【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
399 / 1,649
第九章

383 入学院式の始まり始まり〜

しおりを挟む
( リーフ )


いよいよ入学院式が始まる様だ!


俺の胸はこれから始まるであろう学院生活に、ドキドキワクワクと高鳴る。


物語では鉱山で石を掘っているだけであったレオンにとって、この中学院生活だけが唯一物語の影響を受けない自由な時間。

つまり、これは精神的に最も大事な期間になる事は間違いない。


「 じゃあ、また後でね~! 」


俺はヨイショッとレオンの背中から降りて、そのままレオンの手を引き、前の方の晒し者席へ。


そして一番前の王様席とその後ろにあるVIP席を交互に指さし、我関せずのレオンにきちんと説明した。


「 さぁ、これがレオンの椅子だよ。

そしてその後ろにあるのが俺の椅子~。 」


「 …………。 」


説明を受けたレオンは、ジッと二つの椅子を見つめた後、直ぐにズッ!!ズッ!!と、床が心配になるほどの勢いでVIP席を王様席の横に移動する。


"   さぁ、リーフ様どうぞ?  "


そんな目で座れと訴えかけてくるレオンだが、俺は床が傷ついてないかが気になって仕方がない。


傷ついてたら弁償……。


ブルブルヒヤヒヤしながらVIP椅子を持ち上げて見てみたが、床も椅子も傷ひとつないためセーフ。


ホッとしながら、ゴネゴネ気配を漂わせてくるレオンをこれ以上刺激しないため、俺は大人しくVIP席に座ろうとした────が……。

なんとレオンがそのままワシっ!と俺の腰辺りを掴み、お尻をお膝の上に乗せようとしてくる!!


流石にこんな全生徒の前で、英雄様を ” 椅子 ” にするわけには……!!


必死にイヤイヤ!と踏ん張る俺。

負けじと乗せようとしてくるレオン。


なんだか周りから見ると奇妙な筋トレみたいになっている事は……一番近くの三位の椅子に座っているマリオンの目を見ればよく分かる。


殺意、呆れ、怒り……。

様々な想いがぎっしりつまったマリオンの目!


その全てはレオンに惜しみなく注がれている。


流石にこのままではまずいと、踏ん張りながらマリオンに朝の挨拶をした後、スイッ~と王様席のサイドの手を置く所に自分のお尻を誘導し、そのままそこに座った。


そして "   まぁ、そこなら……  "   と妥協したらしいレオンが大人しく王様席に座ると、なんとびっくり。


裏社会を牛耳るマフィアのボスと、その横に大抵いる黒猫みたいな構図になってしまった!


俺が最強の悪役なのに~……。


グスンっと鼻を啜りながら大人しく座っていると、レオンは転落防止用か、片手を俺の腰に添える。


「 あ、ありがとう。 」


「 ?はい。 」


とりあえずお礼を言ったが、レオンは聞いてるのかいないのか……自分がボスの位置だからご機嫌だ。


チラッと隣を見ると、俺の座る予定だったVIP席が空席でなんとも寂しい。

そのため俺はとりあえずライトノア学院のしおりをポケットから取り出し、ソッとそこに置いておいた。


その後、俺たちの後ろが多少ざわついていたが、フラン学院長と先程名前を教えてもらったセリナ副学院長、そして沢山の教員達が入ってきたのを合図にピタリと静かになり、全員が前の舞台の方へ注目が集まる。


一番最初に入ってきたフラン学院長は、流石というしかない威厳ある堂々たる態度で入ってきたが、俺達の方を見ると…………一瞬足を止めた。


「 …………。 」


「 …………。 」


確実に目がバッチリ合っているのに、無反応なフラン先生。


そのままお互い見つめ合っていたが、やがて────……。



────ギ・ギ・ギ・ギ~……。


フラン先生はものすごく不自然に視線を外し、そのままスピーチ台の前へ。

そして脇に抱えた高さ調節のための踏み台を置き、その上に立って俺たち生徒達の方を向くと、それに続き他の教員たちはその後ろにズラリと横並びになった。


試験の時と同じだな。


懐かしさを感じながら、フラン先生の言葉を待っていたのだが、どこからか突然ビッシビシとビンタされるくらいの強い視線が送られてきたため、俺はその発生源である、後ろに並ぶ教員達の端へと目を向ける。


するとそこには────……。


こめかみが何かの生き物の様にビクンビクンッと動き、輝くルビーの様に真っ赤になっている酷く充血した目。

親の敵どころか全人類が皆殺しにでもされたの?と問いたくなるくらいの憎しみをこめてレオンを睨む……ドーナッツ少年こと< ジュワン >の姿があった。


「 …………。 」


思わず凝視していると、ジュワンは、ぎ~りぎりっ!!とコオロギの求愛行動のような音まで立てて、歯ぎしりを開始したため、俺も周りの生徒達の視線もジュワンに釘付け!


そのお陰で、俺とレオンは皆の興味の対象から外れた様だ。

しかし、それだけ注視されて、さぞや居心地が……と心配しなくても、そんな気持ち悪い求愛行動など、お仕事以外無関心がスタンダードなレオンには届かないから大丈夫!


うちの子はそんなものに靡くほど安くはないので!


ギロッ!とジュワンを睨みつけてから、横に座るレオンを見下ろせばニコッと微笑む可愛い可愛いレオン少年の顔がある。


よ~しよし、怖い大人がいまちゅね~!


気遣う様に撫で撫でしていると、ゴホン……と咳払いをすることで生徒たちの視線を自分に戻したフラン学院長は、スピーチ台に設置したマイクの様な魔道具に向かって話し始めた。


「 新入生諸君、まずはこのライトノア学院入学おめでとう。

あの厳しい試験を通過しここに今いるという事実は、諸君らにとって誇れる事実であることをまずは言わせていただこう。


────しかし、これはほんのスタートにしか過ぎない。


これより我が学院でその才能を存分に磨き実力に見合った活躍の場に辿り着ける事を心より願っている。

ここにいる全ての者達が今日よりライバルだ。

お互い切磋琢磨し、より高みを目指してくれ。


────────では、まずは今年の試験上位三名を紹介しよう。


3位通過、マリオン・オブ・スタンティン!総合点は『 250点 』!!! 」


” おおおお────!!! ”


三位であるにも関わらず、去年の主席を上回る点数だったため、興奮するような声が至るところで上がる。


そしてそれが収まった頃、フラン学院長は続けて言った。


「 続いて第二位通過、リーフ・フォン・メルンブルク!

総合点は────────。



『 355点 』!!!!  」



フラン学院長がそう告げた瞬間、ドンッ!!!と物凄い爆発が起きたかのような歓声が大ホール中に響いた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...