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第十七章
626 過去の最高点を大幅に……
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( カール )
あのうっとおしい飼い猫めぇぇぇっ!!
私はまた新たな爪を歯でギシギシと噛みながら、カルパスが今までしてきた妨害の数々を思い出しては怒りに震える。
この神に選ばれしメルンブルク家が直々にスカウトしてやったというのに、恩知らずにも我々に楯突く愚か者!
更にそれはアレを引き取ってから酷くなっていき、以前レガーノの邸にある家族ルーム、そこに飾っていた大事な大事な絵を回収しようとした時など────。
「 残念ですが、劣化が激しかったので捨てました。 」
そうあっさり言われてしまい、怒り狂ったのは記憶に新しい。
恐らくはあの邪神に命じられたに違いない。
そしてカルパスはその命令にあっさりと忠実に従う事からも、もう既に邪神に完全に屈していると思って良いだろう。
────ビリリっ!!
またしても噛んでいた爪が剥がれてしまい、血が服を汚す。
それを見下ろしながら、私はフッ……と悲しげに眉を下げた。
” 汚れてしまったものはもう元にはもどれない。
傷ついた私の愛おしい家族の心も同様に……。 ”
役立たずのゴミどもが、よってたかって家族の心を傷つけ、汚したのだ。
そんな非道な真似をする輩がこの世にいるなんて……!
私は深くこの世界に絶望し、視線を下へと下げていく。
アレの始末に失敗してから、まず倒れたのはマリナだった。
それからすっかり元気を失くしていくマリナを心から心配し、私は沢山の贈り物や盛大なパーティーを開き必死に元気づけたが、そこで客の中の一人が小さな声で囁いた。
” メルンブルク家の療養中のご子息が、ライトノア学院を受験されたようだ ”
その声が聞こえた瞬間、マリナは凍りつき、ふらりとよろめく。
私は直ぐにそんなマリナを支えながらパーティーの中止を告げると、その場の全員を家から即刻追い出した。
中学院に受かってしまえば、もうアレの存在を隠すことはできない。
流石にライトノア学院には受からないだろうが、万が一他の中学院に合格してしまったら……と考えに考え、言い訳を必死に考える。
” 病気の治療の一環として小さな中学院に通わせてみた。 ”
” しかし直ぐに社交界デビューができる体の状態ではないため、徐々に……。 ”
そうして、できるだけ話題に上がらない誤魔化しを用意し、警戒をしていたのだが────結果は予想を遥かに上回るものであった。
” NO、1中学院ライトノア学院にて過去最高点を大幅に更新!
< リーフ・フォン・メルンブルク >!!脅威の300点越え! ”
その知らせを受けた時、マリナは気絶。
そして子供たちもその場に倒れ、私は足元から崩れ去りその場に尻もちをついてしまう。
その時の衝撃を思い出し頭を抱えたまま、う~う~と苦しげなうめき声を上げていると────……。
────カチャッ……。
扉が静かに開く音がして、ゆっくりと視線を上げれば、そこには青白い顔色をした可愛い我が子のグリードが立っていた。
「 グリード……。 」
「 …………。 」
名前を読んでも視線を下げて答えないグリードを心配し、私はヨロヨロと立ち上がると、ゆっくりとグリードの立つ扉まで向かう。
「 どうしたんだい?具合でも悪いのか?グリード。 」
目の前まで来た私が優しく呼びかけると────グリードはゆっくりと視線を上げ私を見上げた。
そして……泣き出しそうにグシャッと顔を歪め、何かに耐えるような声で喋り始める。
「 父上……今まで家族に迷惑を掛けまいと黙っておりましたが、もう限界です。
毎日の様にアレの話が耳に入ってきます。
アレがライトノア学院で過去最高点といえる300点越えを叩き出したと……。
誰も彼もがアレを褒め称え、俺に ” 紹介して欲しい ” ” 一体どのような人物なのか? ” と聞いてくるのです。
そのせいで……俺はずっと……眠れません────っ……! 」
グッと唇を噛んで、辛い気持ちに耐えるグリード。
何か言ってあげたかったが、なんといっていいか分からず沈黙していると、グリードは落ち着こうとふっ──……と短く息を吐き話を続けた。
「 ……影ではアレこそがメルンブルク家の最も優秀な子供で、俺はそんな弟の足元にも及ばぬ出来損ないの兄であると言われています。
俺は……俺は……っ──俺は、あんな醜い虫同然の奴より下……全てが劣っている存在であると……?
俺は神に選ばれし存在のはずではないのですか……?
俺は……俺は……っ! 」
「 グリード!!それ以上言うんじゃないっ!! 」
ブツブツと虚ろな目で呟き続けるグリードが、痛ましくて辛くて……私は直ぐにグリードを抱きしめる。
すると、グリードは大きく深呼吸をし「 申し訳ありません、取り乱しました。 」と冷静さを取り戻したかの様に見えた。
だが────抱きしめている体は小さく震えている事から、動揺は治まっていない事が分かる。
そんな気丈に振る舞おうとする息子を痛ましい目で見下ろすと、私はグリードの目をしっかりと見つめ、言い聞かせるように言った。
「 グリード、我々メルンブルク家は ” 神に選ばれし遣いである ”
右に並ぶ者などいない絶大な美しさ、優しく慈愛に満ちた清らかな心、そして周りを遥かに凌駕した才能、地位……その全てを持っている我々は今、この世で最も神に近い人間なのは疑いようのない事実だ。
お前は何一つ間違っていない。
卑下する事実などないという事をよく覚えておきなさい。 」
私がはっきりと ” 真実 ” について語ったというのに、グリードの顔は曇だし、やがて視線は私から外れ下へと下がっていった。
あのうっとおしい飼い猫めぇぇぇっ!!
私はまた新たな爪を歯でギシギシと噛みながら、カルパスが今までしてきた妨害の数々を思い出しては怒りに震える。
この神に選ばれしメルンブルク家が直々にスカウトしてやったというのに、恩知らずにも我々に楯突く愚か者!
更にそれはアレを引き取ってから酷くなっていき、以前レガーノの邸にある家族ルーム、そこに飾っていた大事な大事な絵を回収しようとした時など────。
「 残念ですが、劣化が激しかったので捨てました。 」
そうあっさり言われてしまい、怒り狂ったのは記憶に新しい。
恐らくはあの邪神に命じられたに違いない。
そしてカルパスはその命令にあっさりと忠実に従う事からも、もう既に邪神に完全に屈していると思って良いだろう。
────ビリリっ!!
またしても噛んでいた爪が剥がれてしまい、血が服を汚す。
それを見下ろしながら、私はフッ……と悲しげに眉を下げた。
” 汚れてしまったものはもう元にはもどれない。
傷ついた私の愛おしい家族の心も同様に……。 ”
役立たずのゴミどもが、よってたかって家族の心を傷つけ、汚したのだ。
そんな非道な真似をする輩がこの世にいるなんて……!
私は深くこの世界に絶望し、視線を下へと下げていく。
アレの始末に失敗してから、まず倒れたのはマリナだった。
それからすっかり元気を失くしていくマリナを心から心配し、私は沢山の贈り物や盛大なパーティーを開き必死に元気づけたが、そこで客の中の一人が小さな声で囁いた。
” メルンブルク家の療養中のご子息が、ライトノア学院を受験されたようだ ”
その声が聞こえた瞬間、マリナは凍りつき、ふらりとよろめく。
私は直ぐにそんなマリナを支えながらパーティーの中止を告げると、その場の全員を家から即刻追い出した。
中学院に受かってしまえば、もうアレの存在を隠すことはできない。
流石にライトノア学院には受からないだろうが、万が一他の中学院に合格してしまったら……と考えに考え、言い訳を必死に考える。
” 病気の治療の一環として小さな中学院に通わせてみた。 ”
” しかし直ぐに社交界デビューができる体の状態ではないため、徐々に……。 ”
そうして、できるだけ話題に上がらない誤魔化しを用意し、警戒をしていたのだが────結果は予想を遥かに上回るものであった。
” NO、1中学院ライトノア学院にて過去最高点を大幅に更新!
< リーフ・フォン・メルンブルク >!!脅威の300点越え! ”
その知らせを受けた時、マリナは気絶。
そして子供たちもその場に倒れ、私は足元から崩れ去りその場に尻もちをついてしまう。
その時の衝撃を思い出し頭を抱えたまま、う~う~と苦しげなうめき声を上げていると────……。
────カチャッ……。
扉が静かに開く音がして、ゆっくりと視線を上げれば、そこには青白い顔色をした可愛い我が子のグリードが立っていた。
「 グリード……。 」
「 …………。 」
名前を読んでも視線を下げて答えないグリードを心配し、私はヨロヨロと立ち上がると、ゆっくりとグリードの立つ扉まで向かう。
「 どうしたんだい?具合でも悪いのか?グリード。 」
目の前まで来た私が優しく呼びかけると────グリードはゆっくりと視線を上げ私を見上げた。
そして……泣き出しそうにグシャッと顔を歪め、何かに耐えるような声で喋り始める。
「 父上……今まで家族に迷惑を掛けまいと黙っておりましたが、もう限界です。
毎日の様にアレの話が耳に入ってきます。
アレがライトノア学院で過去最高点といえる300点越えを叩き出したと……。
誰も彼もがアレを褒め称え、俺に ” 紹介して欲しい ” ” 一体どのような人物なのか? ” と聞いてくるのです。
そのせいで……俺はずっと……眠れません────っ……! 」
グッと唇を噛んで、辛い気持ちに耐えるグリード。
何か言ってあげたかったが、なんといっていいか分からず沈黙していると、グリードは落ち着こうとふっ──……と短く息を吐き話を続けた。
「 ……影ではアレこそがメルンブルク家の最も優秀な子供で、俺はそんな弟の足元にも及ばぬ出来損ないの兄であると言われています。
俺は……俺は……っ──俺は、あんな醜い虫同然の奴より下……全てが劣っている存在であると……?
俺は神に選ばれし存在のはずではないのですか……?
俺は……俺は……っ! 」
「 グリード!!それ以上言うんじゃないっ!! 」
ブツブツと虚ろな目で呟き続けるグリードが、痛ましくて辛くて……私は直ぐにグリードを抱きしめる。
すると、グリードは大きく深呼吸をし「 申し訳ありません、取り乱しました。 」と冷静さを取り戻したかの様に見えた。
だが────抱きしめている体は小さく震えている事から、動揺は治まっていない事が分かる。
そんな気丈に振る舞おうとする息子を痛ましい目で見下ろすと、私はグリードの目をしっかりと見つめ、言い聞かせるように言った。
「 グリード、我々メルンブルク家は ” 神に選ばれし遣いである ”
右に並ぶ者などいない絶大な美しさ、優しく慈愛に満ちた清らかな心、そして周りを遥かに凌駕した才能、地位……その全てを持っている我々は今、この世で最も神に近い人間なのは疑いようのない事実だ。
お前は何一つ間違っていない。
卑下する事実などないという事をよく覚えておきなさい。 」
私がはっきりと ” 真実 ” について語ったというのに、グリードの顔は曇だし、やがて視線は私から外れ下へと下がっていった。
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