魔力ゼロの悪役令嬢が 最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから

恋月 みりん

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81章

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81章.  可逆魔法かぎゃくまほう






『……なんて、愚かなんだろう…』




『…表面的な、司祭の言葉に騙されて…』





『先生の本質にも、気づけなかった…』






『……どうして』





『大嫌いなんて、言ってしまったんだろう……』










『 先生、帰ってきて…  』



そう思って首だけになってしまった、


魔導士カシウスに口づけをする。



『 お願い…  』


無意識の領域での祈り。


人間の限界を越えた、集中力。


強力なトランス状態。


カリナは耳鳴りのような、耳孔(じこう)が詰まったような静けさに突入する。


人智を越えた、その祈りの力が、


大気にランダムに散らばる魔粒子を引き寄せる。


それが、宇宙の時間軸を、


自らの中心に引き寄せていく。


カリナが中心となり、


空気が、大気が、


全ての宇宙空間の中心が、カリナに移り、


魔粒子が渦を巻き、時間が逆巻く(さかまく)。


これはカリナが、一回目でも、時間逆向を経験したことよって、


再び開いてしまった、時空の歪みだった。



『 先生を、返してください 』



多次元宇宙をスライドさせるように、全く違う、結末を望むチカラ。


魔粒子の光の渦が一点に、集中し、


光さえ吸い込むブラックホールと化したかと思うと、

同時に全てが解放された。


失明するのではというほどの、


目も眩むような光が溢れ、そのすぐあと、


漆黒の緞帳(どんちょう)を滑り落とすように、暗転した。



眼を開くと、自分が地に臥していて、


なぜか、師匠のカシウスが覗きこんでいる。


「…カリナ……カリナ……」


『今までのは、夢だったんだろうか?』


それでも生きている師匠を認めると、驚いて飛び起きる。


「…先生!!」


カリナはつい嬉しくて、師匠に抱きついてしまう。


「…ど……どうしたの?!」



「……よがっ…だぁ…せぇ…ん…せぇ…」



カリナは、泣きじゃくりながら、師匠を離さない。


「わたし…先生が死んじゃった…って……」


師匠はああそうか、と少し腑に落ちた。


どおりでなにか、強力な魔法の痕跡が残っているのは、そういうことなのかと。


なにか、強力な、次元の違う魔法。


そして、どうやらそこで自分が、死んだらしい事も。


これは時間が逆向したのか、違う平行宇宙にスライドしたのか、


ただ単に身体の欠損が回復し、蘇生したという事なのか、判別は不能だった。




カリナ自身は何が起きたのか、全く分かっていない。



『なんでもいい、先生が生きていれば…』


カリナは思いを強くする。


緊張の糸が切れ、途端に子供っぽい自分が戻ってくる。


「わーん。先生が、生きてて…良かったぁ…!」


カリナは声を上げ、目から涙がポタポタと落ちる。
 


「ひどいグス男で、…ぐずっ……みんなに嫌われていたけど…っ……」



カリナはしゃくり上げる。


 
「………スケベで…っ…本当どうしようもない人間でずけどっ……。


…ぐずっ…それでも先生が生きててくれて良かったです。」




「………。」



「ここぞとばかりに、悪口言ってない?」



「どうでもいいけど、コレはこのままでいいの?」


「!?」


「まぁ、私としては、全然構わないけど…」


「…!!!(汗)」



気がついて、カリナはバッと手を離す。



「……あのー。どうでもいいんですが。


…どさくさに紛れて、お尻を揉むのやめてもらえます……?(ピキッ)」



師匠はめまぐるしく変わる、弟子の様子にふっと笑う。



そして、あらためて感心したように呟く。



「私の弟子は大したもんです。」



カリナはキョトンとした。



自分が何をしたのか、よくわからない。



『…まぁ、いちおう、切り札あったんですけどね…。』




師匠はそう思って、天井まで、ぶち抜かれ、



外が見えるほど半壊した、屋敷のホールから、青空を見上げた。








(続く)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


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