【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
100 / 1,649
第二章(リーフ邸の皆とレオン、ドノバンとの出会い、モルトとニールの想い)

84 VSドノバン(リーフ編 )

しおりを挟む
(リーフ)

ちょっとおどろおどろしい『 呪い』の話から一変、ドノバンはこれから始まる実技の授業についての説明をダルダル~と始めた。

ドノバンの授業は至ってシンプル。
対戦方式でどんどん戦い、その都度何がダメなのかを考え自分にあった戦い方を見つけていく方式。
全体的にと言うよりは個性を伸ばそうタイプの指導で、得意不得意を既に熟知しているおじさんの自分的には非常に有難い指導方法だ。

初日の今日は、とりあえず俺と俺により強制参加のレオンの大体の実力を測るのを目的とし、ドノバンと一対一の対戦をしてみるそう。
そんなわけでレオンと二人、対戦前にお互い順番に背中を押し合う入念なストレッチをしているのだが……既にその時点でレオンはフルフルと震え顔は真っ赤っか。
女の人がこぞって羨ましがる程の色白のレオンは、その変化がとても顕著だ。

こんなに恐怖に震えて可哀想だが、俺は自身の子を谷底に落とすライオンの様に、レオンを力の限り突き落とす!

キリッと表情を引き締めてレオンの背中を強めに押したが、俺の力に逆らうことなく前にどこまでも倒れていくレオンのガリガリな背中に、やる気は凄い勢いで萎れていった。

────と言っても急に『戦え!』は、ちょっと厳しすぎるか……。

背中を押す力をゆるッと弱めて優しい力加減で背中を押した後、俺は決意する。

ここは、この人生経験みっちりおじさんが先行しよう。
その間にレオンには心構えをしてもらう。

俺はストレッチを終えると、ハイっ!と元気よく手を挙げた。

「俺、いっちば~ん!」

「へぇ~、やる気満々じぁねぇの。じゃあ、リーフからな~、かかってこい。」

ドノバンはニヤッと笑って挑発する様に片手を動かす。

恐らくドノバンは、超強い。
だから安心してドーンと全力でぶつかってみよう。

ワクワクしながら用意された木刀を手に取ると、この瞬間だけは自分が漫画の主人公になったみたいで年甲斐もなく胸が躍った。

俺は前世で高校を卒業するまでずっと柔道をやっていたが、剣の心得は全くない。
そして、今世でもギャンギャン泣き喚く俺は、匙を投げられてしまい実技の授業は今の今までほぼ手付かずの状態だが、孤児院でずっと働いていると割とバイオレンスな親御さんとぶつかる事は多々あって、護身術的な事は独学だが結構自信がある。

それが多少でもアドバンテージとなればいいが……。

とりあえず映画とかで見た剣士役の人の構えを真似してみると、ドノバンがそれに、おっ?と反応した。

「見た事ねぇ構えだな。なんだぁ?前の実技の教師に教えてもらったのか?」

「ううん。 独学!」

先手必勝!
言葉を言い終わらないうちに、俺はドノバンの方へと飛び出した。
そして振り下ろした木刀は……勿論易々と止められてしまうが、そのまま間髪入れずに剣を打ち続ける。

「荒削りで、素人丸出しだが動きは悪くねぇな。よっし!耐えてみろよ?」

ドノバンは俺が打ち込んだ剣を軽くいなしながら大きく前に出てくると、そのまま胴体を狙い横に木刀を振ってきたので、とっさに俺はしゃがみ込む形でそれを避けた。
────が、剣圧だけで吹き飛ばされそうになってなんとか踏ん張りながら耐えたのに、それから続く怒涛の剣の攻撃!
しかもドノバンは全く本気など出しておらず、常に軽~い感じの剣捌きで俺に向かって剣を振っている。
その猛攻撃に俺は手も足も出ない。

「お~い、反撃しねぇとこのまま終わりだぞ~。」

コチラは既に、はぁはぁと息を乱しながら避けるのにいっぱいいっぱいなのに、ドノバンは余裕しゃくしゃくでそう言った。

これが現在のドノバンと俺の実力差、その差すら俺には測ることが出来ない。
────しかし、悪役リーフは彼のレベルくらい簡単に超えるくらい強くならなければ駄目なのだ。

レオンの前に立ちふさがる最強の壁に、俺はならなければならない。
せめて一太刀、ドノバンに食らわせてみせる!

そう決意した俺は乱れた息をグッと我慢すると、ドノバンの振り下ろしてきた剣を横に避け、足払いをする────が、重すぎ!固すぎ!で、全く微動だにしない!
逆に俺の足がめちゃくちゃ痛い!

「~~~………っ!!!?」

くっそ~!硬すぎる!この紫ワカメ!

痛みに耐えながら心の中で悪態をついたが、本人は至って余裕そうに、ははは~と笑うだけ。
それどころか「狙いはいいが、軽すぎて避けるまでもねぇなぁ~。」とまで言われてしまう始末だ。

ジンジン痛む足を労る間もなく、その後直ぐに反撃ラッシュをくらいどんどん追い詰められていくが……実は俺には最強の切り札がある。

そのチャンス、逃すものか!

必死に攻撃を避けながら俺は慎重にそのチャンスを伺い……ドノバンが剣を横に大きく振り切ったその瞬間!
俺は姿勢を極限に低くしてそれを避けると、そのまま四本脚で犬の様にドノバンの下を目掛けて飛び込んだ。

狙うは男の全世界共通の弱点!
そこへ向かって渾身の頭突きを食らわせた────……つもりだったが、頭に予想されたふにょんッという衝撃は来ず。

「────?あ、あれっ???」

その原因を探るべく、頭を上げるその前に────俺は攻撃を難なく避けたドノバンに上からひょいっと猫の子の様につまみ上げられてしまった。

「いや、お前なんつー恐ろしい攻撃しかけてくんだよ……。
まあ、でも動きにセンスはあるし、俺的に面白いから合格だ!」

いたずら坊主に呆れ果てた様な表情をしながら、優しく俺を地面に下ろすと、そのままポスポスと頭を軽く叩いてきた。
息子でもおかしくないほどの男性に子供扱いされて、ガガーンとショックを受けながら、更に負けた悔しさがそこにプレスされ思わず地団駄を踏んでしまう。

くそ~、負けたー悔しい~やっぱりめちゃくちゃ強いぞ!この人。

前世で破られたことのない最強必殺技を難なく避けられてしまい、ぐぬぬぬ~と悔しさを隠さず出していると、ドノバンはニヤニヤッとからかうように笑ったその直ぐ後────ふっと真剣な顔に変わって視線をゆっくりと俺から外して言った。

「────次、レオン。」

ドノバンの視線を追ってレオンがいる方を向けば、先ほど座っていたはずのレオンは既に立って木刀をその手に持っていた。
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

処理中です...