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Grow
うむよ
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もう駄目だと……諦めそうになっていた。
意識も霞み……黄泉の国に躰が運ばれていくような虚しい気持ちで満ちていた。
世界は凍り、暗黒になっていく。
「さ・よ・な・ら……だ。みんな……ごめん」
ところが、突然優しい温もりに包まれた。
あぁ……ずっとずっと待っていた。
この半年間ずっと帰りを待っていたお前が帰ってきてくれた。
「トカプチ!しっかりしろ!」
すぐに分かった。俺を抱くのが誰か。
この匂い、この声……
「うっ……うう」
お前の声に反応するように、俺の両胸の尖りからは、再び乳が溢れ出した。
お前がいなくなってからも……乳は枯れなかったよ。
トイは離乳食が進み、あまり乳を飲まなくなってしまった。
なのでいつも胸が張って苦しかった。
トイの授乳後に残りを自分で絞り出す度に、お前を想って泣いた。
お前が傍にいてくれたら、底をつくまで吸ってもらえるのに。
お前は俺の乳が好きだったよな。
俺はお前からもらう精液が好きだった。
俺たち普通と違っても、うまく循環していた。
だから欠けちゃいけないんだ。
俺が生きているということは、お前も生きているということに繋がっている。
そう信じて兄狼とトイに支えられ、お腹の子供を育てるために、必死にもう味覚も感じなくなってしまった人の食べ物を口にして栄養を取り、踏ん張ってきた。
なのにお産で命を落としそうになるなんて──本当に焦った。
もうロウは生きていないじゃないか。
そんな不安が過ったら、一気にバランスを失った。
あの世に足を引っ張られるそうで、必死に藻掻いた。
「逝きたくない……」
幼いトイの顔や、父さんや母さんの顔、アペの顔、ロウの兄さんたちの顔。
そしてロウの顔!!
ロウが生きていたら、俺が死んでしまったら嘆くだろう。
そう思うと死ぬに死ねない。
だからお前を呼んだ! 必死に、この躰が裂ける程に……
「トカプチ、意識をはっきりさせろ。オレは戻った!」
「ほんとうに……」
「あぁここにいる。もう躰は痛くないだろう」
本当だ……さっきまでの痛みはもうない。
下半身から流れ出ていた生ぬるい血は止まり、今は躰中にパワーが満ちている。お前の精液をたっぷり注いでもらった。上からも下からも……
やがて陣痛が規則正しくなり、間隔が早まってきた。
「うっ、うっ……っ」
ロウが汗でくっついて不快だった衣を切り裂いて、俺を裸に剥いた。
恥かしさとかそういう気持ちは微塵もなかった。
俺もロウと同じ動物のように一糸纏わぬ姿に、生まれた時の姿になり、新しい命を繋ぐのだ。
「トカプチ、大丈夫だ。落ち着け。オレがついている」
ロウが背後からすっぽりと抱きしめてくれる。俺の裸体を、モフモフの毛で包んで温めてくれている。
「ロウ……ロウが来てくれたから、俺……がんばる。お前の子供をこの世界に産み落とす」
「ありがとう。俺の子をまた……産んでくれるのか」
「当たり前だ。ずっとずっと欲しかった命だ。大切な俺の番……ロウとの子供だ……うっ……そろそろかもっ」
「よしっ。降りて来い!」
ロウが必死に俺の腹を擦ってくれる。
もう人の手じゃない。狼そのものの手だが、必死に爪を丸めて俺を傷つけないように、こんな状況下でも気を遣ってくれているのが……泣けてくる。
お前の切なさ、手に取るように分かる。
だから伝える!
「どんな姿でもロウはロウだ。これから生まれてくる子供が、たとえ狼の姿でも俺の愛する子供だ! ロウ、一緒に産もう!」
「がんばれ!」
「はっ……ううっ」
ロウに抱き抱えられ、最後に息む……
この世に新しい命を産み出す!
意識も霞み……黄泉の国に躰が運ばれていくような虚しい気持ちで満ちていた。
世界は凍り、暗黒になっていく。
「さ・よ・な・ら……だ。みんな……ごめん」
ところが、突然優しい温もりに包まれた。
あぁ……ずっとずっと待っていた。
この半年間ずっと帰りを待っていたお前が帰ってきてくれた。
「トカプチ!しっかりしろ!」
すぐに分かった。俺を抱くのが誰か。
この匂い、この声……
「うっ……うう」
お前の声に反応するように、俺の両胸の尖りからは、再び乳が溢れ出した。
お前がいなくなってからも……乳は枯れなかったよ。
トイは離乳食が進み、あまり乳を飲まなくなってしまった。
なのでいつも胸が張って苦しかった。
トイの授乳後に残りを自分で絞り出す度に、お前を想って泣いた。
お前が傍にいてくれたら、底をつくまで吸ってもらえるのに。
お前は俺の乳が好きだったよな。
俺はお前からもらう精液が好きだった。
俺たち普通と違っても、うまく循環していた。
だから欠けちゃいけないんだ。
俺が生きているということは、お前も生きているということに繋がっている。
そう信じて兄狼とトイに支えられ、お腹の子供を育てるために、必死にもう味覚も感じなくなってしまった人の食べ物を口にして栄養を取り、踏ん張ってきた。
なのにお産で命を落としそうになるなんて──本当に焦った。
もうロウは生きていないじゃないか。
そんな不安が過ったら、一気にバランスを失った。
あの世に足を引っ張られるそうで、必死に藻掻いた。
「逝きたくない……」
幼いトイの顔や、父さんや母さんの顔、アペの顔、ロウの兄さんたちの顔。
そしてロウの顔!!
ロウが生きていたら、俺が死んでしまったら嘆くだろう。
そう思うと死ぬに死ねない。
だからお前を呼んだ! 必死に、この躰が裂ける程に……
「トカプチ、意識をはっきりさせろ。オレは戻った!」
「ほんとうに……」
「あぁここにいる。もう躰は痛くないだろう」
本当だ……さっきまでの痛みはもうない。
下半身から流れ出ていた生ぬるい血は止まり、今は躰中にパワーが満ちている。お前の精液をたっぷり注いでもらった。上からも下からも……
やがて陣痛が規則正しくなり、間隔が早まってきた。
「うっ、うっ……っ」
ロウが汗でくっついて不快だった衣を切り裂いて、俺を裸に剥いた。
恥かしさとかそういう気持ちは微塵もなかった。
俺もロウと同じ動物のように一糸纏わぬ姿に、生まれた時の姿になり、新しい命を繋ぐのだ。
「トカプチ、大丈夫だ。落ち着け。オレがついている」
ロウが背後からすっぽりと抱きしめてくれる。俺の裸体を、モフモフの毛で包んで温めてくれている。
「ロウ……ロウが来てくれたから、俺……がんばる。お前の子供をこの世界に産み落とす」
「ありがとう。俺の子をまた……産んでくれるのか」
「当たり前だ。ずっとずっと欲しかった命だ。大切な俺の番……ロウとの子供だ……うっ……そろそろかもっ」
「よしっ。降りて来い!」
ロウが必死に俺の腹を擦ってくれる。
もう人の手じゃない。狼そのものの手だが、必死に爪を丸めて俺を傷つけないように、こんな状況下でも気を遣ってくれているのが……泣けてくる。
お前の切なさ、手に取るように分かる。
だから伝える!
「どんな姿でもロウはロウだ。これから生まれてくる子供が、たとえ狼の姿でも俺の愛する子供だ! ロウ、一緒に産もう!」
「がんばれ!」
「はっ……ううっ」
ロウに抱き抱えられ、最後に息む……
この世に新しい命を産み出す!
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