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第八章
349 親はいつだって心配なんだ
しおりを挟む(リーフ)
俺、モルト、ニールは広くて大きな露天風呂をゆっくり堪能した後、部屋でまったりと連想ゲームをしながら時間を潰す。
「「ハイっ♬ハイッ♬リーフ様~!」」
「ハイッ♬柔らかいもの~!!」
「お尻っす~!」
「太ももです~!」
俺の出したお題にニール、モルトの順で答えて、更に三人合わせて手を叩くと、今度は突然自身の推している部位が如何に素晴らしいかの議論(?)が始まった。
これは譲れない!と、むっちりおっぱい派の俺も意気揚々とそれに参戦。
『お尻が~!』、『太ももが~!』、『むっちりおっぱいが~!』と、ちょっと恥ずかしい話をワイワイと語り尽くした後、俺達はふわふわカーペットの上にゴロンと横たわる。
現在、時刻は8時になる頃。
そろそろお子様は寝る準備を始めないといけない時間なわけだが、なんとレオンはまだ帰ってきてない。
心配が心の中からソロ~と顔を出し始め、それに合わせて体はソワソワ……。
そしてとうとう我慢できなくなってしまった俺は、モルトとニールに言った。
「ねぇねぇ、レオン大丈夫かな……。もしかして変な人に絡まれてないかな?ほら、ベロンベロンの酔っ払いとか。」
なんといっても、酔っ払いの行動は予測不可能だからとっても危険だ。
俺なんて酔っ払ってどれだけ訳が分からない事をしたことか……。
朝起きたら冷蔵庫の野菜全部浅漬けになっていた事だってあったし……美味しかったから良いけど。
自分の恥ずかしい記憶の数々を思い出しながら、レオンが悪い酔っぱらいに簀巻きにされて誘拐された妄想が頭一杯に浮かんだ。
『返してほしければ身代金を用意しろ!一億円くらいだ!』
サングラスを掛けたイカツイ男がレオンを羽交い締めにしてニヤリと笑うと、レオンはポロポロと綺麗な涙を流し、俺に向かって手を伸ばす。
『助けてぇ~!リーフ様ぁ~!』
…………的な妄想まで広がったところで、大ショックを受ける俺とは正反対に、モルトとニールはニッコリ微笑んだ。
「そうですね~大丈夫ですかね~。(酔っ払いの方が。)」
「レオンに絡む酔っ払いがいたら、SSランクモンスターっす~。」
「SSモンスター……。」
パッと出できた言葉から、レオンに向かってギャオンッ!と威嚇音を発しながら襲ってくる酔っ払いを想像し吹き出してしまった。
〈SSモンスター〉とは、人の手に負えぬ、最強クラスのモンスターの事を指す。
人の手に負えないであろう強さを持っているモンスターは、総じてそのSランクに該当するらしいが、それもピンからキリまで。
更にその上を行くのがSSランクらしいのだが、果たしてどのくらいの強さを持っているのか……。
いつかは見てみたいけど、難しいだろうな~。
そんな事を考えながら起き上がり、自分の荷物が置かれている場所に行くと、そのままゴソゴソと中を物色し始めた。
レオンは無事に気になる女の子とお話できたのだろうか……?
俺は前世で自分の子供を持ったことがなかったが、自分の育ててきた孤児院の子たちがやれ恋だの結婚だの言ってきた時はヤキモキしたものだ。
親代わりだって、いつも我が子が心配!
当時の記憶と現在の心配で、体は自然とモゾモゾ動き出す。
俺は如何に悪役をやらせてもらってたとしても、立場上はレオンの所有者兼保護者……つまり気持ち的には親代わりで、そんな我が子が初デートなど、実は先程から緊張で心臓がバクバクだったりする。
探っているバックの中からお目当てのモノを見つけ、俺はそれをゆっくり取り出した。
レオンは繊細で虫も殺せぬ優しい少年ではあるが、如何せん激しい思い込みと、斜め上の思考がジェット噴射することが、まぁまぁな頻度であるため心配は尽きない。
俺は取り出した自身の身分証をジッと見つめ、身分証の欄に<所有奴隷:レオン>の文字を見つけると首を横に振った。
万が一レオンが通報された時に備えてちゃんと持っておかねば……。
俺は本日眠るベッドの上にそれを置くと、再度カーペットの上にゴロンと転がり、そのまままだ帰ってこないレオンの事を考えた。
レオンはちょっと……いや、だいぶ天然な所があるし、しかも最近は急に性的な事に目覚めたらしく、今日など口を開けば18禁だったしで本当に本当に心配だ。
『やっぱり通報されるとしたらセクハラ発言か……。』
『はたまた何を喋っていいか分からず、黙りまくって不審者通報か……。』
モヤモヤ心配事ばかり考えていると、転がっていた先でガツンッ!!となにか硬い柱のような物に激突する。
「…………?」
何これ~?
ぶつかった柱におでこをつけながら、上へ上へと視線をあげていくと、キラキラ笑顔で微笑むレオンの顔が見えた。
「ただいま戻りました。リーフ様。」
「レオ~ン!!おかえり────!!」
ただいまを告げるレオンを見上げながら、直ぐに立ってお出迎えすると、レオンは嬉しそうに笑う。
これはこれはもしかして……うまくいっちゃったんじゃないの~?
ご機嫌な様子のレオンからそう予想し、俺の顔も思わずニヤける。
やる時はやる男!俺の憧れのヒーローレオ~ン!!
なんてったってレオンは神が選びし英雄様なのだから、そんなレオンを信じず誰を信じろというのか!
俺は一切疑ってなどいないよ~。
心の中でそう言いながら即座にベッドに駆け寄り、こっそりと身分証を回収すると、フンッ!!とバックの中にそれを叩きつけるように入れた。
そしてご機嫌で立っているレオンの周りをぐるぐると回っていると、レオンが笑顔のまま話しかけてくる。
「リーフ様、少し試したい事があるのですが、抱きしめてみてもいいですか?」
「────えっ?うん、いいよー!」
何を試すのか分からないが、とりあえず両手を上げて水平に。
そしてそんな俺のがら空きになった脇にソッと手を入れ、レオンは俺を持ち上げ抱きしめてきた。
ハイハ~イ、コレいつものパターンでしょ?
分かってます分かってます、硬いお胸で擦り下ろしバージョンの締め付けだよ。
衝撃を予想し、俺は自身の最強防御スキル<石男 >を発動しておいた。
これで俺は例えお顔が半分になってしまっても耐えきって見せる!
意気込みながら来る衝撃に備えた……が??
硬いお胸は変わらず、しかしそこに擦り付けてくる動きは非常に優しく、まるで豆腐パンを扱う様だ。
……おお?おおおおおお?????
キョトンとしながらそれを享受していると、モルトとニールもいつもと違う俺のご様子に、頭から巨大なハテナマークを出している。
「い、痛くな────い!!」
「「ええええぇ────!!!??」」
俺がモルトとニールに向かって叫ぶと、驚いた様子のモルトとニールは同時に叫び声を上げたが、驚いているのは俺も同じだ。
よって、俺は直ぐにレオンに尋ねてみた。
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