15 / 366
郷愁と懐古する天神曰く
しおりを挟む
人間として生きていた頃の話だわ。
また散歩の時の話になるのだわ、ただしお昼のお散歩。
向かいから、母と子の親子が歩いてきていたの。
子供はその時点で、泣きながら母親に何かを訴えている最中だった、子供は息が荒く何を言っているか解らない状態だったの。
「がっで、ほぉじいぃ」
おそらく子供は、買って欲しい、と言ったのだと思う。
母親は優しい声で子供の手を引いて諭していたわ。
「買えないって、何度も言ってるでしょ」
「がっでう゛ぁ」
買ってや、だと思われるわ。泣いて高揚しているせいで、ますます発音が不穏ね。
「ごめんね、ゲームは買えないって言ってるでしょ」
母親の口調も歩調も変わらない。
「がっでう゛ぁ、“青いニンテンドー3DS”、がっでぐでるっやぐぞぐじで」
泣きじゃくりながらでも商品名だけは、ハッキリした発音が聞こえる。
人間って子供の頃から、役者よね。
また散歩の時の話になるのだわ、ただしお昼のお散歩。
向かいから、母と子の親子が歩いてきていたの。
子供はその時点で、泣きながら母親に何かを訴えている最中だった、子供は息が荒く何を言っているか解らない状態だったの。
「がっで、ほぉじいぃ」
おそらく子供は、買って欲しい、と言ったのだと思う。
母親は優しい声で子供の手を引いて諭していたわ。
「買えないって、何度も言ってるでしょ」
「がっでう゛ぁ」
買ってや、だと思われるわ。泣いて高揚しているせいで、ますます発音が不穏ね。
「ごめんね、ゲームは買えないって言ってるでしょ」
母親の口調も歩調も変わらない。
「がっでう゛ぁ、“青いニンテンドー3DS”、がっでぐでるっやぐぞぐじで」
泣きじゃくりながらでも商品名だけは、ハッキリした発音が聞こえる。
人間って子供の頃から、役者よね。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる