悪役貴族で何が悪い!

赤茄子

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02:家事仕事

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 ルニア王国宮廷の
敷地内に隣接された建物。
『百合館』と呼ばれるその館には、
国王アレス=シギベルトの
女側近が暮らしている。

 そして、このアレス王には
未だ本妻がおらず、ぽっかりと
椅子が空いている状態にある。

 そこの席を狙わんとするのが
女側近達である。

 国王に最も身近な存在であり、
コソッとランデブーしやすい
位置にいる彼女らは、
これでもかと言わんばかりに、
アレス王に対してアピールするのだ。







「ちょっと!焦げてる!焦げてる!」

「ご、ごめんなさいー!」

 カレンの悲鳴が、
厨房いっぱいに響き渡る。

 新米のカレンの指導係に選ばれたのは、
同室の仲であり、女側近の
まとめ役でもあるアリスだった。

 元平民だったカレンは、貴族とは違って
掃除も料理もお手の物……という訳ではなく、むしろ家事は苦手な分野にある。

 女側近の主な仕事は、国王の身の回りの世話。

 よって、側近は掃除から料理まで
こなさなければならない。

「……なのに、この女と言ったら!」

 まるで、最初から皮など無かったかのように滑らかに剥けた芋を片手に、

「何も出来ないじゃないの!!」

 もはや食す部分が10分の1サイズに
まで小さくなった芋を
持ったカレンを叱っていた。

「鍋を見ておいてと頼めば、
本当に見てるだけだし……」

 コンロには、とても
王族に出せるものでは
無い食品だったものが鍋に入っている。

「付け合せの芋を剥いてと言ったら、
芋は残ってないし……」

「あれ、難しいんですね」

「アンタが下手くそなのよ!!」

「もうっ!作り直しじゃない」

「申し訳ありません……」

「カレンは皿を用意しておいて頂戴。
絶対、割らないでね?」

「絶対、ですか……?」

「絶対……よ」

 フリですか?

 あんた、追い出すわよ?

 そんな会話が目線のみで交わされる。







「なんとか、出来たわ」

「出来、ましたね!」

 凄い!凄いです私!!

 そう言いたそうにガッツポーズを
決めているカレンを横目に、
満身創痍のアリスが椅子に座る。

「ご指導、ありがとうございました。アリス先輩!」
カレンは満開の笑顔を咲かせながら
アリスに礼を言う。

「本当、感謝してよね!」

 少し得意げになったアリスは、
勢いよく椅子から立ち上がって、

「さぁ、運ぶわよ!」

そう告げた。
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