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色は匂へど……
色は匂へど 21
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「俺の名を、もっと呼んでくれないか」
翠の綺麗な形の唇に、指をあてて強請った。
俺は翠が唇を薄く開いて、流と発音してくれるのが好きだ。
だから、何度も呼んでもらいたくて仕方がなかった。
ほっそりとした首と小さな喉仏に、口づけを重ねた。
こんな頼りないのに、読経する声は痺れるほど美声なんだよな。
それから肩から腕にかけての清楚な骨格も好きだ。
滑らかに滑り落ちる袈裟の袂を、俺はいつもうっとりと見つめていた。
それにしても「男は初めてだ」という翠の答え、泣くほど嬉しかった。
思い出したくもない過去が蘇る。
克哉に襲われた翠を発見した時の衝撃が、今でも忘れられない。
何が起きたのか、何かされたのか。
最後まで翠は口を閉ざしたままだった。
でも翠は無事だったのだ。
『翠の初めては俺のものだ』
青い時代に密かに願ったことが、ようやく今叶う。
月明りに照らされた翠の白い裸体をまじまじと見下ろすと、興奮が一気に高まった。
落ち着け、流。 流れに乗りすぎるな。
上手く操れ! 自分をコントロールしないと翠を傷つけることになるぞ。
必死に自分を諫めるが、どうしても興奮の方が勝ってしまう。
俺は一気に翠の浴衣をはぎ取り、唯一つけていた下着も脱がして一糸纏わぬ姿にさせた。
「んっ」
覚悟を決め「一つになろう」と誓った翠だが、流石に恥ずかしさが溢れたようで、腕で顔を隠してしまった。
「駄目だ。顔を見せてくれ」
手をずらしながら翠の潤んだ目元、頬、唇に口づけをしてやった。
「そんなに緊張するな。俺にも移ってしまう」
「……だが、こんなあられもない姿を見られるのは……やはり」
「小さい時から一緒に風呂に入った仲だ。着替えだっていつも手伝っていたのに、何を恥ずかしがる」
「だが……」
「ふっ、往生際が悪いぞ。もう流れ始めているんだ……俺達は」
「うん……知っている。でもどこへ流れ着くのか分からない。……怖くないのか、流は?」
「怖くなんてないさ。翠と一緒だから。翠が行く所ならどこまでも付いていく」
半分勃起状態になっていた翠のものに手を伸ばし、優しく触れてみた。
ここに直接触れるのは初めてだ――
翠の屹立を手中に収めると、くらくらと目眩がした。
幻じゃない、これは生身の翠の身体の一部だ。
とても大切な器官だ。
「流っ……」
すっぽりと手の平で包み込んでやると、まるでそこに心臓があるかのようにドクドクしていた。
「流……やっぱり無理だ」
翠が身を捩って逃げようとしたので、体重をかけて覆い被さった。
「暴れるな。全て覚悟の上だろう」
「分かっている……分かっているが」
「そうか、怖いんだな。翠は本当は怖がりで、一人でいるのも暗闇も雷も……苦手だろう?」
俺の言葉に、翠が一気に脱力した。
「……あぁ、そうだ」
「やっと認めたな」
翠をずっと見続けてきた俺だから分かる。夜明け前に寺の中を歩くのも、真っ暗な部屋で一人で眠るのも、全部苦手なはずだ。夏の夕立ちの雷も恐ろしかったはずだ。長男だからと、弟の手間、強がっていただけだ。
手を緩やかに動かし扱き、裏筋などの敏感な部分は指の腹を使って丁寧に擦ってやった。
握っている昂ぶりが、どんどん硬くなってきた。
「んっ……あっ」
手で絞り出してやると、くちゅりと音を立て先端から蜜がとろりと零れた。
「あっ……駄目だ、やだ」
「美味しそうだ」
翠は性欲が少ない方だと思っていたが、こんなに俺の愛撫に過敏に反応してくれるとは。おそらく女性経験は彩乃さんだけで、他に女を抱いた経験はないはずだ。離婚後も彼女に応じていたのは知っていたが、不特定多数の女を抱いたわけではない。最近は会ってないようだし、若住職としての仕事も多忙になり、自分で処理する暇もなかったのでは?
あぁ……愛おしいよ。翠の屹立が愛おしい。
食らいついてしゃぶりたい欲求をなんとか静め、心を込めて丁寧に熱心に手で弄ってやった。
「あっ……あ、あ……」
「余計なことは考えるな。俺だけを見ていろ」
「流……」
手を激しく動かすと、ぐちゅぐちゅと濡れた卑猥な音が聞こえてきた。
音に煽られた翠はどんどん昇りつめていく。
「うあっ……」
初めて見る!
翠のこんな艶めいた表情。
もっと欲しいと強請るように腰を揺らしてくれている。
あぁ、最高だ!
このまま俺の腕の中に閉じ込めてしまいたい。
朝なんて永遠に来なければいいのに。
二人きりで、何処までも流れていきたい。
窓の外に広がる月夜の彼方へと……
柄にもなくそんなことを願ってしまった。
俺はこの日が来ることを、いつから待っていたのか。
腕の中で翠が兄の顔ではなく、ただ一人の男として俺の愛撫に戸惑いながらも応えてくれる。
その艶めいた表情に不覚にも涙が零れてしまった。
「翠、気持ちいいか」
「うん……すごく……いい……どうしよう……」
「良かった……くっ……」
「馬鹿だな。どうして流が泣く?」
「……翠が俺の愛撫に応えてくれるなんて、夢みたいだから」
「夢じゃないよ。僕……こんなに感じているんだ。流が触れた箇所が疼くよ。だから泣かないでくれ。なっ、りゅーう」
優しく伸びたその手に、今日は数珠は握られていない。
いつも翠が手元に固く握りしめる数珠を見るたびに、決して俺なんかが触れてはいけない人だと戒められた。
「ほら、もう泣くな」
男にしては細い指先で、目元に溜まる涙を優しく拭われた。
くそっ! その仕草……反則だろ?
「これは夢なのか」
「夢じゃないよ、流。僕……本当に感じているんだ……流が触れた部分が、どんどん気持ち良くなっていくよ」
信じられない翠の言葉に、一気に俺のものがパンパンに膨れ上がった。
あ……焦るな。
翠は男を受け入れたことがないのだから、細心の注意を払わないと。
けっして痛くないように、嫌にならないようにしてやりたい!
ふぅーっと息を吐いて、快楽を必死に逃がした。
俺の股間は、とんでもないことになっていた。
翠の綺麗な形の唇に、指をあてて強請った。
俺は翠が唇を薄く開いて、流と発音してくれるのが好きだ。
だから、何度も呼んでもらいたくて仕方がなかった。
ほっそりとした首と小さな喉仏に、口づけを重ねた。
こんな頼りないのに、読経する声は痺れるほど美声なんだよな。
それから肩から腕にかけての清楚な骨格も好きだ。
滑らかに滑り落ちる袈裟の袂を、俺はいつもうっとりと見つめていた。
それにしても「男は初めてだ」という翠の答え、泣くほど嬉しかった。
思い出したくもない過去が蘇る。
克哉に襲われた翠を発見した時の衝撃が、今でも忘れられない。
何が起きたのか、何かされたのか。
最後まで翠は口を閉ざしたままだった。
でも翠は無事だったのだ。
『翠の初めては俺のものだ』
青い時代に密かに願ったことが、ようやく今叶う。
月明りに照らされた翠の白い裸体をまじまじと見下ろすと、興奮が一気に高まった。
落ち着け、流。 流れに乗りすぎるな。
上手く操れ! 自分をコントロールしないと翠を傷つけることになるぞ。
必死に自分を諫めるが、どうしても興奮の方が勝ってしまう。
俺は一気に翠の浴衣をはぎ取り、唯一つけていた下着も脱がして一糸纏わぬ姿にさせた。
「んっ」
覚悟を決め「一つになろう」と誓った翠だが、流石に恥ずかしさが溢れたようで、腕で顔を隠してしまった。
「駄目だ。顔を見せてくれ」
手をずらしながら翠の潤んだ目元、頬、唇に口づけをしてやった。
「そんなに緊張するな。俺にも移ってしまう」
「……だが、こんなあられもない姿を見られるのは……やはり」
「小さい時から一緒に風呂に入った仲だ。着替えだっていつも手伝っていたのに、何を恥ずかしがる」
「だが……」
「ふっ、往生際が悪いぞ。もう流れ始めているんだ……俺達は」
「うん……知っている。でもどこへ流れ着くのか分からない。……怖くないのか、流は?」
「怖くなんてないさ。翠と一緒だから。翠が行く所ならどこまでも付いていく」
半分勃起状態になっていた翠のものに手を伸ばし、優しく触れてみた。
ここに直接触れるのは初めてだ――
翠の屹立を手中に収めると、くらくらと目眩がした。
幻じゃない、これは生身の翠の身体の一部だ。
とても大切な器官だ。
「流っ……」
すっぽりと手の平で包み込んでやると、まるでそこに心臓があるかのようにドクドクしていた。
「流……やっぱり無理だ」
翠が身を捩って逃げようとしたので、体重をかけて覆い被さった。
「暴れるな。全て覚悟の上だろう」
「分かっている……分かっているが」
「そうか、怖いんだな。翠は本当は怖がりで、一人でいるのも暗闇も雷も……苦手だろう?」
俺の言葉に、翠が一気に脱力した。
「……あぁ、そうだ」
「やっと認めたな」
翠をずっと見続けてきた俺だから分かる。夜明け前に寺の中を歩くのも、真っ暗な部屋で一人で眠るのも、全部苦手なはずだ。夏の夕立ちの雷も恐ろしかったはずだ。長男だからと、弟の手間、強がっていただけだ。
手を緩やかに動かし扱き、裏筋などの敏感な部分は指の腹を使って丁寧に擦ってやった。
握っている昂ぶりが、どんどん硬くなってきた。
「んっ……あっ」
手で絞り出してやると、くちゅりと音を立て先端から蜜がとろりと零れた。
「あっ……駄目だ、やだ」
「美味しそうだ」
翠は性欲が少ない方だと思っていたが、こんなに俺の愛撫に過敏に反応してくれるとは。おそらく女性経験は彩乃さんだけで、他に女を抱いた経験はないはずだ。離婚後も彼女に応じていたのは知っていたが、不特定多数の女を抱いたわけではない。最近は会ってないようだし、若住職としての仕事も多忙になり、自分で処理する暇もなかったのでは?
あぁ……愛おしいよ。翠の屹立が愛おしい。
食らいついてしゃぶりたい欲求をなんとか静め、心を込めて丁寧に熱心に手で弄ってやった。
「あっ……あ、あ……」
「余計なことは考えるな。俺だけを見ていろ」
「流……」
手を激しく動かすと、ぐちゅぐちゅと濡れた卑猥な音が聞こえてきた。
音に煽られた翠はどんどん昇りつめていく。
「うあっ……」
初めて見る!
翠のこんな艶めいた表情。
もっと欲しいと強請るように腰を揺らしてくれている。
あぁ、最高だ!
このまま俺の腕の中に閉じ込めてしまいたい。
朝なんて永遠に来なければいいのに。
二人きりで、何処までも流れていきたい。
窓の外に広がる月夜の彼方へと……
柄にもなくそんなことを願ってしまった。
俺はこの日が来ることを、いつから待っていたのか。
腕の中で翠が兄の顔ではなく、ただ一人の男として俺の愛撫に戸惑いながらも応えてくれる。
その艶めいた表情に不覚にも涙が零れてしまった。
「翠、気持ちいいか」
「うん……すごく……いい……どうしよう……」
「良かった……くっ……」
「馬鹿だな。どうして流が泣く?」
「……翠が俺の愛撫に応えてくれるなんて、夢みたいだから」
「夢じゃないよ。僕……こんなに感じているんだ。流が触れた箇所が疼くよ。だから泣かないでくれ。なっ、りゅーう」
優しく伸びたその手に、今日は数珠は握られていない。
いつも翠が手元に固く握りしめる数珠を見るたびに、決して俺なんかが触れてはいけない人だと戒められた。
「ほら、もう泣くな」
男にしては細い指先で、目元に溜まる涙を優しく拭われた。
くそっ! その仕草……反則だろ?
「これは夢なのか」
「夢じゃないよ、流。僕……本当に感じているんだ……流が触れた部分が、どんどん気持ち良くなっていくよ」
信じられない翠の言葉に、一気に俺のものがパンパンに膨れ上がった。
あ……焦るな。
翠は男を受け入れたことがないのだから、細心の注意を払わないと。
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ふぅーっと息を吐いて、快楽を必死に逃がした。
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