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俺と彼女の出会いについて
まだ五月だというのにギラギラと暑さを放つ太陽。都会のアスファルト地獄のせいで日差しの照り返しが強く、沢山の建物やビルに遮られ風も少ない。
じんわりと額に汗をかきながら高林隆一(たかばやし りゅういち)はいつも仕事で着ているグレーのスーツと白シャツ、水色のストライプ柄のネクタイを身に纏い都内のホテルに父親の高林隆蔵(たかばやし りゅうぞう)と歩いて向かっていた。
「親父、本当に今回だけだからな。見合いなんてしたくねぇんだからもう変な約束してくんなよ?」
「悪い悪い、つい飲み屋で仲良くなった人の娘とお見合いさせようって盛り上がっちゃってさ~まぁ、会ってみて素敵な人だったらいいじゃねぇか、な?」
自分の親ながらに軽いフットワークに関心さえする。
駅から歩いて十分もしない都内のホテルでの待ち合わせらしい。ホテル四階のラウンジに入ると既に利用している人達がチラホラ。最近ではかしこまったお見合いよりもこういったラウンジでの軽い感じのお見合いも流行っているそうだ。お見合いと思える様子の人達もいる。このホテルのラウンジは向こうの女性からの提案らしく、入ってすぐ目の前にある大きな窓からからは東京のパノラマを見渡せる眺望の良さと、開放感。全体的にグレーやブラックの色で統一されたラウンジが都会的でラグジュアリーな雰囲気を漂わせる。ふかふかのダークグレーのソファーに父親と並んで腰を下ろす。ぐるりと見渡してもそれらしき人が見当たらない。
「親父、このホテルであってんだよな?」
「ん、あぁ、確かにラインでそう言ってたぞ、ほら」
ん、と親父が見せてきたラインの相手の名前は銀ちゃん。確かにこのホテルで合っている。
「おーい、隆蔵。待たせたな」
落ち着いていて、低く太い声は隆蔵と親父の名前を呼んでいる。声の方に視線をずらすと五十代らしき背の高くスラっとした黒のスーツを着た男性とその男性より三十センチは低い身長の小柄で可愛らしい雰囲気の女性。ミントグリーンの綺麗なワンピースを着こなして、男性の一歩下がった位置に彼女は立っていた。
「おお、銀ちゃん! こっちこっち」
どんどん近づいてくる二人に緊張からか胸の動悸が鳴り止まない。
近くでちゃんの見ると可愛さが更に増す。肩までの長さの綺麗な黒髪は艶めいていて、パッチリと大きい瞳に、小ぶりな鼻。ぷっくりとした唇に、キスしたら柔らかいんだろうなぁ……なんて考えてしまった。
「初めまして、斉藤銀樹(さいとう ぎんじ)です。こっちは娘の美桜(みお)です」
「美桜です。本日はよろしくお願い致します」
背筋をピンと伸ばし凛と挨拶をする彼女に俺はこの胸の動悸の原因に気づいた。
――彼女から目が離せなかった。
一目惚れとは本当に一目見ただけで好きになってしまうものなのかと実感した。
「高林隆一です、こちらは僕の父の隆蔵です」
緊張をグッと飲み込み軽く自己紹介をした。
全員がソファーに腰を下ろし飲み物を頼むと彼女はイメージ通りミルクティーを頼み、ついでにマカロンも、と言って恥ずかしそうに少し笑いマカロンも頼んでいた。
お互いの父親二人がラウンジの雰囲気をぶち壊す盛り上がりようで俺と彼女は苦笑いしながら相槌を打つくらいしかできずにお見合いが終わった。
最後に連絡先を交換し、「今度デートに誘ってもいいですか? もちろん二人で」と二人の父親に聞こえないよう、彼女にだけ聞こえるよう彼女の耳元に小さな声で聞くと「もちろんです」と小さな声で満々の笑みの返事をくれた。
その時に香った彼女からのほのかに甘い香りが鼻から身体の中に入るとゾクっと身体が震えそうになる程身体中の細胞が反応した気がした。
じんわりと額に汗をかきながら高林隆一(たかばやし りゅういち)はいつも仕事で着ているグレーのスーツと白シャツ、水色のストライプ柄のネクタイを身に纏い都内のホテルに父親の高林隆蔵(たかばやし りゅうぞう)と歩いて向かっていた。
「親父、本当に今回だけだからな。見合いなんてしたくねぇんだからもう変な約束してくんなよ?」
「悪い悪い、つい飲み屋で仲良くなった人の娘とお見合いさせようって盛り上がっちゃってさ~まぁ、会ってみて素敵な人だったらいいじゃねぇか、な?」
自分の親ながらに軽いフットワークに関心さえする。
駅から歩いて十分もしない都内のホテルでの待ち合わせらしい。ホテル四階のラウンジに入ると既に利用している人達がチラホラ。最近ではかしこまったお見合いよりもこういったラウンジでの軽い感じのお見合いも流行っているそうだ。お見合いと思える様子の人達もいる。このホテルのラウンジは向こうの女性からの提案らしく、入ってすぐ目の前にある大きな窓からからは東京のパノラマを見渡せる眺望の良さと、開放感。全体的にグレーやブラックの色で統一されたラウンジが都会的でラグジュアリーな雰囲気を漂わせる。ふかふかのダークグレーのソファーに父親と並んで腰を下ろす。ぐるりと見渡してもそれらしき人が見当たらない。
「親父、このホテルであってんだよな?」
「ん、あぁ、確かにラインでそう言ってたぞ、ほら」
ん、と親父が見せてきたラインの相手の名前は銀ちゃん。確かにこのホテルで合っている。
「おーい、隆蔵。待たせたな」
落ち着いていて、低く太い声は隆蔵と親父の名前を呼んでいる。声の方に視線をずらすと五十代らしき背の高くスラっとした黒のスーツを着た男性とその男性より三十センチは低い身長の小柄で可愛らしい雰囲気の女性。ミントグリーンの綺麗なワンピースを着こなして、男性の一歩下がった位置に彼女は立っていた。
「おお、銀ちゃん! こっちこっち」
どんどん近づいてくる二人に緊張からか胸の動悸が鳴り止まない。
近くでちゃんの見ると可愛さが更に増す。肩までの長さの綺麗な黒髪は艶めいていて、パッチリと大きい瞳に、小ぶりな鼻。ぷっくりとした唇に、キスしたら柔らかいんだろうなぁ……なんて考えてしまった。
「初めまして、斉藤銀樹(さいとう ぎんじ)です。こっちは娘の美桜(みお)です」
「美桜です。本日はよろしくお願い致します」
背筋をピンと伸ばし凛と挨拶をする彼女に俺はこの胸の動悸の原因に気づいた。
――彼女から目が離せなかった。
一目惚れとは本当に一目見ただけで好きになってしまうものなのかと実感した。
「高林隆一です、こちらは僕の父の隆蔵です」
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全員がソファーに腰を下ろし飲み物を頼むと彼女はイメージ通りミルクティーを頼み、ついでにマカロンも、と言って恥ずかしそうに少し笑いマカロンも頼んでいた。
お互いの父親二人がラウンジの雰囲気をぶち壊す盛り上がりようで俺と彼女は苦笑いしながら相槌を打つくらいしかできずにお見合いが終わった。
最後に連絡先を交換し、「今度デートに誘ってもいいですか? もちろん二人で」と二人の父親に聞こえないよう、彼女にだけ聞こえるよう彼女の耳元に小さな声で聞くと「もちろんです」と小さな声で満々の笑みの返事をくれた。
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