キツネと龍と天神様

霧間愁

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夜を駆けるキツネ曰く

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 夜の街に、チャルメラホーンの音が鳴っている。
 僕、キツネは愛用どんぶりを持って、外に飛び出した。と、財布お財布。
 忘れ物ナシ鍵閉めオッケー。

 いつもの公園。

「いらっしゃい」
 見知ったオジサンが、手渡したどんぶりをお湯で温めてくれる。
「いつものだね?」
 頷いて待っていると、湯気をたてながら差し出された。

 他にお客さんはいない。
 煮卵を奢ってくれるOLも、おススメFPSを教えてくれる学生も、いつも酔っ払ってサラリーマンも、今日はいない。
 貸し切りだ。

「煮卵追加ね」
 久しぶりだから、と自分に言い聞かせて散財する。オジサンが笑顔だった。
 だから、僕も笑顔。

 少しだけ、多めにお金を払って帰った。

 
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