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小学生編
心をこめて 7
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「みっちゃん、いっくんの誕生日に何を送ればいいかな?」
「そうねぇ、やっぱりいっくんが喜ぶものがいいわよね」
「うーん、なんだろ? 4歳の男の子って、何が好きなんだ?」
頭を悩ましていると、みっちゃんに笑われた。
「よーく思い出して! 私は閃いたわ」
「ん?」
「いっくん、一度ここに挨拶に来てくれたわよね。その時、目を輝かせていたわよね」
「あっ、そうか!」
うちの店で、ずっと上を見上げていた。
……
「いっくん、どうして上を見ているんだ?」
「あのねあのね、あそこに、はっぱしゃんたくさんあるから」
「あぁ、スワッグの葉っぱか」
「うん! いっくんね、はっぱしゃんみるの、だいすきなの」
……
恥ずかしそうに笑う可愛い笑顔を思い出すと、閃いた。
軽井沢も極寒だ。冬はなかなか外にいけないので、大好きな葉っぱにも会えないよな。だったら家の中でも楽しめる物を作ってやれないいんじゃないか。
いっくんの名前は『樹』、広樹と瑞樹の『樹』を受け継いでくれる子だ。
そう思うと、いっくんが愛おしくて堪らない。
潤を、弟を幸せにしてくれたキューピットに愛を込めて、葉っぱをメインにしたスワッグを作ろう!
葉っぱなら、幸い店にも沢山ある。
1枚1枚葉を合わせるたびに、俺は色々な人の顔を思い浮かべた。
「潤……お前が幸せになってくれて、葉山ファミリーも賑やかになったな」
父さんの遺してくれた言葉を思い出す。
……
父さんがいなくなっても、男兄弟、仲良く元気に過ごして欲しい。
頑張り屋の母さんの応援もしてあげて欲しい。
広樹、ありがとう。
お前が花屋を継いでくれると言ってくれて、父さんホッとした。
だが……ごめんな。お前はまだ15歳なのに……なぁ、違う夢を抱いてもいいんだぞ? 息子が幸せになってくれるのが一番だ。
……
生活に追われ違う夢を抱く暇はなかったけれども、それで良かったと思っている。今、こうやってみっちゃんと店を切り盛りし、幸せを願い愛を込めて草花に触れている。優美は可愛いし、母さんもようやく一息つけた。
上を見たら、きりがない。
俺はここが好きだ。
ふともう一人の弟の控えめな笑顔が、脳裏に浮かんできた。
「瑞樹も元気にやっているか。今度はいつ帰省するんだ? そろそろお前の顔も見たいよ」
****
「くまさんのシチューの作り方を、私に教えて欲しいの」
「ん? 俺のレシピでいいのか」
「そうよ、とっても美味しいし、今の私たちの味だから……」
勇大さんは嬉しそうに笑った。
「さっちゃん、ありがとう。あのさ、これは一つの提案なんだけど、いっくんのお誕生日に、シチューを冷凍して送ってやるのはどうだ?」
「まぁ素敵ね。でも差し出がましくないかしら。義母から料理を押しつけるようで」
「菫ちゃんはそんな風には思わないよ。実はこのシチュー、瑞樹のお母さんが妊娠中に作ってやったのが始まりなんだ。彼女も頼れる身内が誰もいなくて、お腹が大きくなっても頑張って食事を作っていたから楽して欲しくて」
「そうだったのね。確かに私も、誰かにご飯を作ってもらいたかったわ」
「だろ? 他にはグラタンとかはどうだ? 小さな子供の大好物だよ」
勇大さんって、子供が喜ぶことを考えるのが上手だわ!
あったかい人。
私も家族も、みんなを大きな毛布で包み込んでくれるのね。
****
「パパ、はっぱしゃん、あそこがいい」
「そうだな。ぜっかくだから壁に飾ってみるか」
和室の長押にかけてやると、いっくんの笑顔が弾けた。
「……いっくんね、ずっとうえをみていたよ」
「そういえば、そもそも、どうしてなんだ?」
何気なく聞くと、とんでもない返事が返ってきた。
「だって、なみださん、こぼれないもん!」
「……」
「いっくんってば……」
すみれが涙声になる。
「ごめんね、ごめんね。私があまり泣かないでって言ったから」
「ううん、いっくん、おとこのこだもん」
「いっくん……」
俺が小さい頃は我が儘放題で、癇癪を起こしては泣き喚いてばかりだったのに、いっくんは……このあどけなさの中に、男の子らしさもちゃんと持っているんだな。
まだこんなに小さいのに。
いっくんの父親として、しっかり根を張って生きていこう。
瑞々しい葉っぱが生い茂る大きな樹になろう。
「いっくんが見上げるのは、これからは幸せな樹の葉っぱだよ」
「うん! いっくん、うえをみるの、だいすきになったよ! パパのおかお、よくみえるもん」
「そうねぇ、やっぱりいっくんが喜ぶものがいいわよね」
「うーん、なんだろ? 4歳の男の子って、何が好きなんだ?」
頭を悩ましていると、みっちゃんに笑われた。
「よーく思い出して! 私は閃いたわ」
「ん?」
「いっくん、一度ここに挨拶に来てくれたわよね。その時、目を輝かせていたわよね」
「あっ、そうか!」
うちの店で、ずっと上を見上げていた。
……
「いっくん、どうして上を見ているんだ?」
「あのねあのね、あそこに、はっぱしゃんたくさんあるから」
「あぁ、スワッグの葉っぱか」
「うん! いっくんね、はっぱしゃんみるの、だいすきなの」
……
恥ずかしそうに笑う可愛い笑顔を思い出すと、閃いた。
軽井沢も極寒だ。冬はなかなか外にいけないので、大好きな葉っぱにも会えないよな。だったら家の中でも楽しめる物を作ってやれないいんじゃないか。
いっくんの名前は『樹』、広樹と瑞樹の『樹』を受け継いでくれる子だ。
そう思うと、いっくんが愛おしくて堪らない。
潤を、弟を幸せにしてくれたキューピットに愛を込めて、葉っぱをメインにしたスワッグを作ろう!
葉っぱなら、幸い店にも沢山ある。
1枚1枚葉を合わせるたびに、俺は色々な人の顔を思い浮かべた。
「潤……お前が幸せになってくれて、葉山ファミリーも賑やかになったな」
父さんの遺してくれた言葉を思い出す。
……
父さんがいなくなっても、男兄弟、仲良く元気に過ごして欲しい。
頑張り屋の母さんの応援もしてあげて欲しい。
広樹、ありがとう。
お前が花屋を継いでくれると言ってくれて、父さんホッとした。
だが……ごめんな。お前はまだ15歳なのに……なぁ、違う夢を抱いてもいいんだぞ? 息子が幸せになってくれるのが一番だ。
……
生活に追われ違う夢を抱く暇はなかったけれども、それで良かったと思っている。今、こうやってみっちゃんと店を切り盛りし、幸せを願い愛を込めて草花に触れている。優美は可愛いし、母さんもようやく一息つけた。
上を見たら、きりがない。
俺はここが好きだ。
ふともう一人の弟の控えめな笑顔が、脳裏に浮かんできた。
「瑞樹も元気にやっているか。今度はいつ帰省するんだ? そろそろお前の顔も見たいよ」
****
「くまさんのシチューの作り方を、私に教えて欲しいの」
「ん? 俺のレシピでいいのか」
「そうよ、とっても美味しいし、今の私たちの味だから……」
勇大さんは嬉しそうに笑った。
「さっちゃん、ありがとう。あのさ、これは一つの提案なんだけど、いっくんのお誕生日に、シチューを冷凍して送ってやるのはどうだ?」
「まぁ素敵ね。でも差し出がましくないかしら。義母から料理を押しつけるようで」
「菫ちゃんはそんな風には思わないよ。実はこのシチュー、瑞樹のお母さんが妊娠中に作ってやったのが始まりなんだ。彼女も頼れる身内が誰もいなくて、お腹が大きくなっても頑張って食事を作っていたから楽して欲しくて」
「そうだったのね。確かに私も、誰かにご飯を作ってもらいたかったわ」
「だろ? 他にはグラタンとかはどうだ? 小さな子供の大好物だよ」
勇大さんって、子供が喜ぶことを考えるのが上手だわ!
あったかい人。
私も家族も、みんなを大きな毛布で包み込んでくれるのね。
****
「パパ、はっぱしゃん、あそこがいい」
「そうだな。ぜっかくだから壁に飾ってみるか」
和室の長押にかけてやると、いっくんの笑顔が弾けた。
「……いっくんね、ずっとうえをみていたよ」
「そういえば、そもそも、どうしてなんだ?」
何気なく聞くと、とんでもない返事が返ってきた。
「だって、なみださん、こぼれないもん!」
「……」
「いっくんってば……」
すみれが涙声になる。
「ごめんね、ごめんね。私があまり泣かないでって言ったから」
「ううん、いっくん、おとこのこだもん」
「いっくん……」
俺が小さい頃は我が儘放題で、癇癪を起こしては泣き喚いてばかりだったのに、いっくんは……このあどけなさの中に、男の子らしさもちゃんと持っているんだな。
まだこんなに小さいのに。
いっくんの父親として、しっかり根を張って生きていこう。
瑞々しい葉っぱが生い茂る大きな樹になろう。
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