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第十一章
455 酸っぱいアレ
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( リーフ )
◇◇◇◇
『 まるで雲の上にいるかのような夢心地を提供いたします! 』
そんなキャッチフレーズの直後に思い浮かぶのは、『 でも……お高いんでしょう? 』という、それに答えるフレーズだ。
その ” 雲の上にいるかのような夢心地 ” を目一杯に味わいながら、それを与えてくれているベッド・マッシュの上に横たわりそんな事を考えている。
そして視線の先には、椅子に座って砂ネズミを置くミニクッションを謎の黒い皮で作っているレオンがいた。
レオンはショックらしいショックを受けている様子はなく、寧ろ上機嫌の様にも見える。
それに俺はホッと胸を撫で下ろしたが、それは無理してそう振る舞っているのかもしれない。
そんな可能性を考え、ガガーン……と凹み、現在横たわっているベッド・マッシュに力なく身体を預けながら、先ほど起きた事を思い出した。
まずは運動系部活から回ろうと、基礎運動場についた俺とレオン一行。
そして到着後にまず驚いたのは、その人の多さと活気あふれる部活の勧誘の数々であった。
ゆ、遊園地……??
そう勘違いしてもおかしくないくらい、至るところでパレードみたいなアピールや、体験型のイベントの様なものなどなど……かなりの賑わいを見せている事に目を剥く。
これは凄いぞ!
視線はキョロキョロ、心はワクワクしながら俺と俺の裾を掴んでいるレオンが、その場に足を踏み入れた瞬間─────……。
─────ザッ!!!
俺達はモーゼの杖になった。
つまり近くにいた生徒たちが、すごい勢いで俺達から離れてしまい、それを察知したらしい周りがこれまた離れ……俺達のまわりは人口密度『 0 』へ。
チラ~と右を見ればその先にいる人たちも右を、左をチラ~と見れば左を向かれてしまい、誰とも目線が合わない。
「 …………。 」
嫌な予感を持ちながら、一番近くに居を構える『 陸術部 』という、運動全般を楽しむ部活の受付の方へとフラ~と向かった。
すると、受付に座っているお嬢さん2人はビクビクンっ!!と身体を揺らし、直ぐに《 満員!御礼☆ 》と書かれた札を机の上に置いていなくなる。
それを見守った後、その視線はその隣にあった『 足競技部 』へ。
そこでボールを持って、派手に勧誘していた5人のイケてる僕ちゃん達も、先ほどの女性同様身体を揺らした後『 満員!また来年☆ 』と書かれた旗を振りはじめてしまった。
「 …………。 」
無言でそれを見つめた後、とりあえず端から端まで歩いていったのだが、結果は全て同じ。
『 満員 』と書かれた札を見せられ、話を聞く間もなくスタコラサッサとさようなら。
原因は分かっていて、多分8割以上は、あの入学院式での " お野菜騒動 " のせいだと思われる。
でもあれは、絶対『 ないない君 』先生が悪い。
だって子供相手に激おこして凄い勢いで飛び出してくるから……!
野菜と化した問題教師を、頭の中で毟ってやりながら怒りに震える。
せめて畑に生えた野菜ではなく、収穫後の野菜の様に優しく横たわった状態だったら……!
そんな後悔をしても、もう遅い。
俺のノリノリ宣言も加わり、ちょっと呪われている黒い人とテンションアゲアゲで悪役イヤッホ~する変人だと思われてしまった様で、当然お断りというわけだ。
勿論それは運動部だけではなく文化部もで、こちらなど尚酷く、恐怖からかオギャギャンと泣いてしまう子達までいる始末……。
仕方ないので、スゴスゴと家に帰ってきた……というわけだ。
満足のいくミニクッションを作れたからか、ふぅ~……と満足そうな息を吐き、その上に砂ネズミのぬいぐるみをソッ……と置いてあげる心優しきレオン少年を見て、思わずホロリと涙が流れる。
あんなにも部活を楽しみにしていたのに……。
心の中で嘆きながら、レオンを励ます様におずおずと話しかけた。
「 満員になっちゃったなら入れなかったのは仕方ないさ。
あんまり気にしないで、少し経てば空きが……。 」
「 全然大したことなかったですね。全てが。
あんなもので勝負を挑んでいくとは……正直正気とは思えません。
狂ってます。
あんなものに入る価値などありませんね。
……そう思いませんか? 」
俺の言葉を遮る勢いでそう言い放ったレオンは、フッ……と心底バカにしているような?あまりよろしくない感じの笑みを浮かべる。
勿論普段だったら、コラッ!と諭したりするのだが……この発言が本当にそう思って言っているわけではない事を知っているので、俺は怒らない。
『 酸っぱいブドウ 』
手に入らなかったものに対し、大した価値がないものだったと考えることで心の負荷を減らすこと。
これなんだよな~……。
俺がその通りだと言わんばかりにウンと頷くと、レオンはパアアア~と目に見えて上機嫌になった。
嬉しそうなレオンの姿をニコニコと笑顔で見守りながら、部活に入れてもらえない残り2割の理由は、やはりレオンの呪われた様な姿にあるんだろうなと推測し、地味~に凹む。
いくら感染しないとは言っても、呪いはやはり敷居が高い。
先ほども、そういう人たちの顔は恐怖で引きつっていた。
怖いものは怖い、苦手なものは苦手。
そういった人生観に伴う負の感情は、突然煙の様には無くならず、慣れるまで時間がかかるもの。
人間関係は基本長期戦だし、しかもどんなに時間をかけても駄目な場合だってある。
……こればっかりはねぇ~。
◇◇◇◇
『 まるで雲の上にいるかのような夢心地を提供いたします! 』
そんなキャッチフレーズの直後に思い浮かぶのは、『 でも……お高いんでしょう? 』という、それに答えるフレーズだ。
その ” 雲の上にいるかのような夢心地 ” を目一杯に味わいながら、それを与えてくれているベッド・マッシュの上に横たわりそんな事を考えている。
そして視線の先には、椅子に座って砂ネズミを置くミニクッションを謎の黒い皮で作っているレオンがいた。
レオンはショックらしいショックを受けている様子はなく、寧ろ上機嫌の様にも見える。
それに俺はホッと胸を撫で下ろしたが、それは無理してそう振る舞っているのかもしれない。
そんな可能性を考え、ガガーン……と凹み、現在横たわっているベッド・マッシュに力なく身体を預けながら、先ほど起きた事を思い出した。
まずは運動系部活から回ろうと、基礎運動場についた俺とレオン一行。
そして到着後にまず驚いたのは、その人の多さと活気あふれる部活の勧誘の数々であった。
ゆ、遊園地……??
そう勘違いしてもおかしくないくらい、至るところでパレードみたいなアピールや、体験型のイベントの様なものなどなど……かなりの賑わいを見せている事に目を剥く。
これは凄いぞ!
視線はキョロキョロ、心はワクワクしながら俺と俺の裾を掴んでいるレオンが、その場に足を踏み入れた瞬間─────……。
─────ザッ!!!
俺達はモーゼの杖になった。
つまり近くにいた生徒たちが、すごい勢いで俺達から離れてしまい、それを察知したらしい周りがこれまた離れ……俺達のまわりは人口密度『 0 』へ。
チラ~と右を見ればその先にいる人たちも右を、左をチラ~と見れば左を向かれてしまい、誰とも目線が合わない。
「 …………。 」
嫌な予感を持ちながら、一番近くに居を構える『 陸術部 』という、運動全般を楽しむ部活の受付の方へとフラ~と向かった。
すると、受付に座っているお嬢さん2人はビクビクンっ!!と身体を揺らし、直ぐに《 満員!御礼☆ 》と書かれた札を机の上に置いていなくなる。
それを見守った後、その視線はその隣にあった『 足競技部 』へ。
そこでボールを持って、派手に勧誘していた5人のイケてる僕ちゃん達も、先ほどの女性同様身体を揺らした後『 満員!また来年☆ 』と書かれた旗を振りはじめてしまった。
「 …………。 」
無言でそれを見つめた後、とりあえず端から端まで歩いていったのだが、結果は全て同じ。
『 満員 』と書かれた札を見せられ、話を聞く間もなくスタコラサッサとさようなら。
原因は分かっていて、多分8割以上は、あの入学院式での " お野菜騒動 " のせいだと思われる。
でもあれは、絶対『 ないない君 』先生が悪い。
だって子供相手に激おこして凄い勢いで飛び出してくるから……!
野菜と化した問題教師を、頭の中で毟ってやりながら怒りに震える。
せめて畑に生えた野菜ではなく、収穫後の野菜の様に優しく横たわった状態だったら……!
そんな後悔をしても、もう遅い。
俺のノリノリ宣言も加わり、ちょっと呪われている黒い人とテンションアゲアゲで悪役イヤッホ~する変人だと思われてしまった様で、当然お断りというわけだ。
勿論それは運動部だけではなく文化部もで、こちらなど尚酷く、恐怖からかオギャギャンと泣いてしまう子達までいる始末……。
仕方ないので、スゴスゴと家に帰ってきた……というわけだ。
満足のいくミニクッションを作れたからか、ふぅ~……と満足そうな息を吐き、その上に砂ネズミのぬいぐるみをソッ……と置いてあげる心優しきレオン少年を見て、思わずホロリと涙が流れる。
あんなにも部活を楽しみにしていたのに……。
心の中で嘆きながら、レオンを励ます様におずおずと話しかけた。
「 満員になっちゃったなら入れなかったのは仕方ないさ。
あんまり気にしないで、少し経てば空きが……。 」
「 全然大したことなかったですね。全てが。
あんなもので勝負を挑んでいくとは……正直正気とは思えません。
狂ってます。
あんなものに入る価値などありませんね。
……そう思いませんか? 」
俺の言葉を遮る勢いでそう言い放ったレオンは、フッ……と心底バカにしているような?あまりよろしくない感じの笑みを浮かべる。
勿論普段だったら、コラッ!と諭したりするのだが……この発言が本当にそう思って言っているわけではない事を知っているので、俺は怒らない。
『 酸っぱいブドウ 』
手に入らなかったものに対し、大した価値がないものだったと考えることで心の負荷を減らすこと。
これなんだよな~……。
俺がその通りだと言わんばかりにウンと頷くと、レオンはパアアア~と目に見えて上機嫌になった。
嬉しそうなレオンの姿をニコニコと笑顔で見守りながら、部活に入れてもらえない残り2割の理由は、やはりレオンの呪われた様な姿にあるんだろうなと推測し、地味~に凹む。
いくら感染しないとは言っても、呪いはやはり敷居が高い。
先ほども、そういう人たちの顔は恐怖で引きつっていた。
怖いものは怖い、苦手なものは苦手。
そういった人生観に伴う負の感情は、突然煙の様には無くならず、慣れるまで時間がかかるもの。
人間関係は基本長期戦だし、しかもどんなに時間をかけても駄目な場合だってある。
……こればっかりはねぇ~。
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