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第六章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)
251 貴族事情
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(リーフ)
「アゼリアちゃんって、マリオンとお友達だったんだね。知らなかったよ。」
確かにちょっと態度的なものが似ているなとは思っていたけど、本当に知り合いだったとは……。
そんな何気ない話題を振ったつもりだったが、アゼリアちゃんはスコンッと表情を失くした。
「いえ、断じて友達などではありません。両親同士が知り合いなだけの赤の他人……いえ、それ以下です。」
きっぱりさっぱりザックザック!
清々しい程に言い切ったアゼリアちゃんに、俺の頭の中ではチワワVS子猫の第二ファイトが、カンッ!と繰り広げられた。
そのまま必死に吹き出すのを我慢していると、アゼリアちゃんは慌てて頭を下げる。
「申し訳有りません。つまらぬ話で、御心を痛めてしまって……。」
────えっ?御心を痛める??誰の???
さっぱり意味が分からなくて、キョトンとしてしまった俺をよそに、話は続いていく。
「私の本名は<アゼリア・ロティア・レイモンド>と申します。
私はいわゆる【レイモンド家】の非嫡出子でして……正式な【スタンティン家】の子息であるマリオンとは、少々馬が合わないのです。」
伯爵家である【レイモンド家】は、マリオンの【スタンティン家】と並ぶ名門貴族だ。
魔道具制作の第一人者である【スタンティン家】
対して【レイモンド家】は代々優秀な魔法使いを排出してきた魔法特化の名家で、先天的な魔力量としてはトップであるとさえ言われている。
アゼリアちゃんは、そんな【レイモンド家】のお嬢さんだったのか……。
チワワと連動させて、しっかりそれを記憶しておくと、アゼリアちゃんは、自分の腰にさしている刀にソッと手を触れた。
「【レイモンド家】は、代々魔法に長けている血筋なのですが、私の資質は<闘武士>でした。
物理系特化の戦闘資質なので、魔法は殆どつかえません。」
なんと!<闘武士>とな?!
アゼリアちゃんの資質を聞いて、心の中で興奮して叫ぶ。
確か<闘武士>は、刀や太刀などの武器を扱う、スピードと器用さに特化した戦いを得意とする戦闘系中級資質で、あまり魔法が得意ではないバリバリの前衛職だったはず。
思わぬレア資質を前にキラっ!と目を輝かせたが、それと同時に複雑そうな状況が頭をよぎった。
貴族は代々受け継いできたその血筋に絶対的な誇りを持っていて、それに基づいた閉鎖的な価値観を持っている者たちも数多く存在する。
確かに当の本人達は、幼少期よりそれに合わせた英才教育などを施され必死に努力してきているので、他の価値観を受け入れるのが難しいのは分からないでもない。
しかし、その価値観に合わない者に攻撃的になってしまうのは、良くない事だと俺は思う。
魔法特化の価値観を持つ家で、それとは真逆の才能を持って生まれたアゼリアちゃん。
多分、今まで相当頑張ってきたんじゃないかな?
それは時々耳に入る嫌な噂話の数々や、アゼリアちゃんの弱みを見せまいとしている姿を見れば想像がつく。
更に貴族が忌み嫌う非嫡出子である事を考えれば、こうして第一王女の専属聖兵士にまで登り詰めたのは、凄い事だと思った。
……ジ~ン!
感動した俺は、今直ぐにアゼリアちゃんに対する認識を改める必要があると確信する。
そんな俺の頭の中で、アゼリアちゃんの姿は、ウルウルきゅきゅん!としたチワワから、モコモコトイプードルへ進化!
キリッとしたトイプードルが、刀を加えてタタっと走り寄ってくるイメージが浮かぶと、俺はそのぬいぐるみのようなモコモコの体を捕獲する。
もっふもふ……もふふふ~!!
その柔らかい体毛に顔を突っ込み、最高の感触を味わった。
「……ムフッ。」
すると思わず笑いが漏れてしまい、驚いたレオンが口元を拭いてくれたのだが、何故かアゼリアちゃんは少し嬉しそうな様子を見せる。
「リーフ様は、あまりそういった事に偏見がないのですね。
レイモンド家の者なのに、魔法はほとんど使えず、さらに女の身で刀……。
この話をすると、大体の方は気まずそうに視線を逸らすのに、そのように否定せずに笑って下さった方は初めてです。」
隣で気まずそうに目線をそらしていたモルトとニールは、ギク──っ!!と肩を震わせていた。
「偏見……。」
若いうちは周りの言う『こうであるべき』に敏感。
人の目、周りの人との差違も気にしがち。
その後、ある程度成熟してくると、周囲がどうこうよりも結果を出す事にこだわり始める。
更にその成熟が熟成・発酵化へと勧めば────『結果までたどり着けたら奇跡』へ。
全てがマイペースに楽しむモノへとなっていく。
これが偏見というモノの最終ゴールだと思ってる。
歳をとると結局は今ある現状を楽しむしかない。
だから結局は『あ、結局は人生って何事も楽しむ事が重要なのか~。』という答えに、俺も最終的には辿り着いた。
偏見を持つ余裕なんてないんだ。歳取ると。
生きるのに精一杯の中、そんなモノあってもなんにもできないから!
「……ハハッ!」
思わず笑ってしまうと、アゼリアちゃんはちょっと驚いたのか、ビクッ!としてしまったので、すぐに口元を押さえて安心させる様に首をゆるゆると振った。
まぁ、つまりは何が言いたいかと言うと、既に発酵しきっちゃっている俺としては────……。
戦い方が何であれ戦えれば凄い!
魔法も物理もどちらも良き良き~どんなやり方だろうがオールOK~。
思い描いた方法で、結果が出たらスーパーラッキー!
とりあえず、そんな現状を目一杯楽しも~!
────でいいと思う。
「うんうん。刀、前衛、カッコいいじゃないか。
アゼリアちゃんはまさに『大和撫子』を具現化したようなお嬢さんだね。」
「…………?!!」
そう何気なく言った言葉であったが、物凄い勢いでアゼリアちゃんはプイッ!とそっぽを向いてしまった。
「アゼリアちゃんって、マリオンとお友達だったんだね。知らなかったよ。」
確かにちょっと態度的なものが似ているなとは思っていたけど、本当に知り合いだったとは……。
そんな何気ない話題を振ったつもりだったが、アゼリアちゃんはスコンッと表情を失くした。
「いえ、断じて友達などではありません。両親同士が知り合いなだけの赤の他人……いえ、それ以下です。」
きっぱりさっぱりザックザック!
清々しい程に言い切ったアゼリアちゃんに、俺の頭の中ではチワワVS子猫の第二ファイトが、カンッ!と繰り広げられた。
そのまま必死に吹き出すのを我慢していると、アゼリアちゃんは慌てて頭を下げる。
「申し訳有りません。つまらぬ話で、御心を痛めてしまって……。」
────えっ?御心を痛める??誰の???
さっぱり意味が分からなくて、キョトンとしてしまった俺をよそに、話は続いていく。
「私の本名は<アゼリア・ロティア・レイモンド>と申します。
私はいわゆる【レイモンド家】の非嫡出子でして……正式な【スタンティン家】の子息であるマリオンとは、少々馬が合わないのです。」
伯爵家である【レイモンド家】は、マリオンの【スタンティン家】と並ぶ名門貴族だ。
魔道具制作の第一人者である【スタンティン家】
対して【レイモンド家】は代々優秀な魔法使いを排出してきた魔法特化の名家で、先天的な魔力量としてはトップであるとさえ言われている。
アゼリアちゃんは、そんな【レイモンド家】のお嬢さんだったのか……。
チワワと連動させて、しっかりそれを記憶しておくと、アゼリアちゃんは、自分の腰にさしている刀にソッと手を触れた。
「【レイモンド家】は、代々魔法に長けている血筋なのですが、私の資質は<闘武士>でした。
物理系特化の戦闘資質なので、魔法は殆どつかえません。」
なんと!<闘武士>とな?!
アゼリアちゃんの資質を聞いて、心の中で興奮して叫ぶ。
確か<闘武士>は、刀や太刀などの武器を扱う、スピードと器用さに特化した戦いを得意とする戦闘系中級資質で、あまり魔法が得意ではないバリバリの前衛職だったはず。
思わぬレア資質を前にキラっ!と目を輝かせたが、それと同時に複雑そうな状況が頭をよぎった。
貴族は代々受け継いできたその血筋に絶対的な誇りを持っていて、それに基づいた閉鎖的な価値観を持っている者たちも数多く存在する。
確かに当の本人達は、幼少期よりそれに合わせた英才教育などを施され必死に努力してきているので、他の価値観を受け入れるのが難しいのは分からないでもない。
しかし、その価値観に合わない者に攻撃的になってしまうのは、良くない事だと俺は思う。
魔法特化の価値観を持つ家で、それとは真逆の才能を持って生まれたアゼリアちゃん。
多分、今まで相当頑張ってきたんじゃないかな?
それは時々耳に入る嫌な噂話の数々や、アゼリアちゃんの弱みを見せまいとしている姿を見れば想像がつく。
更に貴族が忌み嫌う非嫡出子である事を考えれば、こうして第一王女の専属聖兵士にまで登り詰めたのは、凄い事だと思った。
……ジ~ン!
感動した俺は、今直ぐにアゼリアちゃんに対する認識を改める必要があると確信する。
そんな俺の頭の中で、アゼリアちゃんの姿は、ウルウルきゅきゅん!としたチワワから、モコモコトイプードルへ進化!
キリッとしたトイプードルが、刀を加えてタタっと走り寄ってくるイメージが浮かぶと、俺はそのぬいぐるみのようなモコモコの体を捕獲する。
もっふもふ……もふふふ~!!
その柔らかい体毛に顔を突っ込み、最高の感触を味わった。
「……ムフッ。」
すると思わず笑いが漏れてしまい、驚いたレオンが口元を拭いてくれたのだが、何故かアゼリアちゃんは少し嬉しそうな様子を見せる。
「リーフ様は、あまりそういった事に偏見がないのですね。
レイモンド家の者なのに、魔法はほとんど使えず、さらに女の身で刀……。
この話をすると、大体の方は気まずそうに視線を逸らすのに、そのように否定せずに笑って下さった方は初めてです。」
隣で気まずそうに目線をそらしていたモルトとニールは、ギク──っ!!と肩を震わせていた。
「偏見……。」
若いうちは周りの言う『こうであるべき』に敏感。
人の目、周りの人との差違も気にしがち。
その後、ある程度成熟してくると、周囲がどうこうよりも結果を出す事にこだわり始める。
更にその成熟が熟成・発酵化へと勧めば────『結果までたどり着けたら奇跡』へ。
全てがマイペースに楽しむモノへとなっていく。
これが偏見というモノの最終ゴールだと思ってる。
歳をとると結局は今ある現状を楽しむしかない。
だから結局は『あ、結局は人生って何事も楽しむ事が重要なのか~。』という答えに、俺も最終的には辿り着いた。
偏見を持つ余裕なんてないんだ。歳取ると。
生きるのに精一杯の中、そんなモノあってもなんにもできないから!
「……ハハッ!」
思わず笑ってしまうと、アゼリアちゃんはちょっと驚いたのか、ビクッ!としてしまったので、すぐに口元を押さえて安心させる様に首をゆるゆると振った。
まぁ、つまりは何が言いたいかと言うと、既に発酵しきっちゃっている俺としては────……。
戦い方が何であれ戦えれば凄い!
魔法も物理もどちらも良き良き~どんなやり方だろうがオールOK~。
思い描いた方法で、結果が出たらスーパーラッキー!
とりあえず、そんな現状を目一杯楽しも~!
────でいいと思う。
「うんうん。刀、前衛、カッコいいじゃないか。
アゼリアちゃんはまさに『大和撫子』を具現化したようなお嬢さんだね。」
「…………?!!」
そう何気なく言った言葉であったが、物凄い勢いでアゼリアちゃんはプイッ!とそっぽを向いてしまった。
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