【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五章(ウォッカ編、試験前日、冒険者との出会いとレオンの成長と勘違いと)

186 楽しそうな気配

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(リーフ)

沈黙のまま終了した食事の後────。
ジェーンが渡してくれたお茶も飲み終わり、先ほどよりはだいぶ良くなった空気の中、ジンさんが今後の予定について話を始めた。

「ごほん!ではこの後の進路についてなのですが……。
少し前から何故か『ある一帯でのみ』モンスターの行動が活発になってきていて、ここの周辺もその一帯に入ります。
先ほどのゴブリン・キングも、その影響で現れたのだと思われます。
元々こんな人が通るような道に出現などしないはずなのですが、どうも最近<グリモア>を中心に、何かがおきているみたいで……。
まぁ、その原因は上層部のほうで調査中とのことなので、いずれ分かるでしょう。
そのためやや遠回りになってしまいますが、明るくて見晴らしの良い道から向かいたいと思います。
夕方くらいにはつけますので、本日開催される〈ファイナル福人祭り〉には参加することができますよ。」

「〈ファイナル福人祭り〉??」

聞いたことのない単語に俺とモルト、ニールが首をかしげるとシュリさんが教えてくれる。

「〈ファイナル福人祭り〉は、【ウォッカ】で開かれるすごく大きなお祭りです。
ようは、4月に入り新生活が始まるその前に、色々な項目で競い合い、その中の一番だった人を決めよう!という、お祭りというよりは複合種目の大会みたいなイベントなんですよ。」

この<ウォッカ>と言う街の名産物は、ズバリお酒。
住んでいる人達はお酒大好き、騒ぐの大好きで何かに付けてお祭りなどのイベントを開催しているそうだが、この〈ファイナル福人祭り〉、その中でも一番盛大で盛り上がるイベントなのだそうだ。

これは絶対楽しいやつだ!

お祭り大好きの血が騒ぎ、キラリと目が光る。

なんてったって俺は、前世で盆踊りマスターの称号をもっていた男。
祭りと聞けば、よく孤児院の子どもたちを引き連れて意気揚々と参加したものだ。

目を輝かせる俺を見て、レイラさんはニヤリと笑った。

「興味ある感じですね?大会は当日申込みOKなので、自信のある大会を見つけたら是非参加してみるといいですよ。
なんと言っても参加賞も貰えるし、景品はめちゃくちゃ豪華なので!
私も『木登り大会』なら自信があるので出たかったのですが、あいにくお祭りの最中は街のパトロール任務があるので参加できません。
もし出るなら、頑張ってくださいね。」

当日参加OKとな?

俺は「へぇ~。」と聞きながら、目をキラキラさせてモルトとニールの方へ顔を向ける。
すると、2人はババッ!と不自然なほど大きく顔を背けたので、俺はゆっくりとそんな彼らに近づき二人の周りをぐるぐると回り始めた。

「参加自由だって~。」

顔を背けたモルトの視線を追い、目の前に自分の顔をスィ~と持っていくと、途端にモルトは別方向に顔を背ける。

「景品豪華だってよ~?」

今度は同様にニールの視線も追えば、やはり視線を逸らされてしまったが、俺は諦めない。

「せっかくだし思い出作りしようよ~。」

そう言いながら、ぐるぐると二人の視線を追いかけ回すと耐えきれなくなった二人は、ブハッ!!と吹き出し、ヒーヒー笑いながら親指を立て了承してくれた。
レオンはといえば、ヒュヒュンとレイピアを物凄く早く素振りし、準備万端!とばかりに頷いている!
これは楽しみだ~!とワクワクしながら満足そうに微笑んでいると、突然ジンさんが何気ない質問を俺達に投げかける。

「皆さんとても仲良しなんですね。幼馴染って事は、全員同じ爵位なんですか?」

その質問に、モルトとニールは「「俺たちは男爵だ。」」と答えたので、俺もその話の流れにもれなく乗った。

「俺、公爵!」

バタ────ンッ!!!
普通に答えただけなのに、ジンさん達4人はものすごい勢いで仰向けで倒れてしまった。

「────えっ!!?」

慌てて駆け寄ると、何と全員泡を吹いて気絶しているではないか!

ひゅっ!と息を吸いながら、オロオロと焦る俺とは逆に、モルトとニール、そして御者さんは、冷静にジンさん達を馬車に放り込んでいく。
そして、そのまま御者さんを真ん中に、馬車の前方にある運転席へと全員で乗り込んだ。

「俺たちはここに座りますので、リーフ様はレオンに乗って下さい。」

そうモルトが言うと、続けてニールが「手綱いります?」と聞いてきたので「ううん……。」とゆるく首を振ってそれを断る。

レオンは嬉しそうにコクリと頷き、もう嫌というほど見てきた背中を俺に向けようとしたが、俺の視線の先にご飯のそら豆をお腹いっぱい食べてまったりしているポッポ鳥達が目にはいった。

「そうだ!ねぇ、ねぇ!ポッポ鳥乗ってみようよ!乗ったことないけど俺、いける気がする!」
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