【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十五章

560 スライムの始祖

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( リーフ )

真剣な表情で閉口した俺を見て、ルーン先生は大きく息を吐き出しながら、ピッと二本の指を立てて俺に見せた。


「 この事から考えられる可能性は主に2つ。

1つ目は、森の奥からスライム達が慌てて逃げ出す様な強大な力を持った ” 何か ” が、スライムの家を次々と襲っている可能性。


そう考えると、その謎のモンスターの目撃情報がない事から、もしかして気まぐれにスライムの家を襲撃して森の奥に帰っただけかもしれないよな。

ただ────遊んだと考えた場合、なぜスライムの家限定なのか?って疑問が残る。

それにその後は森の奥へ帰っていくように続いていくのに、何故かある一定の場所から右へ左へと現在もスライム戦争が起きてるだろう?

だから、多分そいつはまだ森の奥に帰っていないっぽいんだよな。

遊び足りないのか、それとも……?とにかく意図が全く分からないんだぜ。 」


ルーン先生はう~んと頭を悩ましながら、腕を組んだ。


俺も悩みながら再度地図に目を向けると、確かに森の奥から始まったスライム戦争は、森の浅いところまで一直線。

後はまた森の奥へと移動し、ある深さの場所から右へ左へフラフラしている。


もし仮にその強いモンスターがちょっと遊びに来たよ!的な説が正しいなら、自分の縄張りに帰っていこうとしないのは妙だ。

しかも襲撃するのがスライムの家のみ、というのも全く理解できない。

戦争が起きている時点で、好物だから沢山食べるため────でもなさそうだし……。


「 謎だ……。 」


ハテナを飛ばしながら頭をグイッ~と傾けていると、ルーン先生は、二本の立てた指を一本減らして更に続けて言った。


「 ────で、もう一つの可能性としては、スライムの【 始祖 】の存在だな。

その【 始祖 】が他のスライム達に命令を出して、他のスライムの家を襲撃させている。

……あんまり聞いた事がない話だけどな。 」


「 う~ん……。スライムの【 始祖 】か。 」


スライムの【 始祖 】とは、きちんとした個体の意思を持つスライムの本体の事である。


俺も初めて聞いた時は、どういうこっちゃ?と思ったが、実はこのそこら中に沢山いるスライム達は正確に言うと、一個体と定義されている生き物ではない。


動いてはいるが意思はなく物質に近い感じのモノの様で、俺的には、お掃除ロボットのルンバのぷにぷにバージョンだと思っている。


そしてそのぷにぷにルンバは、その【 始祖 】と呼ばれる一匹のスライムから無限に分裂して生み出されたモノであり、要はスライムのカサブタ、切った爪の様なイメージ。


カサブタや爪に意志がないのと同じく、その分離されたスライム達にも単体の意志はないと、そういう事なわけだ。


カサブタや爪が動いたら怖すぎ~と思うが、なんと【 始祖 】の能力は生み出すだけではなく、そのカサブタ的存在のスライム達を自分の意志を持って操ることができるのだ。


しかも質が悪い事に、あらゆるバフをそのスライム達に掛ける事も可能。

更に一斉に ” 命令 ” をし、統率された攻撃まで仕掛けてくるので、討伐するのは非常に厄介なモンスターなのである。

< スライムの始祖 >

スライムと外見は全く同じのユニークCランクモンスター。

無限にスライムを生み出しては、命令し自在に操る事もできる。

またあらゆるバフをそのスライム達に掛ける事もできるので、討伐する際は大量の強化スライム達を倒す必要があるが、数が多い上に外見からもどれが本物か分からないため討伐は困難。



ルーン先生は黙ったまま足元に置いてあった酒瓶を掴むと残ったお酒をグイ~と一気に飲み干した。

そして、そのまま空になった瓶をテーブルにダンッ!と叩きつける様に置くと、ニヤッと笑う。


「 スライムの【 始祖 】が好戦的に周りに戦争を仕掛けるとは考えにくいけどな!

まぁ、でも人間でも好んで争いを起こしたがる奴らもいるから、可能性としては十分にあると思うぜ。 」


「 確かにそうだねぇ。全く困った子達もいるもんだ。

じゃあ、もしその2つ目の仮説が正しかったら< スライムの始祖 >の討伐が、本当の依頼になるって事だね? 」


「 そういう事だ。

だから下手にランクが低い奴らに依頼は出来ないし、まだそうと決まったわけじゃないから高ランク依頼として出すこともできない。

それで困ってあたいのところに回ってきたってわけだ。

ただ、あたいは後衛だからな。

強い他のモンスターや始祖と、万が一戦闘になった場合は前衛がいないとちょっと不安なんだ。

しかも始祖相手だった場合は広範囲スキルを持ってないとキツイし、更に物理耐性が高いスライムに対してだから魔法も補助的にも使えると尚良し!

────っつー事で、リーフとレオンならコンプリートってわけだ。

悪いが、一緒にこの依頼受けてくれないか?  」


縦にピッと立てた右手を顔の前に持ってきて、お願いしま~す!というジェスチャーをするルーン先生に、俺は快くYESと答え、後ろにいるレオンも俺に続いてコクリと頷いた。
 

「 よっしゃっ! 」


ルーン先生は、嬉しそうにパチンッ!と指を弾きソファーから立ち上がると、大きな魔法の杖を背中に装備し俺とレオンの方を向く。


「 じゃあ、今から用意ができたら東門を出た所で待っていてくれよ!

あたいはまずギルドで依頼出してからいくからさ。

じゃあ、二人共よろしくな!  」


そう言ってルーン先生は、窓から外にポーンと飛んで出ていった。


それを見送った後、俺はよいしょっとレオンの上から飛び降り、飲み終わったお茶を下げて出ていこうとしたのだが────台所の予想通りの惨状に一度目を閉じる。

そしてため息をつきながら、ザッとキッチン周りだけ片付け、そのまま二人で一度家へ。

レオンにしっかりいつもの黒マントを羽織らせると、そのまま東門に向かって走っていった。
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