黒の陰陽師

文月くー

文字の大きさ
上 下
30 / 54
第一章 学園生活

第二十九話 本選一試合目・蒼月瑞希

しおりを挟む


『さー!この時間がやって来たー!ついに本選が始まった!!初戦は、次期〝水天翼〟候補の、蒼月瑞希みずき対伏黒燐だー!』

エ?エ?ドウイウコト??

『みんながどよめくのも仕方がない!何せこの私、マックスXも、ビックリしたんだから!そう、何を隠そう!彼こそが!史上最年少で十二天翼となった、天才!現〝殲天翼〟!伏黒ー燐だー!』

ワァァァァァァァァァァァ!!

『さぁ!この男は次期十二天翼に無惨に負け去るのか?!それともこの力を見せつけるのか?!一体どんなパフォーマンスを魅せてくれるのか!?期待の第一試合目のステージは―…』

『なんと!『渓流』に決まったー!蒼月瑞希に有利なステージだが!どんなバトルになるのか?!さぁ!今!ゴングは鳴り響いたー!!』




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



【渓流ステージ】


なんだこの緊迫した空気は??
もっと楽しんでやろーぜ!
と、言いたいところなのだが、開始直後から怒濤の猛攻の嵐で、少しでも気を抜けば、そこを突かれるので、そう易々やすやすと気を抜けない。

「あなたが十二天翼なんて信じられません!だって全く妖気オーラが感じられませんもん!例えコントロール出来ていたとしても、そんなに完璧になんて出来る筈がないんです!」

はぁー。
めんどくせぇなぁ。
出来なきゃ十二天翼として失格なんだが?
そもそも、深雪の娘がこんなに思い込みの激しいおてんば娘だったとは…。
観客席にいる深雪に念話を繋げた。

《この子すごいな。》(燐)

《もうボコっちゃって良いから。》(深雪)

いや、それは親としてどうなんだ??
まぁ、最初から軽くボコる予定だったのだが。

《適度にやっとくよ。》(燐)

《頼んだよ。》(深雪)

念話を切り、俺は懐から十枚もの呪符を上へと投げ、詠唱を唱える。

「えぇ?!同時詠唱?!それも十種の同時!!」

何やら驚いているようだが、このくらい出来なくては十二天翼としてやっていけないしな。
というところで、詠唱が完了した。

淵火燈籠えんかとうろう

この技は時間差で攻撃する技だ。

「うぁ!」

何個かは当たったな。
ただ、あちらさんはちょっと怒ってるかなー??

「もう許さない!」

すると、呪符を取り出し、

『万物の素でありし水よ。その猛威をここに呼び覚まさん!』「流れ斬れ『霧時雨』」

あーもう、めんどくさいなー。
こっちはサクサクいきたいんだよ。
ってことで、

「ふっー。………ッ!!」ギロリ

「ひぃっ?!」

その、小さな悲鳴を残し、瑞希は倒れていった。

しおりを挟む

処理中です...