【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三章(3年後の話。資質鑑定からレオンを奴隷にするまで)

103 資質鑑定 

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(リーフ)

◇◇
『資質鑑定』
それは12歳を迎える直前の子供たちにとって、人生を左右する一大イベントである。

資質鑑定はイシュル神の日────つまり1月1日の約半月程前に教会にて行われ、強制では無い為受けない子達もいるが、毎年ほぼ9割以上の子達は受けるらしい。
単純に知りたいから!……という理由で受ける子達が最多だが、卒業後働く場所によっては必ず受けるようにと言われる仕事場もあるそうだ。

その代表といえば、戦闘を主とする職場などが多く挙げられる。
そういった類の職場では、戦闘スキルを取得できない資質の者は基本雇ってはくれない。
それ以外の人の命に関わらない職業は戦闘職よりかなり緩いし、資質よりも実際の実力が高い方を雇うが、同じ程度の実力ならば適した資質持ちの方をとる。

これだけ聞くと、じゃあ資質は絶対知っておいた方がイイね!────となるのだが……実は必ずしもそうではなくて、知った事で人生がめちゃくちゃになってしまった子も多くいるそうだ。

例えば、商人になりたくて座学を頑張ってきた子がいたとする。
その努力が見事に実り、商人としての規定知力を満たした後は『さぁ、どのお店で雇ってもらおうかな~ ?』と考えていた矢先、資質鑑定で分かったのは戦闘系資質だった。

モンスター蔓延るこの世界で戦闘職は花形職。
その為、戦闘職につくべきだと周りからはガーガー言われ、商家によっては戦闘系の資質は暴力事件を起こすのでは?と警戒され不採用────などなど……そんな問題が起こる場合もあるらしい。

結局資質があったところで努力なしでは、その才能は役に立たないのに、その辺はイメージがついてまわってしまうという事だ。
もちろん、資質に関係なく暮らしている人も多くいる。
しかし、やはりこのイメージによって暮らしにくさを感じる場面は多いらしく、やりたい事と才能が違うのは本人からしたらとても大変なのだろうなと思う。

そんな人生を左右する資質鑑定!
それを本日受ける為、俺は毎度おなじみモルトとニールと共に教会へとやって来た。
始まる時間より少し早目に着いたのだが、既に他の貴族のクラスメイト達は全員集まっており、各自教会内の椅子に座ったり、談笑したりしている。
ちなみにこの場にレオンはいない。

その理由を思い浮かべ、思わずため息をこぼした。

資質鑑定は2日に分けて2グループで行われるわけだが、その内訳は<貴族>と<平民>。
何故かと問われると、平民との合同鑑定に貴族側が猛抗議をしたためである。
そのため教会側は、この2グループに分けてそれぞれ別日に鑑定を行わざるを得なくなってしまい、本日がその貴族のみの鑑定日というわけなのだ。

それくらいいいじゃ~ん!

そう思ってしまうのは、俺に前世の記憶があるから。
今世の人達にとっては本当に身分の差は大きい様で、このグループ分けに異議を唱える者はいなかった。

それに従って平民であるレオンは別日での鑑定に。
しかし、いつも俺の後ろをカルガモが如くについてまわるのが使命だと思っているレオンは、一人でその鑑定を受けに行く気は皆無らしく、無言の抗議を続けている。
もちろん本日の鑑定もついてこようとゴネにゴネた。
それはもう盛大に……。

ムスッ!とする。
顔を背ける。
聞いてないふりをする。
ジトッとした目で睨んでくる……なかなかバリエーションは豊かだった。

一応、なんとか外に待機で納得してくれたけど……。

窓の方へ視線を向けると、そこにはチラチラと見え隠れする黒い影が見えて、本心から納得はしてないのがよく分かる。

「……はみ出てるなぁ。」

────ひょこッ!

ひょこひょこっ!!

凄い早さで見え隠れするレオンのサラサラの髪の毛を見て、思わずため息が……。
いつもは根負けする所だが、今日は心を鬼にして窓から視線を外し、目の前に立っているイシュル像を見上げた。

そもそもレオンが仮に今日だろうが明日だろうが、恐らく鑑定を受けるのは難しいと思われる。
その原因は、聖職者にとってレオンの存在はイシュル教の禁忌そのものだからだ。

もしかして教会に入るのだって拒否されるレベルかも……。

どこを見ても白を基調としている教会内を見回し、ヤレヤレ……と肩を竦めた。

レオンが鑑定を望んだところでそれを受けてくれる教会があるかどうか……。
正直難しいところだろうな。

ただ幸いにもレオン本人に受ける意志がないとのことで、実はほっとしてたりする。

まぁ、例え鑑定してくれたとして、レオンの資質がこんな早い時期にばれるのはまずい。
結局どうにか諦める方向へ誘導しなきゃだったけど!

これで良かった良かったで終わりなお話だが、新たな悩みがニョキニョキと顔を覗かせた。

資質を知りたい!と言い出さない事はラッキー。
しかしこの事以外でも、レオンは欲求が薄いというか……いまいちピンッと来てない様子を見せてくるため不安は募っていく。

例えばレオンに、「何かしたいことはあるかな~?」と聞けば「リーフ様のしたいことがしたいです。」という答えが。
赤い花と青い花を指さして「どっちの花が好きかな~?」と聞けば、「リーフ様にはどちらもお似合いです。」。
「好きな食べ物は何かな~?」と聞けば「リーフ様の食べた物は何でも好きです。」────と……全く自主性がない答えが必ず返ってくるからだ。
今回も「資質鑑定うけたいかな~?」と問えば、きっと「リーフ様が望むなら。」という答えが返ってくるだろう。

こ、こんな洗脳に近い状態で大丈夫……?

それをかなり心配しているのだが、当の本人はどこ吹く風。
だから、これから少しづつ心の修復を謀って行かなければと、数多くのし掛かるレオンの問題点に頭を抱えたその時────ゴローンゴローン!と教会内に鐘の音が鳴り響いた。

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