【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
657 / 1,649
第十八章

641 メガネ女と

しおりを挟む
( レオン )

◇◇

リーフ様との距離は確実に近づいている。


そう確信できる様な出来事がその後も多々続き、俺は毎日嬉しかった。

しかし、いつ良からぬ出来事と遭遇するかは分からないし、急に横から大好きなリーフ様を取られてしまう事だってあるかもしれない。

そんな不安や恐怖は常にあって、それを少しでも払拭するために、その種は全て早々に潰したほうがいいと俺は考えた。

その中でまず俺が解決しなければならないことは──── ” 新たな知識の吸収 ” だと理解する。

リーフ様は心優しいので、俺が ” 椅子 ” になっていたら、座学の勉学に影響があるのではないか?と心配してくれたという理由もある。


優しくされてとても嬉しい。

だがリーフ様に心配を掛けてはダメだ。


そう考えた俺は、その授業とやらが終了した後、リーフ様に声を掛けた。


「 今から少し本を読んできます。 」

「 ────えっ?!……あ、う、うん。 」


酷くびっくりした顔で俺を見上げてくるリーフ様を見て、トクトク……と心臓は小さく弾む。


もしかして俺がいないと寂しい……?


期待に胸を弾ませリーフ様の反応を伺っていたが────……。


「 そっかそっかー!!

レオンも成長したねぇ、俺は嬉しいよ!

いってらっしゃ~い。 」


ニコニコ笑って手を振るリーフ様によって、期待は一瞬で消え失せた。


「 …………。 」


いつものリーフ様だ。

ジトっとした目でリーフ様の笑顔を目に焼き付けたあと、俺は直ぐに【 学院図書館 】へと向かった。


今まで住んでいたレガーノの小学院にも【 学院図書館 】と呼ばれるモノがあったが、そう呼んでいいか分からないほど小さく、それならリーフ様の邸の方がよっぽど本があるというレベルであった。


勿論その全ての知識は俺の頭に入っているので、それ以外にも本が存在するならそれも頭に入れておきたい。


そう考えながら【 学院図書館 】に一瞬で飛んでいくと、目の前にそびえ立つ巨大な建造物に、ほぅ?と感心しながらその建物を見上げた。


大きさとしては【 闘技場 】と同じくらいはありそうで、窓の数から見ると三階建ての様だ。

全体的に真っ白な外壁をしていて、窓が全ての階に所狭しとついている事から蜂の巣を連想させるような外観であった。

窓は一つ一つが大きいため中は丸見えで、そこから見える範囲だけでも見たこともないくらい多くの本が置いてある事が分かる。


────さぁ、どうするか……。


建物を見上げていた顔を正面に戻し、俺は軽く頭を悩ませた。


俺のスキル< 森羅万象 >は、戦闘時だけではなく勿論座学にも非常に有用で、一度視覚にいれたものは全て完璧に理解された状態で頭の中へ入る。

更にそれに付随する全ての理論を理解することも一瞬で可能なのだが…… ” 人 ” に関する知識だけは非常に難解で、1を知って全てをとはいかない。


感情から起因する知識は全てが独立していて、基本的にはバラバラ。

つまりそれを理解するためにはその一つ一つ全てに目を通さなければならないということだからだ。


リーフ様に関する知識以外は入れたくない……。

でもリーフ様に心配を掛けたくない。


「 一緒にいるには、必要な事……。」


ブツブツと自分に言い聞かせる様に呟きながら、俺はその建物の中に入っていった。


ズラリと等間隔に並ぶ巨大な本棚。

そして壁と一体化しているそれには、ぎっしりと数えきれない程の本が収納されていて、ハシゴや階段をかなり登らないと上の方の本には手が届かない程。

中に入ってまず思った事は、本とはこんなにも世界に存在しているものなのか?────だ。


何処を見渡しても本、本、本────……。


予想以上の本の多さに俺は溜め息をつきながら、とりあえず……と中央の壁にめり込んだ巨大な本棚を目指して歩き出したのだが、随分と室内にいる者たちが非常に煩い。


俺の姿を見るや否や、悲鳴を上げての大騒ぎ。

結局、バタバタと大きな足音を立てて走りさってしまった。


「 …………。 」


────ポツン……。

気がつけば一瞬で建物内から生体反応がほぼ消え、その場にいるのは俺一人。

邪魔なモノは全部消えてくれて好都合だと、俺は満足げに頷いた。


さて……どうやって読んでしまおうか?

時間を止めるか、新たに何らかのスキルを創って使うか……。


一番最短の方法について考えていると、不意に建物内に唯一残っていた生体反応が、こちらに向かって近づいてきたのに気づく。

そして────……。


「 ……い、一体何の御用でしょうか……? 」


震えている女の声が背後の気配から聞こえた。


────邪魔なのが来た。


そう思いながら振り向けば、そこには震えながら立っているメガネを掛けた一人の女がいた。


「 …………。 」


身に覚えがない女に邪魔をされた事で多少ムッとした雰囲気が出てしまったのか……その女は大きく肩を震わせた後、震える手でメガネを上げながら恐怖で一杯の目を俺に向けてくる。


「 わ……私は……この学院の副学院長< セリナ >と申します……。

こっ、ここには本しか……ありません。

何か気に入らない事があるのでしたら……必ずや改善いたしましょう。

ですので……どうか、生徒たちに手は出さないで下さい。 」


「 ? 」


本があるのは見てわかる。

生徒達に手を出すとは……??


何となくキョロっと周りを見回したが、本しかないので思わず首を傾げた。

言っている意味が全く分からずとりあえず黙っていると、女は更にベラベラと訳のわからない事を喋り続ける。


「 私はこの学院を守るものとして生徒たちの安全と……ここの責任者として、大事な本達を守りたいのです。

ここは世界中の本を全て集めた本の宝物庫……知識の宝箱なんです。

ですので、私でできることなら何でも────……。 」


「 ????? 」
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...