1,135 / 1,865
小学生編
HAPPY SUMMER CAMP!㉙
しおりを挟む
ようやくこの時間になって……洋と二人きりになれた。
待遠しかったぞ。
いつも月影寺の離れで静かに暮らす私達にとって、このような大人数でのキャンプは正直得意分野ではない。それでも洋と参加したのは、私達もいつまでも自分たちの殻の中に閉じこもっていないで、外に出てみようという気持ちが、お互いに芽生えたからだ。
春に由比ヶ浜で個人病院を開業するはずが、耐震工事の影響で……秋以降に延期になってしまった。洋も私も張り切っていた分、意気消沈したが、今となってはそれはそれで良かったと思う。
今は大船の病院は辞めて、アルバイトで週に三回大学病院に勤務している。残りの平日で開業準備をし、洋と離れでゆったりと暮らしている。急患の呼び出しも手術もない今だから、こんな風にキャンプ旅行にも、付き合えるのだ。
個人病院を開業したら、洋も手伝ってくれる予定だ。隠遁生活のような日々を過ごしていた私達も、いろんな人と接しないとならない。だからこのサマーキャンプは、人に慣れるための一歩だった。
「洋……」
「んっ……」
テントの中で無造作に足を投げ出す洋の顎を掴んで、キスをした。
昼間テントを壊した前科があるから、そのまま押し倒さずに、抱きしめながら優しいキスを繰り返した。洋のシャツのボタンを外しにかかると、洋がやんわりと私の手を掴んで制止した。
珍しいことを。
「どうした? 気が乗らないのか」
「いや、そうじゃない。あのさ、今日はシャワーを浴びてからがいい。汗でべとついているし炭火臭いだろう」
「私は気にならないが……少し待ってろ、使えるか見てくる」
昼間、流兄さんと宗吾さんが大騒ぎしたシャワーブースの様子を覗くと、先客がいる気配がした。
明かりは消えているのに、チャプチャプと水音がする。
耳を澄ませば二人の濃厚な息づかいまで聞こえてきそうで、困惑した。
小さな小さな……声が漏れている。私には秘めたる声の主が誰だか、すぐに分かった。
兄さんたちなのか。
ならば邪魔はするまい。
「丈、どうだった? 使えそうだったか」
「洋、随分と淫らな格好だな」
洋は上半身を剥き出しのまま、色気の増した表情で、私を見上げた。艶めいた目元が、甘く私を誘っている。
「丈がこんな姿にして、放置したくせに」
「洋、これを使うといい」
「ん? なんだ、これ?」
風呂に入れない入院患者が使う身体拭きシートを差し出すと、洋が蠱惑的な笑みを浮かべた。
「丈、久しぶりにアレをするか」
「ん?」
「白衣を着てくれよ。そうだ……聴診器も持って」
「医師の白衣が、洋の大好物なのは知っているが、そんなに私を煽っていいのか」
洋が私をひらひらと手招く。
「俺がいいっていっているんだよ、丈せんせ」
「コイツ」
だから洋の細腰を抱きしめ、身体を濡れたシートで滑るように拭いてやった。
「んっ……んっ」
過敏な身体が、ピクピクと細かく跳ね出す。
「あっ……妙な触り方はよせ」
洋が私の首に手を回し、足を大きく開いて跨がってきた。
対面座位なので、洋の美しい顔と胸元がよく見える。
「おい、こんな淫らな患者はいないぞ」
「丈せんせ……こそ」
テントを揺らさないように壊さないように……
そっと洋の胸の粒を吸い上げていく。
赤く熟れた果実は、夏の味がした。
「静かに出来るか」
「丈せんせの仰せのままに」
二人だけのナイトキャンプ。
きっと、どのテントよりも私達は濃密な行為をするだろう。
洋には私……
私には洋しかいないから。
許されるだろう。
****
「かんのくーん。テントの中って思ったより狭いんですね」
「あぁ、くっついて眠るのにちょうどいいだろう? ところでシャワーでも浴びに行くか」
「えー! もったいないなぁ。今日は1日中あんこの傍にいたので、せっかくの移り香が消えちゃいますよぅ」
チーン! 色気……皆無。
そもそもあんこの移り香ってなんだ?
「なんか俺……今日は……いよいよ、あんこに妬きそうだ」
「えー! どうしてですか」
こもりんがあどけない表情を浮かべ、首を傾げた。
ううう、可愛い! いやいや、今はそうではない。
ハッキリ言わないと……俺の気持ち。
「俺にはこもりんしかいないのに、こもりんには『あんこ』がいるからさ!」
あんこに夢中なこもりんは、確かに可愛い。
翠さんが餌付けするのも分かる。
だけれど……そろそろ、そろそろだよ!
「風太……」
わざと声のトーンを低くして、風太をテントに押し倒した。
「菅野くん?」
相変わらずキョトンとあどけない表情を浮かべる風太。
もう何も言わせないように、唇を重ねた。
「あ……菅野くん……キスですか。僕……キス……すきですよ」
「このまま蕩けさせてやる」
「はい!」
長い、長いキスをした
し続けた。
風太の身体からは確かに、甘いあんこの香りが立ちこめていた。
「あんこが好きなのは、そのままでいい。かわいいから許すよ」
「はぁ……い」
「だけど、風太はあんこのものじゃない。俺のものだ!」
「はい、そうです。あのあの……あんこは僕のものですか」
「あぁ、そうだ。安心しろ」
あれ? おいおい、なんだか本末転倒じゃ。
「ン……キスしてください。あんこよりもおいしいです~」
「ほ、本当か!」
調子にのって、夢中になって、キスをした。
キス、キス、キスで、こもりんを埋め尽くすほどに。
はっと気付いた時には、こもりんの甘い吐息は……ただの寝息に変わっていたけどな。
待遠しかったぞ。
いつも月影寺の離れで静かに暮らす私達にとって、このような大人数でのキャンプは正直得意分野ではない。それでも洋と参加したのは、私達もいつまでも自分たちの殻の中に閉じこもっていないで、外に出てみようという気持ちが、お互いに芽生えたからだ。
春に由比ヶ浜で個人病院を開業するはずが、耐震工事の影響で……秋以降に延期になってしまった。洋も私も張り切っていた分、意気消沈したが、今となってはそれはそれで良かったと思う。
今は大船の病院は辞めて、アルバイトで週に三回大学病院に勤務している。残りの平日で開業準備をし、洋と離れでゆったりと暮らしている。急患の呼び出しも手術もない今だから、こんな風にキャンプ旅行にも、付き合えるのだ。
個人病院を開業したら、洋も手伝ってくれる予定だ。隠遁生活のような日々を過ごしていた私達も、いろんな人と接しないとならない。だからこのサマーキャンプは、人に慣れるための一歩だった。
「洋……」
「んっ……」
テントの中で無造作に足を投げ出す洋の顎を掴んで、キスをした。
昼間テントを壊した前科があるから、そのまま押し倒さずに、抱きしめながら優しいキスを繰り返した。洋のシャツのボタンを外しにかかると、洋がやんわりと私の手を掴んで制止した。
珍しいことを。
「どうした? 気が乗らないのか」
「いや、そうじゃない。あのさ、今日はシャワーを浴びてからがいい。汗でべとついているし炭火臭いだろう」
「私は気にならないが……少し待ってろ、使えるか見てくる」
昼間、流兄さんと宗吾さんが大騒ぎしたシャワーブースの様子を覗くと、先客がいる気配がした。
明かりは消えているのに、チャプチャプと水音がする。
耳を澄ませば二人の濃厚な息づかいまで聞こえてきそうで、困惑した。
小さな小さな……声が漏れている。私には秘めたる声の主が誰だか、すぐに分かった。
兄さんたちなのか。
ならば邪魔はするまい。
「丈、どうだった? 使えそうだったか」
「洋、随分と淫らな格好だな」
洋は上半身を剥き出しのまま、色気の増した表情で、私を見上げた。艶めいた目元が、甘く私を誘っている。
「丈がこんな姿にして、放置したくせに」
「洋、これを使うといい」
「ん? なんだ、これ?」
風呂に入れない入院患者が使う身体拭きシートを差し出すと、洋が蠱惑的な笑みを浮かべた。
「丈、久しぶりにアレをするか」
「ん?」
「白衣を着てくれよ。そうだ……聴診器も持って」
「医師の白衣が、洋の大好物なのは知っているが、そんなに私を煽っていいのか」
洋が私をひらひらと手招く。
「俺がいいっていっているんだよ、丈せんせ」
「コイツ」
だから洋の細腰を抱きしめ、身体を濡れたシートで滑るように拭いてやった。
「んっ……んっ」
過敏な身体が、ピクピクと細かく跳ね出す。
「あっ……妙な触り方はよせ」
洋が私の首に手を回し、足を大きく開いて跨がってきた。
対面座位なので、洋の美しい顔と胸元がよく見える。
「おい、こんな淫らな患者はいないぞ」
「丈せんせ……こそ」
テントを揺らさないように壊さないように……
そっと洋の胸の粒を吸い上げていく。
赤く熟れた果実は、夏の味がした。
「静かに出来るか」
「丈せんせの仰せのままに」
二人だけのナイトキャンプ。
きっと、どのテントよりも私達は濃密な行為をするだろう。
洋には私……
私には洋しかいないから。
許されるだろう。
****
「かんのくーん。テントの中って思ったより狭いんですね」
「あぁ、くっついて眠るのにちょうどいいだろう? ところでシャワーでも浴びに行くか」
「えー! もったいないなぁ。今日は1日中あんこの傍にいたので、せっかくの移り香が消えちゃいますよぅ」
チーン! 色気……皆無。
そもそもあんこの移り香ってなんだ?
「なんか俺……今日は……いよいよ、あんこに妬きそうだ」
「えー! どうしてですか」
こもりんがあどけない表情を浮かべ、首を傾げた。
ううう、可愛い! いやいや、今はそうではない。
ハッキリ言わないと……俺の気持ち。
「俺にはこもりんしかいないのに、こもりんには『あんこ』がいるからさ!」
あんこに夢中なこもりんは、確かに可愛い。
翠さんが餌付けするのも分かる。
だけれど……そろそろ、そろそろだよ!
「風太……」
わざと声のトーンを低くして、風太をテントに押し倒した。
「菅野くん?」
相変わらずキョトンとあどけない表情を浮かべる風太。
もう何も言わせないように、唇を重ねた。
「あ……菅野くん……キスですか。僕……キス……すきですよ」
「このまま蕩けさせてやる」
「はい!」
長い、長いキスをした
し続けた。
風太の身体からは確かに、甘いあんこの香りが立ちこめていた。
「あんこが好きなのは、そのままでいい。かわいいから許すよ」
「はぁ……い」
「だけど、風太はあんこのものじゃない。俺のものだ!」
「はい、そうです。あのあの……あんこは僕のものですか」
「あぁ、そうだ。安心しろ」
あれ? おいおい、なんだか本末転倒じゃ。
「ン……キスしてください。あんこよりもおいしいです~」
「ほ、本当か!」
調子にのって、夢中になって、キスをした。
キス、キス、キスで、こもりんを埋め尽くすほどに。
はっと気付いた時には、こもりんの甘い吐息は……ただの寝息に変わっていたけどな。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
インフルエンサー
うた
BL
イケメン同級生の大衡は、なぜか俺にだけ異様なほど塩対応をする。修学旅行でも大衡と同じ班になってしまって憂鬱な俺だったが、大衡の正体がSNSフォロワー5万人超えの憧れのインフルエンサーだと気づいてしまい……。
※pixivにも投稿しています
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結】言えない言葉
未希かずは(Miki)
BL
双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。
同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。
ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。
兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。
すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。
第1回青春BLカップ参加作品です。
1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。
2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる