちゃった。
もちろん、逆にお兄ちゃんがいなかったら、同じことをかんがえるよ。!
ボクたちは三人でチームなんだね。
ひとりいないだけで、さみしいんだね。
あのね、しゅくだいのこと……ごめんなさい。
毎日たのしくて、朝顔のかんさつばかりしていたんだ。だってお兄ちゃんにキレイに咲いた白い朝顔を、毎日見せてあげたかったんだもん!
それから江ノ島で一緒にひろった貝がらの写真立てもがんばったよ! 三人の思い出がいっぱいだもん!
あ、いけない。いけない。はやくやんないと~
わー かんじ……むずかしいな。
わー さんすうもむずかしいな。
よーし! がんばるよ!
****
仕事が忙しかったこともあり、ここ数日は特に目まぐるしい日々だった。
宿題の確認は、家事をしながら……
「芽生くん、ところで……ちゃんと宿題やってる?」
「うん! 朝顔のかんさつ、毎日しているよ。お兄ちゃん、見て~」
「わぁ、丁寧によく観察しているね」
「えへへ」
あの言葉に嘘はない。僕がワークや絵日記まで、しっかり確認しなかったせいだ。でも、どうしよう? もう明日から新学期なのに、今からこんなに出来ないよ。
間に合わないと思うと、急に足下がグラグラ揺れ出して、その場にしゃがみこんでしまった。どうやら完全にキャパオーバーしたようで、パニックになっていた。
息苦しくて胸を押さえた時だった。宗吾さんの声が降ってきたのは……!
あのタイミングで宗吾さんが現れてくれなかったら、大変なことになっていたかもしれない。絶妙のタイミングで宗吾さんが帰って来てくれた。 もうそれだけで、涙がボロボロと零れてしまったよ。
「瑞樹、おい、こっちを見ろよ」
「うっ……うう……あっ」
僕……さっきから寝室で熱いキスを受けている。
涙で視界が濡れて大好きな人の顔がよく見えない。
「みーずき?」
頬を宗吾さんの大きな両手で挟まれ、顔を覗き込まれた。
宗吾さんが心配そうに目を細め、次々に溢れてくる涙を唇でチュッと吸ってくれる。
優しい人、温かい人。
「みーずき、大丈夫だよ。悪いことばかり考えんな。引き摺られるな」
「でも……僕……宿題はいつも計画的にやっていたので、どうしたらいいのか……全然分らなくて」
「あー、悪い、悪い! あれは俺に似た。俺の瑞樹はそういう所、ちゃんとしてるもんな」
「うっ……宗吾さん、宗吾さん……」
これでは僕が子供みたいだ。
宗吾さんに縋るように抱きつき、宗吾さんの唇を必死に追いかけていた。
「あー、やっぱり可愛いな、俺の瑞樹、大好きだ」
宗吾さんの懐に抱かれ、あやすように慰めるように背中を何度も撫でてもらううちに、僕はすっかり蕩けてきていた。
安心感が半端ない。だから好きだ。宗吾さんが好きだ。
離れていた分だけ込み上げてくる熱情に、身体が火照ってきた。
「うぉ……このまま抱きたくなるから、今は、ここまでな」
「あ、はい……」
お互い深呼吸し、コツンと額を合わせて微笑みあった。
「あの、お帰りなさい……出張お疲れさまでした」
「ん、サンキュ。君の方こそ、お疲れさん。仕事に家事に育児、任せっきりでごめんな」
「芽生くんと二人の生活も楽しかったです。でも宗吾さんが一緒だったら、もっと楽しいだろうなって思っていました。今日はスパゲティを食べたんですけれど……宗吾さんがいたら大盛りかな? ミートソースを豪快に食べるんだろうなって想像して、笑ってしまいました」
「ははっ、光栄だよ。俺も出張先で飯を食う時、一人で眠る時、起きた時、いつも君たちを思いだしていたよ。早く帰国して三人で過ごしたいと願っていたさ」
「宗吾さん……っ」
キュッと力を込めて抱きしめてもらい、彼の厚い胸板に顔を押しつけて、彼の匂いを確かめた。
「良かった……無事にここに帰って来てくれて」
ほろりと飛び出した言葉に、結局……また泣いてしまった。心配かけてしまうのに……止まらない。
意識していなかったが……僕、とても不安だったんだ。
この毎日が幸せ過ぎて、幸せがまたすり抜けていかないか。
僕を置いて――いってしまわないか。
「急に不安になってしまって……」
「あー、やっぱり放っておけないな」
「ごめんなさい。こんな考え……宗吾さんを縛ってしまうのに」
「いいんだ。そんな瑞樹も大好きだ」
キス、キス、キス。
雨のように降ってくるキスに、心満たされて蕩けていく。
お互いに優しく微笑み合って
日々、うらら――
「今からまたいつもの日々だ。俺がいて、瑞樹がいて芽生がいる世界に戻ったよ」
「はい……はい! そうですね」
ボクは宿題をかかえてお部屋に飛び込んだあと、うれしくってピョンピョンとびはねちゃった。
よかった~ さっきお兄ちゃん泣きそうになっていたから、しんぱいになっちゃった。
お兄ちゃん、もう、だいじょうぶだよ~!
だってパパが帰ってきたもん!
きっときっと、ぜんぶうまくいくよ!
ボクのパパって、すごいんだよ。
今ごろ、お兄ちゃんのごきげんもよくなっているだろうなぁ。
あっちのお部屋で、パパにマホウかけてもらっているのかな?
お兄ちゃんといっしょの毎日ね、とってもたのしかったかれども、パパもいたらよろこぶだろうなとか、パパがいたら何のスパゲティたべたかな? ってすこし考えちゃった。
もちろん、逆にお兄ちゃんがいなかったら、同じことをかんがえるよ。!
ボクたちは三人でチームなんだね。
ひとりいないだけで、さみしいんだね。
あのね、しゅくだいのこと……ごめんなさい。
毎日たのしくて、朝顔のかんさつばかりしていたんだ。だってお兄ちゃんにキレイに咲いた白い朝顔を、毎日見せてあげたかったんだもん!
それから江ノ島で一緒にひろった貝がらの写真立てもがんばったよ! 三人の思い出がいっぱいだもん!
あ、いけない。いけない。はやくやんないと~
わー かんじ……むずかしいな。
わー さんすうもむずかしいな。
よーし! がんばるよ!
****
仕事が忙しかったこともあり、ここ数日は特に目まぐるしい日々だった。
宿題の確認は、家事をしながら……
「芽生くん、ところで……ちゃんと宿題やってる?」
「うん! 朝顔のかんさつ、毎日しているよ。お兄ちゃん、見て~」
「わぁ、丁寧によく観察しているね」
「えへへ」
あの言葉に嘘はない。僕がワークや絵日記まで、しっかり確認しなかったせいだ。でも、どうしよう? もう明日から新学期なのに、今からこんなに出来ないよ。
間に合わないと思うと、急に足下がグラグラ揺れ出して、その場にしゃがみこんでしまった。どうやら完全にキャパオーバーしたようで、パニックになっていた。
息苦しくて胸を押さえた時だった。宗吾さんの声が降ってきたのは……!
あのタイミングで宗吾さんが現れてくれなかったら、大変なことになっていたかもしれない。絶妙のタイミングで宗吾さんが帰って来てくれた。 もうそれだけで、涙がボロボロと零れてしまったよ。
「瑞樹、おい、こっちを見ろよ」
「うっ……うう……あっ」
僕……さっきから寝室で熱いキスを受けている。
涙で視界が濡れて大好きな人の顔がよく見えない。
「みーずき?」
頬を宗吾さんの大きな両手で挟まれ、顔を覗き込まれた。
宗吾さんが心配そうに目を細め、次々に溢れてくる涙を唇でチュッと吸ってくれる。
優しい人、温かい人。
「みーずき、大丈夫だよ。悪いことばかり考えんな。引き摺られるな」
「でも……僕……宿題はいつも計画的にやっていたので、どうしたらいいのか……全然分らなくて」
「あー、悪い、悪い! あれは俺に似た。俺の瑞樹はそういう所、ちゃんとしてるもんな」
「うっ……宗吾さん、宗吾さん……」
これでは僕が子供みたいだ。
宗吾さんに縋るように抱きつき、宗吾さんの唇を必死に追いかけていた。
「あー、やっぱり可愛いな、俺の瑞樹、大好きだ」
宗吾さんの懐に抱かれ、あやすように慰めるように背中を何度も撫でてもらううちに、僕はすっかり蕩けてきていた。
安心感が半端ない。だから好きだ。宗吾さんが好きだ。
離れていた分だけ込み上げてくる熱情に、身体が火照ってきた。
「うぉ……このまま抱きたくなるから、今は、ここまでな」
「あ、はい……」
お互い深呼吸し、コツンと額を合わせて微笑みあった。
「あの、お帰りなさい……出張お疲れさまでした」
「ん、サンキュ。君の方こそ、お疲れさん。仕事に家事に育児、任せっきりでごめんな」
「芽生くんと二人の生活も楽しかったです。でも宗吾さんが一緒だったら、もっと楽しいだろうなって思っていました。今日はスパゲティを食べたんですけれど……宗吾さんがいたら大盛りかな? ミートソースを豪快に食べるんだろうなって想像して、笑ってしまいました」
「ははっ、光栄だよ。俺も出張先で飯を食う時、一人で眠る時、起きた時、いつも君たちを思いだしていたよ。早く帰国して三人で過ごしたいと願っていたさ」
「宗吾さん……っ」
キュッと力を込めて抱きしめてもらい、彼の厚い胸板に顔を押しつけて、彼の匂いを確かめた。
「良かった……無事にここに帰って来てくれて」
ほろりと飛び出した言葉に、結局……また泣いてしまった。心配かけてしまうのに……止まらない。
意識していなかったが……僕、とても不安だったんだ。
この毎日が幸せ過ぎて、幸せがまたすり抜けていかないか。
僕を置いて――いってしまわないか。
「急に不安になってしまって……」
「あー、やっぱり放っておけないな」
「ごめんなさい。こんな考え……宗吾さんを縛ってしまうのに」
「いいんだ。そんな瑞樹も大好きだ」
キス、キス、キス。
雨のように降ってくるキスに、心満たされて蕩けていく。
お互いに優しく微笑み合って
日々、うらら――
「今からまたいつもの日々だ。俺がいて、瑞樹がいて芽生がいる世界に戻ったよ」
「はい……はい! そうですね」
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