1,374 / 1,871
小学生編
新緑の輝き 9
先日応募した『フェアリーランド』のコンテスト結果が、気になる。
きっと、そろそろ出るはずだ。
あの日偶然にも雪也さんが来てくれ『柊雪』を僕に贈ってくれた。そしてコンテストに『柊雪』で応募することも許してもらえた。
僕は雪也さんに対して深く強い縁を感じていた。
夏樹に会いたい自然に沸き上がる気持ちを込めた僕の『心の旅』
夏樹も一緒に長崎に行こう。
夏樹は九州に行ったことはないから、お兄ちゃんが連れて行ってあげるよ。
花に姿を変えて、夏樹は僕の心の中にいる。
「葉山、おはよう!」
「菅野、ごきげんだね」
「まぁな、こもりんが可愛くてさ」
「くすっ、うん、彼はとっても可愛いよ」
「なぁ、桜色の小坊主姿、見る?」
「うん!」
菅野のスマホの中で明るく可愛く笑う小森くんは、健全そのもの。
「うん。とっても可愛い。ええっと桜餅みたいだね」
「だろ! 可愛くて食べちゃいたくなる」
「ふふ、もう食べたの?」
「いや……桜餅をいっぱい食わされて腹一杯で……」
「桜餅?」
「まぁ……その、瑞樹ちゃん、俺、まだまだ頑張るよ!」
「う、うん。頑張って」
この分だと、まだまだなのか。
でも菅野と小森くんが幸せそうなので、それでいいと思った。
思い返せば、僕も宗吾さんと身体を繋げるまで、丸一年かかった。
散々焦らして、焦らされて……
あぁ、今となっては懐かしい過去だ。
って、僕……朝から何を思いだしているんだ!
ここは神聖な職場なのに。
僕がコンテストに応募したことは、宗吾さんと芽生くんには内緒にしてある。もしも選ばれたら、長崎への招待券と一緒に報告したいから。
嬉しいサプライズを起こしてみたくなった。
大切な人の笑顔を見たい。
だから僕は願っている。
どうかコンテストに入選しますように。
こんなにも自分の欲があるなんて、驚いた。
PCで5月のスケジュールを確認していると、リーダーに呼ばれた。
「葉山、ちょっといいか」
来た!
コンテストの結果が来たと思った。会社単位で応募したので、リーダーの方に結果が来るとのことだったので。
「はい、何でしょうか」
「うーん、君のGWの予定を全て覆してもいいか」
「え? どういう意味でしょうか」
GWは、宗吾さんが全て仕事不在なので、芽生くんと二人でゆっくり過ごそうと休みを多めに取得していた。
それを取り消されるということなのか。
心臓がドキドキした。
「実は助っ人でぜひ来てくれと、君直々にオファーがあって」
「僕を指名ですか」
一体誰だろう?
何の仕事だろう?
「取り合えず、今から、この会社に行って詳細を打ち合わせして来てくれ」
「……はい」
リーダーがくれたミーティング資料を見て、ハッとした。
『GW特別企画・白金薔薇フェスティバル』
これは宗吾さんの会社の企画だ。
しかもこの企画には、宗吾さんが思いっきり携わっている!
「このフェスティバルで取り扱うの白薔薇は少し訳ありで、葉山が適任らしいんだ」
「白薔薇ですか」
「ほら、葉山がこの前扱っていた『柊雪』という品種だ。社長直々のお達しだなんて、葉山、どこかで見込まれたのか。GW全部出勤になってしまうが、やり甲斐がある仕事だ。頑張ってこい! その代わり、連休明けに代休を取っていいからな」
「はい!」
芽生くんのことが気がかりだが、またとないチャンスだと思った。
つまり僕は、宗吾さんと仕事で対等に渡り合える!
****
瑞樹は無事にここにやってくるだろうか。
打ち合わせコーナーで、俺は書類の角をトントンと机で整え、深呼吸した。
いいか宗吾、よく聞けよ。
ここは俺が勤める会社の中だ。
瑞樹が来たからと言って、絶対に鼻の下を伸ばさないこと。
けっしてデレるなよ~
「ちょっと滝沢さん、何を気張ってるんですか」
「え?」
「滝沢さんって黙っていればイケメンなのに……実に勿体ない」
「おいおい、俺はいたって真面目だよ!」
「そうですかぁ」
白金薔薇フェスティバルの企画チームの同僚は30代独身女性だ。
細いフレームの眼鏡を指先で上下に動かして、ルージュを引いた唇をニッと吊り上げた。
君こそ、間違っても瑞樹を色眼鏡で見るなよー!
「なんか私を見る目が殺気立ってますよ」
「そ、そんなことない。おい、そろそろ時間だ。君こそ邪念を払え」
「ふふ、楽しみです。加々美花壇の若手フラワーアーティストが満を持して登場ですもの~ フフン!」
おいっ、女のくせに鼻息が荒いぞ!
残念だが、今からやって来る葉山瑞樹は俺の恋人だ。
心の中でブツブツ唱えてしまった。
どうか……どうか、瑞樹に悪い虫がつきませんように――
部屋の扉が慎重にノックされる。
この控えめで丁寧なノックの仕方は、瑞樹、君だ!
****
「潤、入場門の植栽が枯れているから、手直し頼む」
「はい!」
「……」
「どうしました?」
上司がオレの顔をじっと見つめたままなので、首を傾げた。
「いや、お前、いい顔になったなぁ。父親らしい包容力の塊だ。まだ若いのに気合い入ってるな」
「家族がいるので」
「なるほど、家族が仕事の励みになっているのか」
「はい!」
自信を持って、胸を張って答えられる。
すみれといっくんのお陰で、オレは居場所を見つけられた。
オレらしい生き方を見つけた。
ずっと宙ぶらりんだったオレを、つなぎとめてくれた家族。
生まれてくる子供を、みんなで愛そう。
いっくん……
やべーな。
オレ、相当な子煩悩だったみたいだ。
もういっくんに会いたいなんて。
入場門に向かうと、ハンギングバスケットのパンジーが枯れそうになっていた。
オレは一度地上にバスケットを降ろし、丁寧に枯れた部分を取り除き、肥料を注入して、作業に没頭した。
パンジーは、スミレ科スミレ属に属する野生のスミレを品種改良して作り出した品種で、花が大きく、丈夫で美しい。
「よしよし、これでどうだ? 居心地良くなったか」
つい植物に話しかけてしまう。
天職だと思えるほど、オレはガーデナーの仕事が好きになった。
切り花もいいが、土に根ざす草花が好きだ!
花のような可憐な奥さん、すみれが好きだ!
小さな楓の葉っぱのように優しいて可愛らしい、いっくんが好きだ!
心の中で、愛を叫んだ。
きっと、そろそろ出るはずだ。
あの日偶然にも雪也さんが来てくれ『柊雪』を僕に贈ってくれた。そしてコンテストに『柊雪』で応募することも許してもらえた。
僕は雪也さんに対して深く強い縁を感じていた。
夏樹に会いたい自然に沸き上がる気持ちを込めた僕の『心の旅』
夏樹も一緒に長崎に行こう。
夏樹は九州に行ったことはないから、お兄ちゃんが連れて行ってあげるよ。
花に姿を変えて、夏樹は僕の心の中にいる。
「葉山、おはよう!」
「菅野、ごきげんだね」
「まぁな、こもりんが可愛くてさ」
「くすっ、うん、彼はとっても可愛いよ」
「なぁ、桜色の小坊主姿、見る?」
「うん!」
菅野のスマホの中で明るく可愛く笑う小森くんは、健全そのもの。
「うん。とっても可愛い。ええっと桜餅みたいだね」
「だろ! 可愛くて食べちゃいたくなる」
「ふふ、もう食べたの?」
「いや……桜餅をいっぱい食わされて腹一杯で……」
「桜餅?」
「まぁ……その、瑞樹ちゃん、俺、まだまだ頑張るよ!」
「う、うん。頑張って」
この分だと、まだまだなのか。
でも菅野と小森くんが幸せそうなので、それでいいと思った。
思い返せば、僕も宗吾さんと身体を繋げるまで、丸一年かかった。
散々焦らして、焦らされて……
あぁ、今となっては懐かしい過去だ。
って、僕……朝から何を思いだしているんだ!
ここは神聖な職場なのに。
僕がコンテストに応募したことは、宗吾さんと芽生くんには内緒にしてある。もしも選ばれたら、長崎への招待券と一緒に報告したいから。
嬉しいサプライズを起こしてみたくなった。
大切な人の笑顔を見たい。
だから僕は願っている。
どうかコンテストに入選しますように。
こんなにも自分の欲があるなんて、驚いた。
PCで5月のスケジュールを確認していると、リーダーに呼ばれた。
「葉山、ちょっといいか」
来た!
コンテストの結果が来たと思った。会社単位で応募したので、リーダーの方に結果が来るとのことだったので。
「はい、何でしょうか」
「うーん、君のGWの予定を全て覆してもいいか」
「え? どういう意味でしょうか」
GWは、宗吾さんが全て仕事不在なので、芽生くんと二人でゆっくり過ごそうと休みを多めに取得していた。
それを取り消されるということなのか。
心臓がドキドキした。
「実は助っ人でぜひ来てくれと、君直々にオファーがあって」
「僕を指名ですか」
一体誰だろう?
何の仕事だろう?
「取り合えず、今から、この会社に行って詳細を打ち合わせして来てくれ」
「……はい」
リーダーがくれたミーティング資料を見て、ハッとした。
『GW特別企画・白金薔薇フェスティバル』
これは宗吾さんの会社の企画だ。
しかもこの企画には、宗吾さんが思いっきり携わっている!
「このフェスティバルで取り扱うの白薔薇は少し訳ありで、葉山が適任らしいんだ」
「白薔薇ですか」
「ほら、葉山がこの前扱っていた『柊雪』という品種だ。社長直々のお達しだなんて、葉山、どこかで見込まれたのか。GW全部出勤になってしまうが、やり甲斐がある仕事だ。頑張ってこい! その代わり、連休明けに代休を取っていいからな」
「はい!」
芽生くんのことが気がかりだが、またとないチャンスだと思った。
つまり僕は、宗吾さんと仕事で対等に渡り合える!
****
瑞樹は無事にここにやってくるだろうか。
打ち合わせコーナーで、俺は書類の角をトントンと机で整え、深呼吸した。
いいか宗吾、よく聞けよ。
ここは俺が勤める会社の中だ。
瑞樹が来たからと言って、絶対に鼻の下を伸ばさないこと。
けっしてデレるなよ~
「ちょっと滝沢さん、何を気張ってるんですか」
「え?」
「滝沢さんって黙っていればイケメンなのに……実に勿体ない」
「おいおい、俺はいたって真面目だよ!」
「そうですかぁ」
白金薔薇フェスティバルの企画チームの同僚は30代独身女性だ。
細いフレームの眼鏡を指先で上下に動かして、ルージュを引いた唇をニッと吊り上げた。
君こそ、間違っても瑞樹を色眼鏡で見るなよー!
「なんか私を見る目が殺気立ってますよ」
「そ、そんなことない。おい、そろそろ時間だ。君こそ邪念を払え」
「ふふ、楽しみです。加々美花壇の若手フラワーアーティストが満を持して登場ですもの~ フフン!」
おいっ、女のくせに鼻息が荒いぞ!
残念だが、今からやって来る葉山瑞樹は俺の恋人だ。
心の中でブツブツ唱えてしまった。
どうか……どうか、瑞樹に悪い虫がつきませんように――
部屋の扉が慎重にノックされる。
この控えめで丁寧なノックの仕方は、瑞樹、君だ!
****
「潤、入場門の植栽が枯れているから、手直し頼む」
「はい!」
「……」
「どうしました?」
上司がオレの顔をじっと見つめたままなので、首を傾げた。
「いや、お前、いい顔になったなぁ。父親らしい包容力の塊だ。まだ若いのに気合い入ってるな」
「家族がいるので」
「なるほど、家族が仕事の励みになっているのか」
「はい!」
自信を持って、胸を張って答えられる。
すみれといっくんのお陰で、オレは居場所を見つけられた。
オレらしい生き方を見つけた。
ずっと宙ぶらりんだったオレを、つなぎとめてくれた家族。
生まれてくる子供を、みんなで愛そう。
いっくん……
やべーな。
オレ、相当な子煩悩だったみたいだ。
もういっくんに会いたいなんて。
入場門に向かうと、ハンギングバスケットのパンジーが枯れそうになっていた。
オレは一度地上にバスケットを降ろし、丁寧に枯れた部分を取り除き、肥料を注入して、作業に没頭した。
パンジーは、スミレ科スミレ属に属する野生のスミレを品種改良して作り出した品種で、花が大きく、丈夫で美しい。
「よしよし、これでどうだ? 居心地良くなったか」
つい植物に話しかけてしまう。
天職だと思えるほど、オレはガーデナーの仕事が好きになった。
切り花もいいが、土に根ざす草花が好きだ!
花のような可憐な奥さん、すみれが好きだ!
小さな楓の葉っぱのように優しいて可愛らしい、いっくんが好きだ!
心の中で、愛を叫んだ。
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。