【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十四章

522 それぞれの恋愛ペース

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( リーフ )

なら、まきのペースに合わせてガンガン行こう!……と思っても、中々難しかったと思う。

そこら辺は、多分俺という人間の生きてきた人生そのものに関係する事だったから。


当時の苦々しい思い出を思い出しながら、うぬぬ……と苦々しい想いで考え込んでしまった。


俺は男で、無責任な行為によって傷つくのは、身ごもる女性と生まれてくる子供。

それがまず念頭にあって、俺みたいに捨てられたり、まきみたいに手元に置いても要らないモノとして扱われるなどの悲しい結末がどうしても頭から離れない。


だから、どんなに理想のむっちりオッパイを前にしても、それが巨大な壁となって立ち塞がってしまった。


” 見返りのない絶対的な愛情 ” を貰うことが出来なかった俺の愛情は、常に一寸先も見えない闇の中での手探りだ。

多分幸せを感じるのと同時に、恐怖とも戦っていたのだと思う。


「 …………。 」


ゆっくり目を閉じると、幸せ一杯のまきとの恋愛が浮かび上がり……同時に恐怖の感情も追いかけてくる。


今の自分の感情が ” 愛 ” で本当に合ってる?

コレは ” 愛 ” と呼ばれる感情にカテゴリーされるモノ??


自分に向けられる愛情と、それによって生まれた感情の一つ一つを、ゆっくり自分の心と確認しながら進まないと、” 愛 ” が、自分にとってどんなものか分からなくなる。

多分 ” 愛 ” と名のつくものに対しては、全てそんな感じ。

これが俺の恋愛のペースだ。


────う~ん、これは一般的ではないか……。


頭をポリポリ掻きながら、不安そうにコチラを見ているレオンをチラッと見る。


” まぁ結局そのペースは人それぞれだよね! ” 


最後はそんな結論を出して、ニコリと笑った。


「 いいって言うなら好きなだけするといいさ。

ただし!相手が嫌そうにしていたら直ぐに辞めるんだよ。

そうしないと守備隊が飛んでくるからね! 」


そうそう、自分のペースは自分で作ろう。ただしおニャンニャンはもっと大きくなってから!

そして相手が嫌がった時点で、それは痴漢行為に変わるので守備隊に通報される前に辞めようね。


俺が言えるのはこれくらい。

後はレオンを信じて待つのみ。


「 す、好きなだけ……?

~~~っ!!う、うれしいです……ありがとうございます……。 」


レオンは真っ赤な顔でキュッと眉を寄せると、立ち上がり俺の隣に再度ストンッと座る。

今度は最初から肩が触れる位置に座り、そのまま俺の腰の辺りを掴んでグイッと自分の方へと引き寄せた。


そしていつも通り頭皮の匂いをスンスン嗅ぎ出すレオンに、大したことは教えられなかったが、納得してくれたなら良かったと、ホッと胸を撫で下ろし好きにさせる。

そして幸せそうにスンスンと俺の頭の匂いを嗅ぐレオンに対し、フッと疑問が浮かんだ。


赤ちゃんの頭皮の匂いは堪らない魅力がある事を知っているけど……俺の頭皮ってどうなんだろうね??


うう~ん……??

思わず考え込んでしまったが、一番好きな匂いが ” 水に濡れたインコ ” って言ってた友達もいたし、そういうものなんだろうとそれは放って置くことにした。

そして直ぐに頭を切り替え、それ以上に気になっている事に意識を向ける。


” 反教会組織 ” 


とにかく今は、それを調べる事が俺の中の最優先事項、そしてそれを知る上で一番に浮かぶのは────やはり冒険者ギルドだ。


スンスンスン!と匂いを嗅ぎ回るレオンを適度に相手しながら、その存在について改めて考えた。


なんといってもその依頼内容は多指にわたり、様々な場所、そして様々な人々に出会う機会のある冒険者。

そんな冒険者達の集まるギルドは、情報を集めるなら持って来いの場所だ。


歴戦の勇者の様な出立ちをしている冒険者達を想像し、キラっ!と目を輝かせる。


現在俺にできそうな最も有効的な方法は、依頼を受けつつその先々で話を聞く事。

そのため依頼を積極的に受け、これをコツコツやっていくべしと決めた。

俺は隣でウットリ~と、すっかりリラックスモードに突入しているレオンに声を掛ける。


「 さぁ、レオン!俺は冒険者ギルドに行くよ!

これから沢山依頼を受けたいんだ。

レオンも疲れてないなら一緒に行くかい? 」


「 !!はいっ!沢山お金稼ぎましょう!

俺、頑張ります! 」


────ゴッ!

いつになくやる気満々のレオンは、直ぐに立ち上がった。

そして、一瞬でいつもの黒マントスタイルに着替えた後、キラキラした瞳を俺に向ける。


俺も負けじとスポポポーン!と服を脱ぎ、お外用のシンプルな白シャツ茶色のベストに黒ズボンに着替えると────レオンと一緒に冒険者ギルドへと向かって飛んでいった。


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