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第一章(転生後、レオンハルトと出会うまで)
(レオン)51 あるべき世界
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(レオン)
走って走って走って──────………。
ブルブルと震える身体と、もつれて今にも転びそうな足を懸命に動かし、俺は自分の家へと辿り着いた。
そして直ぐに中へ入り後ろ手でドアを閉めると、そのままズルズルと地面に崩れ落ちる。
「……っはぁ!はぁっ!……っ……はぁっ……!」
混乱する頭と鳴り止まぬ鼓動が痛くて……激しく息を乱しながら、膝に顔を埋めギュッと自身の体を抱きしめた。
◇◇
いつもと変わらない朝、そして変わらぬ日常になるはずだった。
誰もいない部屋の中で、化物の自分の体を蝕むのは、苦しい飢餓感だ。
「……お腹……空いたな。」
俺はボソッと呟きながら、生まれてからずっと満たされた事がないお腹を擦った。
絶対的な孤独……そんな一人で完結する世界の中、今日も俺はその世界に必死にしがみつく。
何故かと言われても、明確には答えられない。
しかし、俺にとってはココがあるがままの世界で、ココでしか俺は存在する事ができないから……だから振り落とされない様にしがみつくしかない、ただそれだけだった。
もしかしたら俺は────俺という存在が消えてしまうのが怖いのかもしれない。
「『気持ち悪い化物』が消え去ってくれる事を、誰もが願っているのに……。」
周りの願いに反して生きようと、ぐぅぐぅと飢餓感を訴えてくる腹を抱え、首を強く振って考えを散らす。
そして、俺は床に落ちている薄汚れた布を頭に深く被り、剥き出しになっている気味の悪い左手と左足にもしっかりと布を巻くと、辛うじて使える木のテーブルの上に視線を向けた。
そこには、1日1回、この部屋に投げ捨てられるパンの小さなカケラが置いてある。
それを口に含めば、家の中にある唯一の食料はなくなった。
飢餓感を少しでも満たすため、与えられるパンは少しずつ齧って食べる様にしているのだが、そんなモノでは全く満たされない。
だから街に行って、少しでも食べられそうな物を探す、これが俺の『普通の日常』だ。
「…………。」
俺は一度自分の部屋を見渡した後、無言で部屋を出て、いつも通りの一日を過ごすため街の方角へと歩き始めた。
街に着いてまず向かうのは、飲食店のある道の裏路地で、そこにあるゴミ箱を漁れば運良く前日の客の食べ残しが沢山手に入る事がある。
そのため、そこを狙うのだが……勿論見つかれば罵倒され酷いときには石などを投げつけられて追い払われてしまう事もあるため、ちょうど昼時、一番お店が忙しくなる時を狙って細心の注意を払ってゴミ箱を漁るのだ。
そうすれば、誰にも見つからずに、ゆっくりとゴミを漁ることができるから。
俺はいつも通り、目立たない場所を選んで歩き、いつも通りの飲食店がある道の路地裏へと到着すると、そこにあるゴミ箱の中を慎重に漁った。
鳥の小さな骨が数本……キャベツの芯……今日は運が悪い事に、あまり食べ残しは残っていない様だ。
しかし、それでも俺にとってはご馳走だ。
────パクッ!
誰かに取り上げられないように直ぐに口の中に入れ、しっかりとそれを噛み締めたが、それだけでは全く足りずお腹はずっとグーグーと鳴ったまま。
少しでも長く口の中に入れている事で、なんとかその不快な感覚を誤魔化そうとするもお腹は騙されてはくれないらしい。
あぁ……お腹が空いた……。
空腹を訴え続けるお腹を押さえながら、フッと思う。
一度でいいからお腹が一杯になってみたい。
この飢餓感から解放されたい。
そんな叶うはずのない願望を抱きながら、俺は続けて以前遠目で見たことがある食事風景を思い浮かべた。
テーブルに所狭しと並べられた豪華な食事達、それは一体どんな味がするのだろうか?
匂いだけでもお腹が膨れそうな刺激の強い料理の数々に、全く想像が追いつかない。
それに────……。
俺の脳裏にはもう一つ、その風景に映る映像が浮かび上がる。
テーブルの周りを囲み、笑顔で笑い合う人々の姿。
食事を共にする人々は、本当に幸せそうな様子であった事を思い出し、俺はフッと思った。
『喜びの共有』とは、一体どの様なものなんだろう?
それをする事で、一体何が自分に与えられるのか?
その答えはココにいる俺には一生分からない。
「…………。」
俺は頭を軽く振り妄想を吹き飛ばすと、淡々ともう一つあるゴミ箱を開け中のゴミを掻き分け始めたが、いつもは考えない妄想に浸ってたせいだろうか、俺の注意力は随分と散漫になっていたらしい。
近づいてくる人の気配に全く気が付かなかった。
走って走って走って──────………。
ブルブルと震える身体と、もつれて今にも転びそうな足を懸命に動かし、俺は自分の家へと辿り着いた。
そして直ぐに中へ入り後ろ手でドアを閉めると、そのままズルズルと地面に崩れ落ちる。
「……っはぁ!はぁっ!……っ……はぁっ……!」
混乱する頭と鳴り止まぬ鼓動が痛くて……激しく息を乱しながら、膝に顔を埋めギュッと自身の体を抱きしめた。
◇◇
いつもと変わらない朝、そして変わらぬ日常になるはずだった。
誰もいない部屋の中で、化物の自分の体を蝕むのは、苦しい飢餓感だ。
「……お腹……空いたな。」
俺はボソッと呟きながら、生まれてからずっと満たされた事がないお腹を擦った。
絶対的な孤独……そんな一人で完結する世界の中、今日も俺はその世界に必死にしがみつく。
何故かと言われても、明確には答えられない。
しかし、俺にとってはココがあるがままの世界で、ココでしか俺は存在する事ができないから……だから振り落とされない様にしがみつくしかない、ただそれだけだった。
もしかしたら俺は────俺という存在が消えてしまうのが怖いのかもしれない。
「『気持ち悪い化物』が消え去ってくれる事を、誰もが願っているのに……。」
周りの願いに反して生きようと、ぐぅぐぅと飢餓感を訴えてくる腹を抱え、首を強く振って考えを散らす。
そして、俺は床に落ちている薄汚れた布を頭に深く被り、剥き出しになっている気味の悪い左手と左足にもしっかりと布を巻くと、辛うじて使える木のテーブルの上に視線を向けた。
そこには、1日1回、この部屋に投げ捨てられるパンの小さなカケラが置いてある。
それを口に含めば、家の中にある唯一の食料はなくなった。
飢餓感を少しでも満たすため、与えられるパンは少しずつ齧って食べる様にしているのだが、そんなモノでは全く満たされない。
だから街に行って、少しでも食べられそうな物を探す、これが俺の『普通の日常』だ。
「…………。」
俺は一度自分の部屋を見渡した後、無言で部屋を出て、いつも通りの一日を過ごすため街の方角へと歩き始めた。
街に着いてまず向かうのは、飲食店のある道の裏路地で、そこにあるゴミ箱を漁れば運良く前日の客の食べ残しが沢山手に入る事がある。
そのため、そこを狙うのだが……勿論見つかれば罵倒され酷いときには石などを投げつけられて追い払われてしまう事もあるため、ちょうど昼時、一番お店が忙しくなる時を狙って細心の注意を払ってゴミ箱を漁るのだ。
そうすれば、誰にも見つからずに、ゆっくりとゴミを漁ることができるから。
俺はいつも通り、目立たない場所を選んで歩き、いつも通りの飲食店がある道の路地裏へと到着すると、そこにあるゴミ箱の中を慎重に漁った。
鳥の小さな骨が数本……キャベツの芯……今日は運が悪い事に、あまり食べ残しは残っていない様だ。
しかし、それでも俺にとってはご馳走だ。
────パクッ!
誰かに取り上げられないように直ぐに口の中に入れ、しっかりとそれを噛み締めたが、それだけでは全く足りずお腹はずっとグーグーと鳴ったまま。
少しでも長く口の中に入れている事で、なんとかその不快な感覚を誤魔化そうとするもお腹は騙されてはくれないらしい。
あぁ……お腹が空いた……。
空腹を訴え続けるお腹を押さえながら、フッと思う。
一度でいいからお腹が一杯になってみたい。
この飢餓感から解放されたい。
そんな叶うはずのない願望を抱きながら、俺は続けて以前遠目で見たことがある食事風景を思い浮かべた。
テーブルに所狭しと並べられた豪華な食事達、それは一体どんな味がするのだろうか?
匂いだけでもお腹が膨れそうな刺激の強い料理の数々に、全く想像が追いつかない。
それに────……。
俺の脳裏にはもう一つ、その風景に映る映像が浮かび上がる。
テーブルの周りを囲み、笑顔で笑い合う人々の姿。
食事を共にする人々は、本当に幸せそうな様子であった事を思い出し、俺はフッと思った。
『喜びの共有』とは、一体どの様なものなんだろう?
それをする事で、一体何が自分に与えられるのか?
その答えはココにいる俺には一生分からない。
「…………。」
俺は頭を軽く振り妄想を吹き飛ばすと、淡々ともう一つあるゴミ箱を開け中のゴミを掻き分け始めたが、いつもは考えない妄想に浸ってたせいだろうか、俺の注意力は随分と散漫になっていたらしい。
近づいてくる人の気配に全く気が付かなかった。
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