308 / 1,649
第六章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)
292 英雄とヒロイン
しおりを挟む
(リーフ)
そんな四人を、アゼリアちゃんがまるでゴミを見るかのような目で睨みつけている間に、ソフィアちゃんが俺とレオンに向かい軽く頭を下げる。
「本日はありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ~。」
俺もぺこりと頭を下げながらそれに答えると、続けてこの後の予定について聞いてみた。
すると二人はこれからこの街の教会に行き、このグリモアで起きている異変について直接話を聞きに行くとのこと。
試験が終わって直ぐとは……流石は王女様、かつ正統派ヒロイン!
ご立派すぎるぞ!
思わずキラキラとした尊敬の眼差しを向けると、突然ソフィアちゃんはスッと青ざめ、何度か言いづらそうに口を開け閉めしながら俺の後方へと視線を向けた。
レオンに何か言いたいことでもあるのかな?
そう思って質問しようとしたその時────ソフィアちゃんは意を決した様子で、レオンに対し口を開いた。
「……レ……レオン様……。ほ、本日は、<回避珠>の偽造を暴いてくださり……誠にありがとうございました……。」
お礼を言った後、ソフィアちゃんは直ぐに震えながら視線をそらしてしまったが、俺はその行動にとても感動した。
怖くても頑張ってお礼を言えるソフィアちゃんはとってもいい子!
口元を押さえ、感動にプルプル震える。
物語の中でイシュル神の禁忌の色『黒』と、その神さえ解けぬ『呪い』に対する恐怖は非常に根深く、平等と博愛で有名であった王ですらレオンハルトに恐怖し、その存在を遠ざけた。
さらにその後はレオンハルトに関する全ての事は第二王子のアーサーに託し、一切関わろうとしなかった事からも、その恐怖がそうとう根深い事が伺えるわけだが……それは彼が根っからのイシュル教信者であったからと本の中では語られている。
そしてそれに関して言えば、ソフィアちゃんも同じ。
そもそもソフィアちゃんと王様はとてもよく似た価値観を持っていて、ましてや彼女はそんなイシュル教のトップ。
恐らくレオンハルトの禁忌の色と呪いに対しての恐怖は王様以上のはずだ。
そんな恐怖を抑えながら、レオンと向き合おうとしてくれるその行動が俺はとっても嬉しい。
突然震え出した俺を見てオロオロするレオンに、大丈夫大丈夫~と、目を三日月にして笑っておいた。
そんなこんなで俺の中で、ソフィアちゃんの株は急上昇!
そしてそれと同時に────────俺の中の違和感はどんどんと大きくなっていく。
しかもソフィアちゃんと出会ったことで気付かされたが、今思えばレガーノの街の人達の態度にも違和感を感じるようになった。
レガーノの人達はイシュル教をとても大事にしていて、教会のイベントもかなり積極的に参加している。
だからこそ物語の中と現在、両方の街の人達が、神の愛し子と分かる神託前のレオンを受け入れられないというのは、理解できる。
それだけ自分の今まで生きてきた人生の全てと言っても良いイシュル神、それに反する存在を決して受け入れられないというのは、ある程度仕方がないことだからだ。
しかし……だからこそ、神託後に見せる物語上の街の人達の態度がおかしい気がするのだ。
その大事なイシュル神の愛し子であると直接神から伝えられたにも関わらず、全員が己の罪に怯えて受け入れられない……?
それって本当にそうだったのだろうか?
う~ん……と、俺はレガーノの人々と自分を置き換えて考えてみた。
英雄を探しに来た騎士が到着するまで、レガーノの人達はただ怯えながら過ごした様だが、いくら己の罪に怯えていたとはいえ、神の愛し子とわかった時点ですぐさまレオンハルトを保護しようとする人達がいないのはどうにも違和感を感じる。
少なくとも今までの目を背けていた罪より、現在も捨て置く方がよっぽど問題だと俺ならそう考えるし、同じ考えを持つ人も絶対にいるはず。
それに現在では、レオンが結構な外見美形になったからではあるが、若い娘さんを中心に気にしないという人達だっているくらいだし、愛し子と判明していない現在でも『黒』や『呪い』に関しての思いも様々な様に思える。
多分現在のレガーノの人達にとって一番怖かったのは、『呪いが伝染るか伝染らないか』。
それが払拭された今は、一部の人達を除いてレオンに対し罪悪感的なものを感じている人達も結構いる様だ。
その証拠に、ちょこちょこリーフ邸におすそ分けと称して届けられるもの達は、レオンへの遠回しな罪滅ぼしの様ですとカルパスが言っていた。
ここまで考えると、やはり物語の中のレガーノの人達の行動はおかしいと感じてしまう。
謝る事も保護する事も出来なかった理由は、一体何だったんだろう?
それが出来ずに自滅するくらい、そのレオンハルトを受け入れられない強い理由があったはずなんだけど……。
もしかして『神さえも解けない』呪いが怖かった?
でも、戦闘職でない一般人とって伝染らなければそこまで敷居が高いものではない様だし……。
ここで脳みそのキャパシティは越え始めプスプスと頭が焦げ付き始めたが、一度考え始めたら更なる違和感に気づく。
それは、この国の王様、<ニコラ王>に対してもだ。
これはあくまで聞いている範囲内の限りでの話にはなってしまうが……物語の中の彼は、悪く言えば気弱な、とにかく波を荒立てない選択ばかりをとっていた人物のように描かれていたが、現在の彼は結構挑戦的な政策を打ち出す場面も多く見られる人物である。
分権化されたこの国が現在平和なのは、そんな彼が積極的に動いているから。
平和を愛し、そのためなら反派閥にも真っ向から戦う。
そんな姿が全くもって物語に出てきた王様と合わない。
なんだかこのズレが、見逃してはいけない事のような気がして……俺的には非常に気になるが、ここで鳥頭は完全にャパオーバー。
ボボン!と爆発した頭を労る様に摩った。
結局、今の時点で答えが出ない事は考えても仕方ない。
引き続き注意はしつつ、オレはオレの役割をこなしていくほかないだろう。
そんな四人を、アゼリアちゃんがまるでゴミを見るかのような目で睨みつけている間に、ソフィアちゃんが俺とレオンに向かい軽く頭を下げる。
「本日はありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ~。」
俺もぺこりと頭を下げながらそれに答えると、続けてこの後の予定について聞いてみた。
すると二人はこれからこの街の教会に行き、このグリモアで起きている異変について直接話を聞きに行くとのこと。
試験が終わって直ぐとは……流石は王女様、かつ正統派ヒロイン!
ご立派すぎるぞ!
思わずキラキラとした尊敬の眼差しを向けると、突然ソフィアちゃんはスッと青ざめ、何度か言いづらそうに口を開け閉めしながら俺の後方へと視線を向けた。
レオンに何か言いたいことでもあるのかな?
そう思って質問しようとしたその時────ソフィアちゃんは意を決した様子で、レオンに対し口を開いた。
「……レ……レオン様……。ほ、本日は、<回避珠>の偽造を暴いてくださり……誠にありがとうございました……。」
お礼を言った後、ソフィアちゃんは直ぐに震えながら視線をそらしてしまったが、俺はその行動にとても感動した。
怖くても頑張ってお礼を言えるソフィアちゃんはとってもいい子!
口元を押さえ、感動にプルプル震える。
物語の中でイシュル神の禁忌の色『黒』と、その神さえ解けぬ『呪い』に対する恐怖は非常に根深く、平等と博愛で有名であった王ですらレオンハルトに恐怖し、その存在を遠ざけた。
さらにその後はレオンハルトに関する全ての事は第二王子のアーサーに託し、一切関わろうとしなかった事からも、その恐怖がそうとう根深い事が伺えるわけだが……それは彼が根っからのイシュル教信者であったからと本の中では語られている。
そしてそれに関して言えば、ソフィアちゃんも同じ。
そもそもソフィアちゃんと王様はとてもよく似た価値観を持っていて、ましてや彼女はそんなイシュル教のトップ。
恐らくレオンハルトの禁忌の色と呪いに対しての恐怖は王様以上のはずだ。
そんな恐怖を抑えながら、レオンと向き合おうとしてくれるその行動が俺はとっても嬉しい。
突然震え出した俺を見てオロオロするレオンに、大丈夫大丈夫~と、目を三日月にして笑っておいた。
そんなこんなで俺の中で、ソフィアちゃんの株は急上昇!
そしてそれと同時に────────俺の中の違和感はどんどんと大きくなっていく。
しかもソフィアちゃんと出会ったことで気付かされたが、今思えばレガーノの街の人達の態度にも違和感を感じるようになった。
レガーノの人達はイシュル教をとても大事にしていて、教会のイベントもかなり積極的に参加している。
だからこそ物語の中と現在、両方の街の人達が、神の愛し子と分かる神託前のレオンを受け入れられないというのは、理解できる。
それだけ自分の今まで生きてきた人生の全てと言っても良いイシュル神、それに反する存在を決して受け入れられないというのは、ある程度仕方がないことだからだ。
しかし……だからこそ、神託後に見せる物語上の街の人達の態度がおかしい気がするのだ。
その大事なイシュル神の愛し子であると直接神から伝えられたにも関わらず、全員が己の罪に怯えて受け入れられない……?
それって本当にそうだったのだろうか?
う~ん……と、俺はレガーノの人々と自分を置き換えて考えてみた。
英雄を探しに来た騎士が到着するまで、レガーノの人達はただ怯えながら過ごした様だが、いくら己の罪に怯えていたとはいえ、神の愛し子とわかった時点ですぐさまレオンハルトを保護しようとする人達がいないのはどうにも違和感を感じる。
少なくとも今までの目を背けていた罪より、現在も捨て置く方がよっぽど問題だと俺ならそう考えるし、同じ考えを持つ人も絶対にいるはず。
それに現在では、レオンが結構な外見美形になったからではあるが、若い娘さんを中心に気にしないという人達だっているくらいだし、愛し子と判明していない現在でも『黒』や『呪い』に関しての思いも様々な様に思える。
多分現在のレガーノの人達にとって一番怖かったのは、『呪いが伝染るか伝染らないか』。
それが払拭された今は、一部の人達を除いてレオンに対し罪悪感的なものを感じている人達も結構いる様だ。
その証拠に、ちょこちょこリーフ邸におすそ分けと称して届けられるもの達は、レオンへの遠回しな罪滅ぼしの様ですとカルパスが言っていた。
ここまで考えると、やはり物語の中のレガーノの人達の行動はおかしいと感じてしまう。
謝る事も保護する事も出来なかった理由は、一体何だったんだろう?
それが出来ずに自滅するくらい、そのレオンハルトを受け入れられない強い理由があったはずなんだけど……。
もしかして『神さえも解けない』呪いが怖かった?
でも、戦闘職でない一般人とって伝染らなければそこまで敷居が高いものではない様だし……。
ここで脳みそのキャパシティは越え始めプスプスと頭が焦げ付き始めたが、一度考え始めたら更なる違和感に気づく。
それは、この国の王様、<ニコラ王>に対してもだ。
これはあくまで聞いている範囲内の限りでの話にはなってしまうが……物語の中の彼は、悪く言えば気弱な、とにかく波を荒立てない選択ばかりをとっていた人物のように描かれていたが、現在の彼は結構挑戦的な政策を打ち出す場面も多く見られる人物である。
分権化されたこの国が現在平和なのは、そんな彼が積極的に動いているから。
平和を愛し、そのためなら反派閥にも真っ向から戦う。
そんな姿が全くもって物語に出てきた王様と合わない。
なんだかこのズレが、見逃してはいけない事のような気がして……俺的には非常に気になるが、ここで鳥頭は完全にャパオーバー。
ボボン!と爆発した頭を労る様に摩った。
結局、今の時点で答えが出ない事は考えても仕方ない。
引き続き注意はしつつ、オレはオレの役割をこなしていくほかないだろう。
80
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる