【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十八章

643 一人で頑張れ

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( レオン )

◇◇◇

そうして上機嫌のまま、いつもランチをする場所へと戻ったのだが……何故かリーフ様以外の者達が、机に顔を伏して寝ている。


リーフ様のお相手もせずに昼寝をするとは、なんて役に立たないモノ達なんだろう!


ムッ!とした気持ちが心から湧き上がったが、” 所詮はおもちゃ、その程度か……。 ” と冷静に思い直し、困った顔をしたリーフ様の眼の前に立った。


「 只今戻りました。リーフ様。 」

「 あ、おかえり。いい本見つかった? 」


俺を目にした途端、パッ!と明るい表情を見せるリーフ様に心は弾む。

質問に答えようと直ぐに口を開きかけたが、” いい本 ” と言われて少々困ってしまった。

ただの ” 知識 ” に、良い悪いの定義が良く分からなかったからだ。

思わずう~ん??と考えてしまったが、とりあえずリーフ様の心の憂いは取り除く事ができるので頷いてみせると、リーフ様は嬉しそうに笑った。


” 可愛い ”


その笑顔にドキッとしたのも束の間、突然リーフ様は「 今度ドレスでも見に行かないかい? 」と言った。


……ドレス?


その言葉に最初は狼狽えてしまったが、直ぐにそれに関係するあらゆる事が頭の中に収束し、俺たちの目指している最終目標   "   結婚 "  へと辿り着く。


「 そ……それは、白いドレスを見に……ですか? 」

「 そうだね! 」


まさか……と信じられない思いで質問すると、リーフ様は照れている様な仕草を見せた後、そうキッパリと答えた。

その瞬間、頭の中には以前に聞いた事のある教会の鐘の音が大きく響き、喜びのままリーフ様をギュッと抱きしめる。


相手が同じ思いを抱いてくれる事。

一緒に一つの目標に向かって進む事。


これも俺を幸せにしてくれる事なのだとまた一つ学んだ。


「 ( 俺たちの将来が )楽しみですね。 」

「 うん!( 午後の授業が )凄く楽しみ~。 」


リーフ様はやはり同様の気持ちを肯定することで、ちゃんと想いを返してくれて、それがすごく嬉かった。


そうしてランチの時間が終わると、次に向かったのは教室の近くにある更衣室で、そこでいつもの修行時の格好に着替えさせられた。

そしてそのまま闘技場に向かい歩きだしたのだが、とても機嫌が良い俺はリーフ様ともっと触れ合っていたくて、歩くリーフ様にペトッと必死にくっついて歩く。


進行を止めない程度、でも幸せを感じることのできるギリギリの距離。

これならリーフ様に引き剥がされない事を俺は知っている。


それをしっかりキープしながらくっついて歩いていると、これから行われる< 戦闘術学 >という授業を行う場所、【 闘技場 】へと辿り着いた。


面倒くさい。

周りが邪魔……。

それより、くっついてもっと幸せを味わっていたい。


様々な自分の欲望がニョキニョキと心から顔を出すが、リーフ様の楽しそうな顔を見ると、それは凄い勢いで心の中へと戻っていった。


優先すべきはリーフ様の気持ち。

自分の欲望だけ優先すると、 ” 次 ” がなくなる……。


先程の ” 性教育 ” の授業の言葉も混ぜて理解し、俺はスッと身体を離して次の機会を慎重に探った。


ジ──ッ……。


一つ一つの行動を見逃がさない様観察してみたが、リーフ様は感情がコロコロと移り変わるため非常に分かりづらい。

そのまま苦戦を強いられていると、男の教員を先頭にゾロゾロとその他の教員らしき者達も建物内に入って来て何やら説明を始めた。


” クラス分け ”

” 【 立体仮想ダンジョン 】 ”


そんな言葉がポツポツと聞こえたが、結局俺はリーフ様の後をついて行くだけなので関係ない。

そのため適当に聞き流していると、ビー玉の様な玉をリーフ様から渡された。


「 ? 」


何だコレは……?

渡された物をボンヤリ見つめていると、リーフ様はそれを下に叩きつける。


「 おおお~!! 」


そして煙と共に出現した地下への階段を見て、リーフ様は嬉しそうな様子を見せたので、これは良い物だと判断した。


あとでもう一つ欲しいと言われたらあげよう。


そう考えた俺は、そのまま謎のビー玉もどきを手で持ったまままた様子を伺うことに決める。


「 ────では、始めっ!! 」


その後直ぐに男の教員が合図の言葉を上げ、全員が地面に出現した穴の中へと飛び込んでいった。

そしてリーフ様はというと────……。

                 ・・
「 レオン、これから30分ちゃんと一人でダンジョンの中で頑張るんだよ~!

じゃあ、後でね! 」


そう言い残し、周りの者達同様にさきほど出現した下にある穴へと飛び込んでいってしまった。


シ~ン…………。


静まり返ってしまったその場で、俺は静かに立ち尽くす。


” 30分 ”

” 一人で ”

” ダンジョンの中で頑張れ……。 ”


……ついて行っては駄目??


リーフ様に言われた言葉がぐるぐると周り、先程までの上機嫌は一気に不機嫌へと変わる。

ムスッ!!としながら、手にあるビー玉もどきを睨みつけていると、遠くの方から男の教員の声が聞こえた。


「 ……あのぅ~……それは下に投げつけて使うんですよ~……。

ダンジョンが出てくるぞ~……。 」


ボソボソ……。


遠くから虫が囁く様な声がしたので、その方向へ顔を向けると────その発生源の男教員が、ササッ!とリングの影に隠れる。

ムチっとしたお尻のみが見えるその周辺の影から、今度はひょこひょこと他の教員たちも顔を出してきた。


「 別に強制参加ではないんで~! 」

「 見学だけでも大歓迎ですぅ~。 」

「 座って待ってて頂いてもいいので~! 」


言い終わると同時に、先程の男の教員と同様にササッ!と顔を引っ込め、その後は目元だけ出してジ────っと見つめてくる。

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