幸せな存在 ~歩み寄る恋をしよう~

志生帆 海

文字の大きさ
974 / 1,865
小学生編

花びら雪舞う、北の故郷 46

しおりを挟む
「瑞樹、もう我慢出来ない、瑞樹不足だ」
「え……あの、でも……芽生くんが」
「ぐっすり眠っているよ」
「でも、僕……今日は汚れています。崖から落ちたし……スキーで、うっすら汗も」
「じゃあ、一緒に風呂に入ろう」
「う……」

 宗吾さんの必死の眼差しに負けて、僕は脱衣場に移動した。

「芽生くんが起きてしまわないか、心配です」
「大丈夫だよ」
「……ですが」
「瑞樹、静かに……時間がないんだ」

 顎を掬われ、キスをされる。

 角度を変えて、何度も何度も……

「瑞樹、脱いで」
「はい」

 宗吾さんの視線を浴びながら、セーターを脱ぎ、タートルシャツも脱いで、肌着姿になっていくのは、恥ずかしかった。

「宗吾さん……ここは明るくて……困ります」
「よく見せてくれ」
「……」
「君の身体に傷がないか、この目で確かめないと落ち着かないんだ」

 やはり心配をかけてしまった。
 無理もない。
 崖から落下したのだ。
 骨折どころか打撲もしていないなんて、自分でも信じられない。

「分かりました」

 潔くインナーも脱ぎ捨て、ズボンと一緒に下着も下に落として、一糸まとわぬ姿となった。

 全裸になって、宗吾さんのことを真っ直ぐ見つめた。

 宗吾さんは真剣に僕の身体を確認して、ほっと安堵の溜め息を漏らした。

「信じられないな。本当に傷一つないんだな。よかった、本当に良かったよ」

 ガバッと抱きしめられる。
 セーターが素肌に当たってチクチクする。
 やっぱり僕だけ全裸なんて、恥ずかし過ぎる。

「あの……擽ったいです。宗吾さんも早く脱いで下さい」
「おう!」

 僕の無事を確かたせいか、宗吾さんに変なスイッチが入ってしまったようだ。

 ババッとすごい早業で、着ている物を全て脱ぎ捨て、僕に襲いかかってくる!

(この言い方はナイよなぁ)

「あっ、ちょっと待ってください! お風呂に……お風呂でしましょう」

(あー この言い方。煽ったのは絶対に僕だ)
 
「分かった。風呂でスル!」

 ふたりで風呂場になだれ込む。

 暖かいシャワーをスコールのように浴びながら、キス、キス、キスの嵐。そのまま抱きかかえられるように湯船に沈む。

 浮き輪のようにプカプカと浮いている心地なのは、宗吾さんに抱っこされたままだから。

「そ……宗吾さん、僕、芽生くんじゃありませんよ?」
「知ってるよ。瑞樹だ」
「あの……下ろしてください」
「抱きしめているんだよ」
「あ……あぁ……っ。そんな触り方っ」

 お風呂場の明るい照明の下て、胸元を撫でるように触られる。宗吾さんの指の動き、1本1本が丸見えで、照れ臭い。

 そして、むずむずと気持ちがいい。

「瑞樹、明日はバレンタインだよな」
「……? そうですけど」
「風呂場なら汚れてもいいよな」
「?」

 チョコ練乳なら抹殺されたはずだ。

 意味が分からなくて首を傾げると、宗吾さんが一度脱衣場に戻り、小瓶を持ってきた。

「なんです? それ」
「熊田さんからのプチギフトで『森のくまさんの蜂蜜』を貰ったのさ」
「‼」

(いつの間に‼︎)

「俺へのお土産だそうだ! くまさん気が利くな)

(いや、こんなことに使うために渡したんじゃないですよ~ でも宗吾さんは昨日は兄さんに潰され、今日はすごく心配かけた。それに明日はバレンタインだし、ここは僕が一肌脱ぐしかないのか)

「いいですよ……好きなところに塗っても」
「いいのか、俺の言うがままに?」
「くすっ、なんでも言うこと聞きますよ」
 
 キラリン――

 星が瞬くように、宗吾さんの瞳が輝いた。

 僕は相当宗吾さんに甘い、蜂蜜より甘い。

 身体の力を抜くと、宗吾さんが首を横に振った。

「あの?」
「今日は瑞樹が食べて欲しいところに、自分で塗ってみろ」
「ええ!」

 そんなこと……したことがない。

「……『みーくん』呼び、俺の特権だったと思ったのになぁ」
「宗吾さんってば、まさか妬いて?」
「なぁ、塗ってみてくれよ」
「わ、わかりました」

 蜂蜜を指に垂らし、クローバーの蜂蜜を、そっと唇に塗ってみた。

 どことなく草原を思わせる優しい味。

 やわらかな甘み。

「君はキスが好きだもんな」
「……はい」

 薄く唇を開くと、そっとキスされた。

 キスで宗吾さんの吐息を感じるのが、好きだ。

 息吹を感じたくて。

 貪るように唇を吸われ、胸元が切なくなった。

「次はどこがいい? どこを食べて欲しい?」
「あ……胸を……胸が……いいです」

 ツンと尖り始めた胸の飾りの先に、蜂蜜をちょんと塗ってみると、すぐに舌先で舐め取られた。

「あっ、あぁ――」

 物足りない。もっと食べて欲しくなる。
 
「もっとか」
「……はい」

 今度は指の腹でたっぷり掬って、ベトベトになる程、自分の乳首に塗りたくってしまった。

 こんなこと……普段なら絶対にしない。

「いいな、煽られる」

 腰を両手でホールドされ、胸を反らされる。

 胸を突き出すような姿勢で、貪欲に貪られた。

「んんっ――」

 溜まらない、気持ちいい。

「あ……そうくん、もっと、もっと食べてください」
「ここだけでいいのか」

 湯船の縁に座らされ、足を大きく開かれる。

 胸の刺激だけで立ち上がったものが露わになってしまう。

 閉じようにも内股を押さえられているので、無理だった。

「や……いやです。こんなのは……恥ずかしい」
「ここを、どうして欲しい?」
「意地悪ですね……あぁ、もう……っ」

 僕は蜂蜜の残りを全て、己の屹立に塗りたくってしまった。

「いいね。積極的な瑞樹もいい。今日の君、格好良かったよ。くまさんを導いていたな」
「ん……食べて下さい。早く――もっと」

 チュパチュパと音が立つほど舐められて、後ろの蕾に指を入れられ、かき回された。

「あっ、あー」

 声、押さえないと!

 あまりの気持ち良さに、スパークしてしまう。

「駄目、もう駄目です」
「挿れていいか」
「欲しい……欲しいです」

 腰を抱えられ、バックで受け入れた。

 奥を突かれる度に信じられない程気持ちよくなった。バスルームのタイルの壁に押しつけられた身体はひんやりと心地良く、激しく悶えてしまった。

「今日の瑞樹、エロっ」
「言わないでくださいっ、恥ずかしい……でも、止まらない」

 僕は風呂場に反響する声に煽られながら、宗吾さんに貫かれた。

 深く深く……奥まで彼を迎え入れ……命の温もりを胎内に感じ、ドクドクとと脈打つものを愛した。

「好き……好きです。宗吾さん」
「俺もだ、瑞樹――Happy Valentine!」
「あ……チョコじゃなくてごめんなさい」
「最高だよ。積極的な瑞樹をもらえるなんて」


 風呂場の小窓の向こうには、冷たい雪が降っている。

 窓にあたれば、瞬時に溶けてしまう。

 それほどまでに、ここは熱気に包まれていた。

 







あとがき(宣伝を含みます。不要な方は飛ばしてくださいね)








****

お話の中はValentine。

今日は、瑞樹サービスデー=宗吾さんご褒美回でしたね♡
そろそろ函館旅行もお終いです。
次は春のお話になります。
引き続き、お楽しみいただければ嬉しいです。

本日、発行記念として同人誌に購入者限定の特典を加えました。
書き下ろしWEB未公開SSを、無料でダウンロード出来ます。
https://shiawaseyasan.booth.pm/
同人誌の中の高校生になった芽生が英国留学する話の後日談で、瑞樹と高校生になった芽生がメインのお話です。芽生の成長を感じられる物語になりました。
お迎え下さった読者さま、ありがとうございます。


 
  
しおりを挟む
感想 85

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

処理中です...