そして鬼と成る

文月くー

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雫の特異点

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しかし、黒神もとっさに身体を後ろに流し、衝撃を上手く逃がしていた。
そこは、もう流石としか言いようがなかった。
まぁ、体力値は3ゲージ分、ごっそりと削っていたのだが。

そう。
雫の特異点とは、鬼人ベースなのにも関わらず、速いと言うところなのだ。
攻撃力に特化している鬼人の弱点である鈍さが無くなるとどうなるか。
答えは、破壊力が桁違いに増すのだ。

それは反則では?

と、思うだろう。
しかし、それは、呪力によって違いがでるのだ。
黒神もそうである。
彼は、竜人ベースであり、バランス型なのだが、彼には呪力が多量にあり、その多さ故に、ベースが進化し、竜人から龍神へと成っているのだ。
つまり呪力の量、質、などと言った違いから、自分のベースは変わってくるのである。
それでも、雫の呪力は〝超〟が付く程の突然変異種なのだが。
よって、反則ではないし、そもそも、そこまでの呪力を秘めている者は、本当に十年に一人いれば良い方だと言われている。
雫も、天才と言う事ではあるけれど。

「マジですかー、今の反応します?俺的には不意を突いて、フルゲージ飛ばしたと思ったんですけどね」

すると黒神は、ニヒルな笑みを浮かべ、

「いや、君の本気を見るまではやられないさ。」

と、言い放つ。

(面白い…!では…!)

俺は、黒神先輩のその、熱意に敬意を評して応える。

「良いですよ。本気でいきます」

俺は、刀を抜き放ち、構え、そして黒炎を流す。
すると、あっという間に刀身が漆黒に染まった。
身体の方には、黒雷を流して極限まで、速さを高める。
さらに俺は、今までにない程、集中わ高める。
すると、一切の感情も遮断され、そして、周りの音すら、遮断される。
聴こえるのは、相手の息遣いと、自分の鼓動のみ。
まるで天へと昇っているようだ。そして、昇れば昇る程、集中力が増してゆく。
汗が跳ねる音を境に、俺は動いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一瞬だった。

と、黒神は思う。
全く反応出来なかったのだ。
というより、あんなものどうやったら見切れるのか教えてほしい。
これが、消えた天才の力。
圧倒的過ぎると思う。
それに、ダメージ量も馬鹿げている。
そもそも、ダメージ量と言うのは、速さ×重さ-防御力なのだ。
しかし彼は、4000、つまり最大値、HPがあっても、こちらを沈めることが出来る程のダメージ量を与えてきたのである。
つまり、彼に勝つには、全ての攻撃を避けきり、そして彼に、攻撃を加えなければならないと言うことだ。
そんなのは、無理だ。
そう思う黒神であった。
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