【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十二章

477 不気味な思惑

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( エイミ )

「 しかし……仮にこのグリモアで大量にモンスターが発生したとして奴らに何の得がある?

エドワードの一番の狙いは王座を手にすることだろう?

それを邪魔するライトノア学院や他の対抗組織を潰したいから……だとしてもやり方が流石にお粗末すぎる。

今年から入学するソフィア様を始末したいと考えたとしても、全ての戦闘機関を突破しモンスターが街の中に侵入する頃には教会がなんとしても逃がすはずだ。

確実ではない。 」


「 そこなんじゃよ、理解が出来ぬ点が……。

『 モンスター行進 』を起こし、あれやこれやと教会に責任を押し付けるのが目的かとも思ったが……それが起きる前にこうして< 吸魔石 >が発見されてしまう可能性の方が高い。

もし見つからんと思われているようなら相当見くびられている事になるのぉ。

確かに森の奥の方に破棄されておったので、見つからない可能性もあるが……らしくないと思うんじゃよ。

奴らは必ず勝機を100%の可能性にしてから事に及ぶ。

こんな ” もしも ” を前提とした事件を起こすじゃろうか?

儂にはどうしてもそんな無駄に終わるかもしれん事で、奴らが動くとは思えん。 」



< モンスター行進 >

モンスターが大量増加し、溢れたモンスター達が一斉に人里へと行進を始める現象の事。

原因は魔素が濃くなったことで、ダンジョンの長期間の放置などがきっかけで起こる事が最も多いが、原因不明で起こることもあるため定期的な見守り体制が必須。

もしその兆しがある場合は、すぐに国への報告と迅速な対応が必要となる。

規模にもよるが、一度起これば近くにある街は全滅するため、最も危険視される災害の一つとして国に認定されている。



2人はそう言い合ってから直ぐにう~ん……と考え込んでしまったが、私も同様に頭を悩ます。

確かにそれをすることの明確な理由が思い浮かばない。

街一つを壊滅させるのが目的ならやり方が雑だし、そもそもグリモアを壊滅させて何が得なのかが不明だ。


理由として考えられる可能性としては、ヘンドリク様の言う通り──── ” モンスター行進を発生させてしまった責任を教会に負わせたい ” というものも考えられるが確実ではない。

そもそも肝心の教会までそれに飲み込まれてしまえば、教会からも多数の犠牲者が出る手前、"   やるだけの事はやった上でのどうしようもない災害  "   であったと国民達は思う事だろう。

勿論それを責める者達もいるだろうが、教会の権威を失墜させるまでには至らないはずだ。


ならばと、次に考えられるのは ” アーサー派閥筆頭ともいえるフラン様がいるライトノア学院を狙った ”  というものだが……。


そもそもアーサー派閥は各々の能力の高さが厄介なところで、ライトノア学院が潰れたくらいではその勢いを落とす事はできない。

それどころか、逆にアーサー派閥の中でも非常に攻撃的な層を刺激して、都合が悪い事が起こる可能性の方が高いだろう。


そのためどれも理由としては弱く、要は労力と報酬が見合ってないというか……だからこそこの事件は非常に不気味であると思う。

それに────。


私はエドワード様を筆頭に、それの脇を固める高位貴族たち……その中でも特に突出している、まるで女神の様な完璧ともいえる絶大な美貌を持ち、それとは逆の非常に冷酷で残虐極まりない内面を持った公爵家メルンブルク家の二方を思い浮かべた。


彼らのやり方は非常に狡猾で、念入りに練られた計画とそれに合わせた下準備をする。

そして証拠を消すためならば、それに関わった全ての者達は勿論、関係のない者達まで証拠ごと全てを消しさってきた人たちだ。

そこには一切の躊躇も慈悲もない。

非道さと実行力を持ち、まさに完璧としか言いようのない残虐極まりないやり方を毎回使ってくるエドワード様とメルンブルク家……。

確かにそんな彼らが使う手としてはいささかお粗末すぎる、まさにヘンドリク様の言う通りである。


そのまま3人で頭を悩ましたが、やはりそれ以上の考えは浮かばず、とりあえず優先してすべき事を決めた。


” モンスター行進を防ぐため、モンスター討伐を優先して依頼消化する事。 ”

” アーサー派閥に今の情報の共有と注意勧告。 ”

” 私とザップルさんは引き続き、ギルド内及び貴族達の動きに注意しながらの情報収集。

"   ナックルとゲイルのクラスの見張りと、モンスターの間引きの依頼の適切な振り分け。 ”

” ヘンドリク様はこのまま森の調査を続ける。 ”


結局敵の目的が分からないなら、出来ることをしつつ敵サイドの狙いを探り続けるしかない。


常に後手に回る事に不安と焦燥感を感じたが、それをごまかす様にお茶に口を付けると、ザップルさんがハハッ!と急に笑い出した。


突然どうしたのかしら……?


汗を一筋垂らしながら視線を向ければ、ザップルさんはそのまま弾むような声色で話しだす。


「 最近ずっと暗い話題ばっかりで気が滅入っていたんだが、さっきは久しぶりにスカッとしたよな!

俺は毎日毎日あのクソ野郎をぶっ飛ばしてやりたいと思っていたが、俺がそんな事をすればクラス同士の戦いになってしまうだろ?

そうなればヤツらの知名度を上げるだけ……更に嫌がらせを受けるのはクラスの中でも経験のまだ浅い奴らだ。

我慢我慢の毎日だったんだが……いやー!!ホント最高だった!!

ナックルから殴りかかったから正当防衛、リーフにはお咎めなし!

しかもあの強さじゃ下手に手も出せないだろう。

迂闊に手を出して被害を被れば、今度は< ゲイル >のクラスに潰されるからな。 」
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