20 / 1,649
プロローグ(大輝、レーニャ、死後の世界にて)
4【アルバード英雄記】
しおりを挟む
「その本を読んだ俺は、孤独で誰よりも純粋な主人公の男の子に強い憧れを持ったんだ。
それと同時に、今の自分がすごく恥ずかしくなった。
家族を見て感じていた気持ちは嫉妬で、きっとこの本の主人公に出会っていなかったら、俺は自分にないものを持つ人全員を恨むようになっていたかもしれないね。
現実を直視できず、受け入れず、ただただ人を恨み続ける……そうならない様に努力することができたのは、主人公の彼のお陰なんだよ。」
「……ふむっ。あのよく大樹さんが手にしていた本ですね。【アルバード英雄記】ですか……。私も読んでみたいです。────ちょっと失礼しますね。」
そう言ってレーニャちゃんは、俺の額に人差し指を当てるとポンッという音とともに一冊の本が出現する。
黒一色の表紙に【アルバード英雄記】とだけ書かれたシンプルな見た目の本。
まさしく俺の人生の全てを変えてくれた、相棒とも言える本そのものであった。
「どれどれ~。」
レーニャちゃんはその本の表紙に手を添え、突然目を閉じる。
そして時間にして5秒くらい経った頃だろうか、すぐにハッとした様子で目を見開いた。
「……驚きました。地球にアルバード王国の預言者がいたのですね。」
「────へ?予言???いやいや、違うよ~。これは空想の物語なんだ。
その作者さんが作ったありもしない世界の作り話なんだよ。」
それを聞いたレーニャちゃんは静かに首を振った。
「いいえ、これは間違いなく予言書です。これからこのアルバード王国で起こる現実の未来が書かれています。
この世界はたしか……イシュルという小神が担当していたはずです。」
「えっ?! ど、どういうことだい?? アルバード王国が実際に存在するなんて……!
そもそも預言者なんてすごいじゃないか!そんなすごい人が地球にいるなんてびっくりだよ。」
「────いえ、預言者自体はそんなに珍しいものではありません。
世界の絶対的ルール【理】に一瞬だけ同調してしまう人が稀にいまして……。予言とは、その時覗いてしまった未来のビジョンなんです。
ただしそれは断片的で、かつ自身が暮らす世界の未来とは限りません。
この『数』という概念が成り立たないくらい無数に存在している世界の中で、自分が住むたった一つの世界の未来を偶然覗く……その確率はほぼゼロでしょう。
ですので大体の預言者は、変な夢を見たなくらいの感覚しか無いようです。この本の作者もまさか、予言書になるとは思わず書いたみたいですね。」
聞かされた衝撃の事実に俺は呆然としながらレーニャちゃんを見た。
8歳の頃に初めて出会ってからずっと俺を支え続けてくれた【アルバード英雄記】。
俺の人生そのものと言っても過言ではないこの本が現実の世界の話であったなど、驚くことしかできない。
これから起こる未来……。────では……主人公の彼は……?
俺はサァ~……と血の気が引いていくのを感じながら、まるで独り言の様にボソッと呟いた。
「────じゃあこの本の主人公は……。<レオンハルト>は、本当にこの本の通りの人生を歩むのかい?」
それと同時に、今の自分がすごく恥ずかしくなった。
家族を見て感じていた気持ちは嫉妬で、きっとこの本の主人公に出会っていなかったら、俺は自分にないものを持つ人全員を恨むようになっていたかもしれないね。
現実を直視できず、受け入れず、ただただ人を恨み続ける……そうならない様に努力することができたのは、主人公の彼のお陰なんだよ。」
「……ふむっ。あのよく大樹さんが手にしていた本ですね。【アルバード英雄記】ですか……。私も読んでみたいです。────ちょっと失礼しますね。」
そう言ってレーニャちゃんは、俺の額に人差し指を当てるとポンッという音とともに一冊の本が出現する。
黒一色の表紙に【アルバード英雄記】とだけ書かれたシンプルな見た目の本。
まさしく俺の人生の全てを変えてくれた、相棒とも言える本そのものであった。
「どれどれ~。」
レーニャちゃんはその本の表紙に手を添え、突然目を閉じる。
そして時間にして5秒くらい経った頃だろうか、すぐにハッとした様子で目を見開いた。
「……驚きました。地球にアルバード王国の預言者がいたのですね。」
「────へ?予言???いやいや、違うよ~。これは空想の物語なんだ。
その作者さんが作ったありもしない世界の作り話なんだよ。」
それを聞いたレーニャちゃんは静かに首を振った。
「いいえ、これは間違いなく予言書です。これからこのアルバード王国で起こる現実の未来が書かれています。
この世界はたしか……イシュルという小神が担当していたはずです。」
「えっ?! ど、どういうことだい?? アルバード王国が実際に存在するなんて……!
そもそも預言者なんてすごいじゃないか!そんなすごい人が地球にいるなんてびっくりだよ。」
「────いえ、預言者自体はそんなに珍しいものではありません。
世界の絶対的ルール【理】に一瞬だけ同調してしまう人が稀にいまして……。予言とは、その時覗いてしまった未来のビジョンなんです。
ただしそれは断片的で、かつ自身が暮らす世界の未来とは限りません。
この『数』という概念が成り立たないくらい無数に存在している世界の中で、自分が住むたった一つの世界の未来を偶然覗く……その確率はほぼゼロでしょう。
ですので大体の預言者は、変な夢を見たなくらいの感覚しか無いようです。この本の作者もまさか、予言書になるとは思わず書いたみたいですね。」
聞かされた衝撃の事実に俺は呆然としながらレーニャちゃんを見た。
8歳の頃に初めて出会ってからずっと俺を支え続けてくれた【アルバード英雄記】。
俺の人生そのものと言っても過言ではないこの本が現実の世界の話であったなど、驚くことしかできない。
これから起こる未来……。────では……主人公の彼は……?
俺はサァ~……と血の気が引いていくのを感じながら、まるで独り言の様にボソッと呟いた。
「────じゃあこの本の主人公は……。<レオンハルト>は、本当にこの本の通りの人生を歩むのかい?」
160
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる