俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されています

森本イチカ

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「……美桜は漫画が好きだろ、でも読んでる漫画は男と女の恋愛でBLは読んでないって最初に言ってたもんな。だからますます言いづらいと言うか……」


 ほんの数秒の沈黙の後、頭を掻きながら決心したかのように口を開く。


「俺の姉がBL漫画家なんだよ。それで……原稿書くのに呼び出されてて、多分美桜が見た男の人も姉の担当編集者さんだと思う。俺、あの人と原稿の資料の為だからって……その、か、絡まされてるんだよ……決してやましいアレではないんだけどな。たけど、BL好きな人じゃない限り男同士が絡んでるってちょっと抵抗ないか?」


 おっと。思考回路がまたもついていかなくて頭の中がぐちゃぐちゃになっている。つまり、隆ちゃんは私が腐女子と言う事を知らない故に、自分が姉の漫画の資料にされている事を私に知られたくなかったって事……かな?


「……おねえさんペンネームは?」


「確か高森亜也だったかな」


 全身の細胞がザワザワと騒ぎ出す。心臓がバクバクと激しく動く。



(え、ちょっと待って? あの私の一番推しの高森亜也先生が隆ちゃんのお姉さんで、そのBLの資料に隆ちゃんが使われてて、え、それってやばすぎる!!! 凄すぎる!!!)


「隆ちゃん……私も隆ちゃんに嘘ついてた事があるんだけど……ちょっと来てもらえるかな?」


 テンションが上がりきってるのを悟られないよう、落ち着いたトーンで話す。さっきまで身体に全く力が入らなかったのに、今じゃ身体の奥から力がみなぎるように興奮し、身体が火照っている。


 ずっと隠していこうと思っていた宝庫(BL漫画が入ってる段ボール)を開く。もちろん手に取ったのは高森亜也先生の作品だ。


「隆ちゃん……私本当はBL大好きな腐女子なんです。隠しててごめんなさいっ!」


 バンっと隆ちゃんの目の前に表紙を突き出し、精一杯身体を折り曲げて謝る。嘘ついててごめんなさい! と。


「え……ま、まじで?」


 チラッと隆ちゃんの顔を覗き込むと目を大きく見開き、手に口を当てて、かなり驚いた顔をしている。


「ま、まじなんです……BL好きっていうと、その、引かれるかなって思って、あの、言えなかったんだよね……好きな物は誰にも貶されずに一人で楽しんだ方がいいなって、ずっとそうしてきたから。内緒で一人の時間にBL読んでました。なんなら隆ちゃんがお姉さんの仕事手伝ってていない間ずっとBL読んで至福の時間を過ごしてました! ごめんなさい!」


「いや、俺は身内があれだからBLが好きでも引かないけど、まさか美桜が腐女子で、しかも姉のファンって……なんかもう笑えてくるな」


 クククッと肩を揺らし笑う隆ちゃん。つられて私も笑みがこぼれる。
 こんな事なら最初から素直にBLも好きです、って言えば良かった。そしたらお互い嘘をつかないでいれたのかもしれない。お互いの変な偏見のせいで、危うくすれ違うところだった。(いや、一回すれ違ったか)
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