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第八章
370 神に選ばれし……?
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( シャルロッテ )
────ガシャンッ!!!!
激しく何かが壊れる音がカールお父様の書斎から絶えず聞こえ、それに合わせる様に怒鳴り声まで聞こえてくる。
「 クソっ!!!役立たず共がッ!!! 」
「 おいっ!!────ッ!!
なぜ応答しないっ!!!まさか本当に……っ!!? 」
そんな怒号が聞こえ、部屋の前で並び控えている従者達は青白い顔でガタガタと震えていた。
私は眉をピクリと上げた後、いつもは家族団らんを楽しむリビングルームへと向かうと、マリナお母様が暴れまわったせいでぐちゃぐちゃになってしまった無惨な内装を見る羽目になってしまう。
部屋に飾ってあった花瓶の全てが砕け散り、下の絨毯は水浸し。
ソファーはズタズタに引き裂かれ、とてもじゃないがこんな場所で安らぎの一時は送れないだろう。
私はそのまま無言で歩き出し、後片付けに追われ床を拭いていた1人の侍女の手を思い切り踏みつけた。
「 きゃあぁぁ────!!! 」
突然の痛みに叫ぶ侍女。
それが更に気に触った私は、醜い顔で私を見上げたその侍女の頬を叩き黙らせると、そのままその近くで花瓶を片付けていた違う侍女を今度は蹴り飛ばす。
すると怯えて地に伏している姿に多少の溜飲が下がったが……まだまだ足りない。
気が済むまで片っ端から目に入った侍女達や執事達に対し暴力を振るっていると、従者達のうめき声とすすり泣く声がする中、グリードお兄様が悲しげな様子で部屋に入ってきた。
お兄様は片手で顔半分を覆いながら私に近づいてきて、その進行の妨げになる倒れ込んでいる侍女を蹴り飛ばしてどかすと、私の前でピタリと止まる。
「 シャルロッテ、気分は悪くないか? 」
「 ありがとうございます。私は問題ありません。
それよりお兄様、お母様は大丈夫でしょうか……?
あの優しくて強き心を持ったお父様とお母様がこんな状態になるなんて……。 」
私の事を気遣ってくれる優しい兄に対し、無理に作った笑顔で対応すると、兄は片手で顔を覆い、大きなため息をついた。
「 ……今やっとお母様は落ち着いてお部屋で休んでおられるところだ。
しかし随分と憔悴なさっておられる。
なんとお可哀想に……。
おれほどお優しいお方の御心を暗くする存在がいるなんて、本当に許せない……っ! 」
怒りに震える兄グリードの言葉を聞き頭の中に思い浮かんだのは、我が家の最大の汚点とも言えるモノ。
あんな神に見放されたような醜き存在に、選ばれし使徒であるお父様とお母様がこんなにも苦しめられるなんて!!
大事な家族が苦しめられたという事実に激しい怒り、悲しみ、憎しみが込み上げ、あまりの激情にフラッと倒れそうになったが、兄グリードはそれを受け止め支えてくれた。
「 あぁ、シャルロッテ!大丈夫か?!
なんてことだろう!!
お父様お母様だけではなく我が愛しの妹シャルロッテまであの邪悪なる存在に蝕まれるなんて!!
やはりアレは我が家の邪神!
アレがいる限り家族全員が不幸になってしまうに違いない!! 」
・・
アレ……。
会ったことも見たこともない我がメルンブルク家の存在しない次男、私の弟にあたる────
” リーフ ”
・・
名前を呼ぶのも悍ましいアレは、茶色の髪に緑の瞳そして酷く醜い顔立ちをしていると、準成人を迎えた時にお父様より聞かされた。
そしてそれをどうすることもできず、苦肉の策としてレガーノという田舎町に置いているとも……。
” シャルロッテ様は本当にお美しいですわ~。
お兄様のグリード様も弟君のジョン様も、メルンブルク家の美しさときたら叶う者はおりませんね。
────そういえばもうひとりお体が弱い次男様がいらっしゃるとお噂でお聞きしたことがありますが、本当なのですか? ”
” まぁ!そんな噂は初めて聞きましたわ。
もしいるとすればきっとこんなに美しいシャルロッテ様の弟君様ですもの~。
目も覚めるような美少年に違いないでしょうね! ”
そうして笑う友人たちにどれほど恥ずかしい思いをしたか、くやしい思いをしたか……。
そしてそんな囁かれる声に家族がどれほど傷つけられて悲しみに暮れたのか、もう数え切れないほどだ。
その存在はまさに世を暗黒に飲み込もうとする邪神そのもの!
あんなものが例え中学院の入学試験に無様に落ちようとも、世に認知されること自体大罪なのに!
────ポロッ……。
目を伝う涙が一筋頬を伝い落ちると、それは止めどなく次から次へと流れ落ちていく。
それに気づいたお兄様は私を悲しげにギュッと抱きしめてくれた。
「 とうとう邪神の子が牙を剥いてお父様とお母様に襲いかかったのだろう。
ついこの間まで心穏やかであったのに……。
何があったかは分からないが、こんな事許されるべきではないっ!! 」
『 あんなヤツ早く消えてしまえ!! 』
家族全員の気持ちが1つになるのを全身で感じながら、私もそれを強く望みお兄様をギュッと力強く抱きしめ返す。
ついこの間まで幸せだった家族の時間。
その時のお父様とお母様は、とてもご機嫌な様子で、私も兄も弟も嬉しくてその時間を楽しんだ。
そしてそんな時間はあっという間に終わり、最後にお父様はこう言ったのだ。
「 もうまもなく我々の心を苦しめるものは跡形もなく消えてなくなるだろう。
その日は盛大に家族全員でお祝いをしよう。
大きなパーティーを開いてもいいね。
あぁ、その日がとても楽しみで待ちきれないよ。 」と。
だから、今日はまた皆んなで幸せな時間を過ごせると……そう思っていたのに────っ!
予想した未来との余りの差に、私は唇をギリギリと噛み締めた。
いまやその時の幸せの面影は完全に消え失せ、お母様もお父様も部屋から出てこない。
そしてお兄様は悲しみに暮れ、私は悲しくて悔しくて涙が止まらない。
その状況を作ったのは ” アレ ” !!
私の大事な家族──── ” 世界 ” を壊す者は消え去るべきだ。
それこそが神が決めた ” 正しい ” 世界の在り方なのだから。
そう決意し、私は目を閉じた。
瞼に映るのは幸せそのものである家族の団らんの記憶。
その思い出はゆりかごの様に私の心を揺さぶり、心地よい幸せを心に運んできたが────それと同時にその幸せを壊そうとするアレに対する怒りと憎悪の感情が次から次へと生まれ落ちては、心は真っ黒く染まっていった。
────ガシャンッ!!!!
激しく何かが壊れる音がカールお父様の書斎から絶えず聞こえ、それに合わせる様に怒鳴り声まで聞こえてくる。
「 クソっ!!!役立たず共がッ!!! 」
「 おいっ!!────ッ!!
なぜ応答しないっ!!!まさか本当に……っ!!? 」
そんな怒号が聞こえ、部屋の前で並び控えている従者達は青白い顔でガタガタと震えていた。
私は眉をピクリと上げた後、いつもは家族団らんを楽しむリビングルームへと向かうと、マリナお母様が暴れまわったせいでぐちゃぐちゃになってしまった無惨な内装を見る羽目になってしまう。
部屋に飾ってあった花瓶の全てが砕け散り、下の絨毯は水浸し。
ソファーはズタズタに引き裂かれ、とてもじゃないがこんな場所で安らぎの一時は送れないだろう。
私はそのまま無言で歩き出し、後片付けに追われ床を拭いていた1人の侍女の手を思い切り踏みつけた。
「 きゃあぁぁ────!!! 」
突然の痛みに叫ぶ侍女。
それが更に気に触った私は、醜い顔で私を見上げたその侍女の頬を叩き黙らせると、そのままその近くで花瓶を片付けていた違う侍女を今度は蹴り飛ばす。
すると怯えて地に伏している姿に多少の溜飲が下がったが……まだまだ足りない。
気が済むまで片っ端から目に入った侍女達や執事達に対し暴力を振るっていると、従者達のうめき声とすすり泣く声がする中、グリードお兄様が悲しげな様子で部屋に入ってきた。
お兄様は片手で顔半分を覆いながら私に近づいてきて、その進行の妨げになる倒れ込んでいる侍女を蹴り飛ばしてどかすと、私の前でピタリと止まる。
「 シャルロッテ、気分は悪くないか? 」
「 ありがとうございます。私は問題ありません。
それよりお兄様、お母様は大丈夫でしょうか……?
あの優しくて強き心を持ったお父様とお母様がこんな状態になるなんて……。 」
私の事を気遣ってくれる優しい兄に対し、無理に作った笑顔で対応すると、兄は片手で顔を覆い、大きなため息をついた。
「 ……今やっとお母様は落ち着いてお部屋で休んでおられるところだ。
しかし随分と憔悴なさっておられる。
なんとお可哀想に……。
おれほどお優しいお方の御心を暗くする存在がいるなんて、本当に許せない……っ! 」
怒りに震える兄グリードの言葉を聞き頭の中に思い浮かんだのは、我が家の最大の汚点とも言えるモノ。
あんな神に見放されたような醜き存在に、選ばれし使徒であるお父様とお母様がこんなにも苦しめられるなんて!!
大事な家族が苦しめられたという事実に激しい怒り、悲しみ、憎しみが込み上げ、あまりの激情にフラッと倒れそうになったが、兄グリードはそれを受け止め支えてくれた。
「 あぁ、シャルロッテ!大丈夫か?!
なんてことだろう!!
お父様お母様だけではなく我が愛しの妹シャルロッテまであの邪悪なる存在に蝕まれるなんて!!
やはりアレは我が家の邪神!
アレがいる限り家族全員が不幸になってしまうに違いない!! 」
・・
アレ……。
会ったことも見たこともない我がメルンブルク家の存在しない次男、私の弟にあたる────
” リーフ ”
・・
名前を呼ぶのも悍ましいアレは、茶色の髪に緑の瞳そして酷く醜い顔立ちをしていると、準成人を迎えた時にお父様より聞かされた。
そしてそれをどうすることもできず、苦肉の策としてレガーノという田舎町に置いているとも……。
” シャルロッテ様は本当にお美しいですわ~。
お兄様のグリード様も弟君のジョン様も、メルンブルク家の美しさときたら叶う者はおりませんね。
────そういえばもうひとりお体が弱い次男様がいらっしゃるとお噂でお聞きしたことがありますが、本当なのですか? ”
” まぁ!そんな噂は初めて聞きましたわ。
もしいるとすればきっとこんなに美しいシャルロッテ様の弟君様ですもの~。
目も覚めるような美少年に違いないでしょうね! ”
そうして笑う友人たちにどれほど恥ずかしい思いをしたか、くやしい思いをしたか……。
そしてそんな囁かれる声に家族がどれほど傷つけられて悲しみに暮れたのか、もう数え切れないほどだ。
その存在はまさに世を暗黒に飲み込もうとする邪神そのもの!
あんなものが例え中学院の入学試験に無様に落ちようとも、世に認知されること自体大罪なのに!
────ポロッ……。
目を伝う涙が一筋頬を伝い落ちると、それは止めどなく次から次へと流れ落ちていく。
それに気づいたお兄様は私を悲しげにギュッと抱きしめてくれた。
「 とうとう邪神の子が牙を剥いてお父様とお母様に襲いかかったのだろう。
ついこの間まで心穏やかであったのに……。
何があったかは分からないが、こんな事許されるべきではないっ!! 」
『 あんなヤツ早く消えてしまえ!! 』
家族全員の気持ちが1つになるのを全身で感じながら、私もそれを強く望みお兄様をギュッと力強く抱きしめ返す。
ついこの間まで幸せだった家族の時間。
その時のお父様とお母様は、とてもご機嫌な様子で、私も兄も弟も嬉しくてその時間を楽しんだ。
そしてそんな時間はあっという間に終わり、最後にお父様はこう言ったのだ。
「 もうまもなく我々の心を苦しめるものは跡形もなく消えてなくなるだろう。
その日は盛大に家族全員でお祝いをしよう。
大きなパーティーを開いてもいいね。
あぁ、その日がとても楽しみで待ちきれないよ。 」と。
だから、今日はまた皆んなで幸せな時間を過ごせると……そう思っていたのに────っ!
予想した未来との余りの差に、私は唇をギリギリと噛み締めた。
いまやその時の幸せの面影は完全に消え失せ、お母様もお父様も部屋から出てこない。
そしてお兄様は悲しみに暮れ、私は悲しくて悔しくて涙が止まらない。
その状況を作ったのは ” アレ ” !!
私の大事な家族──── ” 世界 ” を壊す者は消え去るべきだ。
それこそが神が決めた ” 正しい ” 世界の在り方なのだから。
そう決意し、私は目を閉じた。
瞼に映るのは幸せそのものである家族の団らんの記憶。
その思い出はゆりかごの様に私の心を揺さぶり、心地よい幸せを心に運んできたが────それと同時にその幸せを壊そうとするアレに対する怒りと憎悪の感情が次から次へと生まれ落ちては、心は真っ黒く染まっていった。
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