【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第六章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)

275 十人十色

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(リーフ)

さぁさぁ、やってまいりました!
『アルバード英雄記』正統派ヒロイン、俺のイチオシ!
アルバード王国 第一プリンセス、ソフィアちゃ~ん!

そう心の中で勝手に実況中継しながらワクワクして見守っていると、ソフィアちゃんは静かに前の台座に行き、落ち着いた様子で魔力を鉢植えに流し始めた。
気を抜いていると何も感じさせないほど静かで、しかしギュッ!と凝縮しているようなイメージの魔力を彼女から感じる。
おおっ?!と目をわずかに見開くと、音もなくスッ……と白い鬼灯のような植物が生えた。

木の実系??あれも花??

初めて見るその植物を見ながらぼんやり見つめていると、フラン学院長ら審査員達からどよめきが起こる。

「こ、これは万能薬の元になる極めて素材ランクの高い【コロロ】!
これは凄いっ……!────ソフィア殿、85点! 」

またもや高得点!
しかも先ほどのジェニファーちゃんの記録を塗り替えての得点に周りからは拍手と歓声が上がった。

流石はヒロイン!これは凄い!

俺も惜しみない拍手を捧げながらジェニファーちゃんの方へ視線を向けると、ギリッと唇を噛み締めてソフィアちゃんを睨みつけている姿が。

ハブVSマングースの戦いは白熱している!

そしてその戦いに触発されたのか、機嫌が急降下していく負けず嫌いキングのレオンに気づき、俺はその脇に手を入れこちょこちょと擽ってご機嫌取りをしておいた。

「では、次!」

続いて呼ばれたのはメルちゃんで、ペンペン草を生やして30点。
自称大人な男のモルトは見事な薔薇を一本生やして40点で、続くニールは牧草をモサッと生やし35点であった。

「うおおぉぉ────!!」という何かに進化しそうな叫び声を上げたレイドは、猫じゃらしを一本生やし15点。
トボトボ戻って来たのをドヤ顔のモルトとニール、そしてメルちゃんが慰めながら迎え入れた。
それを見て、はんっ!と鼻で笑い飛ばし意気揚々と台座に向かったアゼリアちゃんは、萎れた白いひなぎくを咲かせて10点。
盛大にレイドが笑い飛ばし、それをアゼリアちゃんは僅かに赤らめた顔色でギロリと睨みつけ、ここでもバチバチと火花が飛ぶ。

このワンワンコンビは完璧な物理特化型かぁ……。

キャンキャン喧嘩し始めた二人を見て思った。

そしてそんな動物園的な雰囲気から一味違うぞ的なリリアちゃん。
なんと鈴蘭のような薄いピンク色の花を咲かせ、ジェニファーちゃんと同じ75点!
これにはワンワン達も他の人達も、おぉー!!と驚きの声を上げた。

なんでもその鈴蘭、【リリンブル】という、煎じて飲めば毒耐性を一定期間手に入れることが出来る凄いお花だったらしい。
やっぱりリリアちゃんも魔法特化型で間違いなさそうだ。

小学院ではほんの一握りしかいなかった魔法使いが、こんなに集まるとは!

改めて世界の広さを痛感し、しみじみ~としていると、「次、クラーク殿!」────という声とともに前に出てきたのは、ジェニファーちゃんの後ろに常に控えているあのTHE・貴族風の男の子だ。

ここで初めてその男の子の名前を知り、改めてその彼を見た時、視界の中に前に座っているアセリアちゃんが一緒に写り込むと……何だかピンっ!とくるものがあった。

あれ?なんだかこの二人って……?

モヤモヤの正体にきづきそうになったその時────……。

「彼は伯爵家【レイモンド家】の正式な跡取りご子息様ですねぇ~。
小さい頃から神童と言われる程の魔法の才を発揮し、現在はジェニファー様の専属聖兵士を務めてます。要チェック優良物件ですねぇ♡」

俺の視線の真ん前に下からヌルッと突然現れたサイモン。
両手を重ねて頬につけ、首をコテンッと傾ける仕草はとても可愛い────が、出現の仕方が唐突すぎて、そんなものは一切目に入らない!

初めてのヌルっとバージョンにドキドキしながら、擽っていたレオンの背中に回り込んでくっつく。
しかし気にせずそのまま近づいてこようとするサイモンだったが、レオンが直ぐに前に出て、ジロッ!と睨みつけてくるので、「怖ぁ~い!」と言いながら、あっという間に自分の席に戻っていった。

その素早い動きはまるで猫の様……。

レオンのお陰で無事視界は晴れ、クラーク君の試験のご様子がよく見えるようになったので、これ幸いと注目していると……。

────ピリッ!!

クラーク君の魔力は、さっきのソフィアちゃんと逆で、ビッシビシ相手を突いて来るような強さで肌がピリつく。
だから恐らくは、魔法特化型の中でもゴリゴリの攻撃魔法型じゃないかと予想した。
そんな攻撃的な魔力を込めた鉢植えからは、それに相応しいまるで剣山のような尖った花が咲き、見るものを圧倒する。
凄く綺麗だが────……。

「────あっ!!」

「危ない!」

なんとキラキラと光を反射しているトゲトゲ花の花弁は、次の瞬間クラークくん目掛けて一斉にその棘の花びらを飛ばした。
しかしクラーク君は、あがる悲鳴に動揺ひとつせずに、軽く目を瞑ってしまった────が……?

────パンッ!!!

その直後に小さな爆発が周囲で起こり、その花びら達が一瞬で砕け散ってしまったのだ。

「……えっ?」

「は、花が……。」

その破片がキラキラと、まるで宝石の海の様に光り輝きながら周囲に舞う。
どうやらクラーク君が、瞬時に凝縮した魔力をぶつけて花びらを粉砕したようだ。
ほかの受験生達が全員安堵している中、クラーク君だけが憎々しげにジッとある人物を睨みつけていた。

その視線の先にいるのは────アゼリアちゃんだ。
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