48 / 1,649
第一章(転生後、レオンハルトと出会うまで)
32 リーフの俺と衝撃の事実と
しおりを挟む
(リーフ)
その言葉を聞いた瞬間────俺はピタリと動きを止める。
……ん?んんんん────????
何か今すごく衝撃的な事を言われたような……??
眉を寄せて考え込む俺の姿をよそに、彼女は手に持つピカピカの洗面器を小さなテーブルの上に置き、タオルを横の取手の様なところに掛けた。
その動きを目で捉えながら、俺はそのお嬢さんに恐る恐る話しかける。
「おっ、おはようございまーす!────で、悪いんだけど、もう一度俺の名前言ってもらえないかな~?できれば大きな声で!」
挨拶は朝の基本。
これを欠かすのはいけないと慌てて挨拶を返し、その後はしっかり確認をするために、もう一度名前を言って貰えないか尋ねた。
前世では体の衰えとともに耳も遠くなっていたから、もしかしてその名残で聞き間違えたかもしれないし……。
そのためしっかりと大ボリュームでお願いすると、彼女はポカンとした顔のまま固まってしまう。
「???」
不思議に思いながら彼女の顔をまじまじと見つめると、心なしか顔色が悪いように見えた。
「もしかして具合悪いの?大丈夫?」
心配になって尋ねてみれば、彼女はハッ!とした様子で慌てて頭を下げる。
「申し訳ありません!その……今朝は随分と落ち着いている様子だったのでつい驚いてしまって……。えっと、お名前を大きい声で叫べばいいのですね!────では……。」
すぅ~っと大きく息を吸った彼女は、俺が思った以上の大ボリュームの声で叫んだ。
「リーフ様ぁぁぁぁ────────!!!」
近くで叫ばれたせいで耳がキンキンと痛む事から、耳は遠くなってなさそう。
「……あ、ありがとう。────で、ごめんね。俺ちょっと急用を思い出したから、少しだけ一人にしてくれるかな~?」
ホタホタ~!と胡散臭い笑みを浮かべながら、1人にしてほしい旨を伝え、戸惑う彼女の背を押し丁寧に部屋から追い出す。
そして途端にシ────ン……と静まりかえってしまった部屋の中で────……俺はそのまま床にバターンと仰向けに倒れた。
これはもう間違いない……。
俺、リーフ・フォン・メルンブルクに転生してる!!!
わ────!!!と悲鳴をあげそうになった口元を慌てて押さえ、グワングワンと荒れ狂う思考の中、リーフという人間について思い出す。
アルバード英雄記の中で、主人公レオンハルトを最も苦しめた張本人、悪の親玉!
そんな最凶・最悪の悪役、リーフ・フォン・メルンブルクに……俺は転生してしまっている!!
な、な、な、なんてこった!!この可能性は想像だにしていなかったぞ!
俺は、頭を抱えて右へ左へゴロゴロと転がった。
リーフといえばレオンハルトを虐めてその力を引き出す、言わば当て馬的ポジションの悪役キャラ。
俺の考えていた予定としては、レオンハルトの物語に全く関わらない人物に生まれ、ストーリーの大まかな流れは変えずにちょいちょい微力ながらレオンハルトの手助けをするはずだった。
しかし、こんながっつりストーリーに組み込まれている人物では、行動はかなり制限されてしまう!
『レオンハルトが奴隷になる事、リーフに虐げられる事、それは変えない方がいいかもしれません。』
突如レーニャちゃんが言っていた言葉が頭をよぎり、うぅ~……と唸り声をあげた。
リーフがレオンハルトを虐めなければ、彼は強くなる事が出来ない。
それは絶対に必要な事────と、分かっている、分かってはいるのだか……。
「────虐めか……。」
想像力が貧困な俺に、果たしてそんな大役がこなせるだろうか……?
寝転んだまま俺は腕を組み、必死に鳥さん頭をフル活動して考えてみた。
────無抵抗の子供相手に暴言を吐くおじさん。時には暴力も振るう……。
それをモヤモヤと想像したところで、俺は大きく震える腕で大きくバッテンを作る。
……これはいけない。
そんな子供を虐めるおじさんがいたら、俺が即座に殴り飛ばす。
でも……そんなおじさんに俺はこれからならなくてはならない。
ましてや俺の憧れのヒーロー相手にそんな事をしなければならないなんて、なんて辛い大役を背負ってしまったのか!
汗をダラダラとかきながら唸り続けたが、ネガティブな事ばかり考えても仕方がない、ここはポジティブな事を考えよう!
そう決意し、どっこいしょと立ち上がった。
その言葉を聞いた瞬間────俺はピタリと動きを止める。
……ん?んんんん────????
何か今すごく衝撃的な事を言われたような……??
眉を寄せて考え込む俺の姿をよそに、彼女は手に持つピカピカの洗面器を小さなテーブルの上に置き、タオルを横の取手の様なところに掛けた。
その動きを目で捉えながら、俺はそのお嬢さんに恐る恐る話しかける。
「おっ、おはようございまーす!────で、悪いんだけど、もう一度俺の名前言ってもらえないかな~?できれば大きな声で!」
挨拶は朝の基本。
これを欠かすのはいけないと慌てて挨拶を返し、その後はしっかり確認をするために、もう一度名前を言って貰えないか尋ねた。
前世では体の衰えとともに耳も遠くなっていたから、もしかしてその名残で聞き間違えたかもしれないし……。
そのためしっかりと大ボリュームでお願いすると、彼女はポカンとした顔のまま固まってしまう。
「???」
不思議に思いながら彼女の顔をまじまじと見つめると、心なしか顔色が悪いように見えた。
「もしかして具合悪いの?大丈夫?」
心配になって尋ねてみれば、彼女はハッ!とした様子で慌てて頭を下げる。
「申し訳ありません!その……今朝は随分と落ち着いている様子だったのでつい驚いてしまって……。えっと、お名前を大きい声で叫べばいいのですね!────では……。」
すぅ~っと大きく息を吸った彼女は、俺が思った以上の大ボリュームの声で叫んだ。
「リーフ様ぁぁぁぁ────────!!!」
近くで叫ばれたせいで耳がキンキンと痛む事から、耳は遠くなってなさそう。
「……あ、ありがとう。────で、ごめんね。俺ちょっと急用を思い出したから、少しだけ一人にしてくれるかな~?」
ホタホタ~!と胡散臭い笑みを浮かべながら、1人にしてほしい旨を伝え、戸惑う彼女の背を押し丁寧に部屋から追い出す。
そして途端にシ────ン……と静まりかえってしまった部屋の中で────……俺はそのまま床にバターンと仰向けに倒れた。
これはもう間違いない……。
俺、リーフ・フォン・メルンブルクに転生してる!!!
わ────!!!と悲鳴をあげそうになった口元を慌てて押さえ、グワングワンと荒れ狂う思考の中、リーフという人間について思い出す。
アルバード英雄記の中で、主人公レオンハルトを最も苦しめた張本人、悪の親玉!
そんな最凶・最悪の悪役、リーフ・フォン・メルンブルクに……俺は転生してしまっている!!
な、な、な、なんてこった!!この可能性は想像だにしていなかったぞ!
俺は、頭を抱えて右へ左へゴロゴロと転がった。
リーフといえばレオンハルトを虐めてその力を引き出す、言わば当て馬的ポジションの悪役キャラ。
俺の考えていた予定としては、レオンハルトの物語に全く関わらない人物に生まれ、ストーリーの大まかな流れは変えずにちょいちょい微力ながらレオンハルトの手助けをするはずだった。
しかし、こんながっつりストーリーに組み込まれている人物では、行動はかなり制限されてしまう!
『レオンハルトが奴隷になる事、リーフに虐げられる事、それは変えない方がいいかもしれません。』
突如レーニャちゃんが言っていた言葉が頭をよぎり、うぅ~……と唸り声をあげた。
リーフがレオンハルトを虐めなければ、彼は強くなる事が出来ない。
それは絶対に必要な事────と、分かっている、分かってはいるのだか……。
「────虐めか……。」
想像力が貧困な俺に、果たしてそんな大役がこなせるだろうか……?
寝転んだまま俺は腕を組み、必死に鳥さん頭をフル活動して考えてみた。
────無抵抗の子供相手に暴言を吐くおじさん。時には暴力も振るう……。
それをモヤモヤと想像したところで、俺は大きく震える腕で大きくバッテンを作る。
……これはいけない。
そんな子供を虐めるおじさんがいたら、俺が即座に殴り飛ばす。
でも……そんなおじさんに俺はこれからならなくてはならない。
ましてや俺の憧れのヒーロー相手にそんな事をしなければならないなんて、なんて辛い大役を背負ってしまったのか!
汗をダラダラとかきながら唸り続けたが、ネガティブな事ばかり考えても仕方がない、ここはポジティブな事を考えよう!
そう決意し、どっこいしょと立ち上がった。
150
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる