まにゅ恋

とら

文字の大きさ
15 / 72

まにゅ恋15

しおりを挟む

「───と、言うことは、イチャイチャだよね」

 期末試験の前だから一緒に勉強でもするか、と言った返しがコレで───、俺は疲れを感じて遠くを見つめてしまった。
「……いや……話聞いてたか? そうじゃなくて……」
「だって一緒に勉強って言ったら、イチャイチャでしょう」
 当の本人───間宮は、こっちの思考を読まず力説してくる。そういや前にもそんなことを言っていた。一度同好会で使っている図書室横の準備室で、スパルタ気味に勉強教えてしまい、後から苦情を言っていたのも思い出した。
「お前のそのこだわりはなんなわけ……?」
「浪漫の話だと思う」
「……………」
 よくわからない。
 通学路を二人並ぶ中、まだ朝早いのに夏休み前の強い日差しを避けて日陰を歩いているのだが、もう間宮の頭の中は暑さでどうかなってるんじゃないかと思ってしまう。
「別にお医者さんごっこがしたいとか言ってるんじゃないよ」
 微妙な間宮の言い分に俺は半眼になってしまう。
「俺にとっちゃ、おんなじレベルだよ……」
 まったく───。
「何がしたいんだよ。とりあえずその相手は俺なんだから、こっちの意思も確認してくれよ」
 上背のある間宮を見上げて言うと、はたと動きを止めた後、興味深そうに俺をじっと見つめる。
「なんだよ」
「うん。相手は真純なんだよね」
 嬉しそうに柔らかにはにかんで、俺の手を握ってくる。
「!」
 カッと顔が熱くなって、俺は手を振り払った。
「ばか、外で止めろよ」
 一瞬で最後までしてしまったことを思い出してしまい、ごまかすように口調を強めてしまう。
 一週間前───になる。
 あれ一度きりだが身体の隅々まで触られた感触が強烈に残っていた。触られると一気に思い出してしまう。
「だって、学校で触るのも駄目って言うから」
 気に止めないように口元で笑って間宮が呟く。
「当たり前だろ。部室も人の出入りあるんだし」
 今までだってきわどい所までしていたのが危なかったし、同好会顧問の渡辺先生には見られたのだ……。
 うわあ……と穴に埋まりたくなってると、間宮がおずおずと言ってくる。
「……夏休みさ……どっか旅行行かない? 泊まりで」
「……………」
 俺はじっと間宮を見た。ちょっと思案した後、言ってみる。
「東京。寄席に行きたい」
「───そう言うよね」
 想定内と言わんばかりに、間宮はため息をつく。
「あ。お前やることやったら俺への対応雑じゃないか?」
「……人聞きの悪いこと言うのやめてくれないかな……」
 なにやら傷付いた表情を見せる間宮に、「だってそうじゃないか」と一瞥する。間宮が慌てて否定する。
「違うよ。最初はともかく、今は自信が持てたから」
「自信? なんの?」
「真純が俺のことを好きなこと」
 満足そうに笑っての発言に、俺はパチリと瞬きした。
「誰が? 誰に?」
「……そう言われるのも、傷付くんだけど……」
 本当に傷付いたと顔を曇らす間宮に、「違うだろ」と俺は続ける。
「お前が俺を好きなんだろ?」
「─────」
 じっと間宮が俺を凝視した。なんだよと思ってると、
「真純って……そう言うとこ真純だよね」
 よくわからんことを言ってきた。
「なんだよ」
「……とにかくさ、夏休みどっか行きたい。一緒に」
「まあ、考えておくけどさ」
 一応言ってみたが、
「泊まりなら、家に来ればいいじゃないか」
 妥協案を提案すると、間宮は言いにくそうにデカイ体を縮ませながら、
「……いや、俺そんな度胸ないです……」
 ある意味親公認(違うか)な感じなのに、なに尻込みしてるんだろう。───それに、と思う。
(今の誘ってみたんだけどな……)
 おや? と肩透かしな気分で間宮を見やる。どうせそういうこと目当てなんだろうに、と今度は分かりやすくいこうと言い方を変えてみる。
「今週末の土曜、母親東京の父親のとこ行くって言って留守だけど」
 単身赴任中の父親を思い出しながら続ける。
「───お前、泊まりに来る?」
「─────」
 ぽかーんと、間宮は俺を見た。
「嫌ならいいけど」
「い、嫌じゃないです! ぜひっ」
「イチャイチャはしないけど」
「ええっ? どういうこと?」
 表情を変える間宮が面白くて、俺はニッと笑ってしまう。
「とにかくそういうことでの期末試験の勉強なんだけど」
 核心に触れないような微妙な物言いをして、俺は目を細めて、息を飲む間宮を尻目に歩を早めた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

処理中です...