686 / 1,649
第十九章
670 知り合い?
しおりを挟む
(リーフ)
「えっ……?」
間が抜けた声を発し、その場に崩れ落ちそうになったが────すかさずレオンが、俺の腰を掴んで引き寄せてくれたため、何とか倒れずにすむ。
しかし、依然レオンが支えてくれないと、自分の足で立つこともできない状態だ。
声だけでこんなになるなんて……う、嘘だろう?!
その恐ろしさにゾッと背筋を震わせながら、慌てて後ろのマリオンへと視線を向けた。
すると、マリオンは尻もちをついたまま震えてはいるが、意識はしっかりと保てている様でホッと胸を撫で下ろす。
とりあえず、早くこの硬直を治さなければ全滅だ!
なんとかしようと浅く呼吸を繰り返し、少しだけ動く指をバラバラと動かし始めたが、その謎の人物は気にする素振りを見せずにまた喋りだした。
『あぁ、なるほど……そういう事か……。” 人 ” はやはり変わらぬな。
あんなものまで使おうとするか。
……まぁ、どうでも良いことか。どうせ……。
それより、お前、一体何があった?
何故そんなに変わっている?
世界を ” 見て ” 尚その汚れなき心は……??』
謎の人物が不思議そうな様子で話掛けている相手、それは────レオンだ。
「…………えっ?」
何を言っているのか、正直さっぱり分からない。
しかし俺とマリオンの存在は完全にそいつの意識に入っていない事、そして同時にレオンに対して話しかけている事だけは何となく理解した。
『変わっている』???
『世界を見る』??
言葉を掻い摘んで思い浮かべ、ゴクリと唾を飲み込む。
もしかして……俺と出会う前のレオンを知っている?
もしくは、会った事がある人物なのだろうか?
ぐるぐると思考を巡らせながら、確認するためレオンを見上げると……完璧なる無表情に無感情、そして無言の三点セットを兼ね備えたレオンの美しい顔が見えた。
これは全く相手に興味がない時の、レオンの平常時の態度だ。
「…………。」
俺は再び目が点になり、直ぐにレオンの耳元に近づいてヒソヒソヒソ~!と話しかける。
「レオン、あのね……多分あの人、レオンの事知っている人だよ。
レオンは知ってる人?
それにね、もう少し、こう……目の前の人について思う事ないのかな~?
ほら、怖いとか怖いとか怖いとか……。」
そうそう、俺なんてさっきから怖くて怖くて3・2・1でおしっこ漏らしちゃいそうなのに、ここまで関心が持てないなんて逆に凄い!
フルフルと震えながらやっとの思いで口にした言葉だったが、レオンには伝わっているのかいないのか……。
不思議そうな顔をしながら、視線を一瞬だけ謎の人物へと向けた後、直ぐに俺に戻した。
「知りません。邪魔ですね。」
とりあえずレオンは、このやばい奴を知らない、そして邪魔だと思っている。
それは理解したが、『そうじゃない!』と、俺とマリオンが青ざめながら心の中で、ツッコミを入れた。
いや、でもでも~ちゃんと自分の意見を言えて偉い!
ここは褒めるべきか……。
う~ん……と思わず考え込んでしまうと、突然謎の人物がビクッ!!と大きく体を揺らす素振りを見せたため、直ぐに視線をそいつへ戻す。
『ありえない……。』
『こ、これは一体……??』
すると、何やらブツブツと呟きながら、後ろへ一歩、二歩と下がり動揺している様だったので、俺は首を傾げた。
何だ……??
一体何に驚いたんだろう??
こちらも混乱し警戒しながらその様子を眺めていたが、急にピタリと止まった謎の人物は、大きく息を吐いてから再度口を開いた。
『……そうか……。
何らかの強力な阻害系スキルでも手にしたのか……?
その判読不能のスキルの数々は────……????
……まぁ、いい。
いまはまだ ” 見る ” のに時間が足りないだけだろう。
────いずれ……分かる……。』
そう言った直後、そいつはドロドロと溶け始め、立っていた場所に黒い水たまりが出来始める。
「────っ!!?」
「────~……っ!!」
その光景に息を飲むと、後ろのマリオンからも同じく息を飲み込む音が聞こえた。
そのまま二人でそれを凝視していると、形を失いただの水たまりになってしまったソイツは……そのまま地面に溶ける様に消えてしまったのだ。
その瞬間、空はパッ!と元通りのカンカン照りの青空に戻り、俺とマリオンの体も自由に動けるようになったので、二人で同時に息を思い切り吐き出し、そのままゼイゼイと乱れる呼吸を整え始めた。
「マッ……マリオン大丈夫?」
「はっ……はっ……。
なん……とかっ……大丈夫で……す。」
息も絶え絶えな俺たちに対し、レオンは俺がグテっ~と力なく寄りかかっている姿にご満悦な様子で、頭に鼻をつけてワシャワシャと髪を乱してくる。
レオンは全然大丈夫。
まぁ、良かった良かった。
もう好きにして~と、そのままレオンは放って置いて、俺はマリオンに向かって言った。
「とにかく直ぐに先生達の所に戻って報告しよう。
さっきの奴、普通じゃなかった。
他の皆に何かあったら大変だ。」
マリオンは頷いてから直ぐに、ググ……と体に力を入れて立ち上がる。
俺もレオンにほとんど持ち上げられているため、少々浮き上がっている自分の足に力を入れた。
『もう終わり?』
そんな不満気な様子のレオンの手を引き、俺達は先生たちの元へと急いで飛んでいった。
「えっ……?」
間が抜けた声を発し、その場に崩れ落ちそうになったが────すかさずレオンが、俺の腰を掴んで引き寄せてくれたため、何とか倒れずにすむ。
しかし、依然レオンが支えてくれないと、自分の足で立つこともできない状態だ。
声だけでこんなになるなんて……う、嘘だろう?!
その恐ろしさにゾッと背筋を震わせながら、慌てて後ろのマリオンへと視線を向けた。
すると、マリオンは尻もちをついたまま震えてはいるが、意識はしっかりと保てている様でホッと胸を撫で下ろす。
とりあえず、早くこの硬直を治さなければ全滅だ!
なんとかしようと浅く呼吸を繰り返し、少しだけ動く指をバラバラと動かし始めたが、その謎の人物は気にする素振りを見せずにまた喋りだした。
『あぁ、なるほど……そういう事か……。” 人 ” はやはり変わらぬな。
あんなものまで使おうとするか。
……まぁ、どうでも良いことか。どうせ……。
それより、お前、一体何があった?
何故そんなに変わっている?
世界を ” 見て ” 尚その汚れなき心は……??』
謎の人物が不思議そうな様子で話掛けている相手、それは────レオンだ。
「…………えっ?」
何を言っているのか、正直さっぱり分からない。
しかし俺とマリオンの存在は完全にそいつの意識に入っていない事、そして同時にレオンに対して話しかけている事だけは何となく理解した。
『変わっている』???
『世界を見る』??
言葉を掻い摘んで思い浮かべ、ゴクリと唾を飲み込む。
もしかして……俺と出会う前のレオンを知っている?
もしくは、会った事がある人物なのだろうか?
ぐるぐると思考を巡らせながら、確認するためレオンを見上げると……完璧なる無表情に無感情、そして無言の三点セットを兼ね備えたレオンの美しい顔が見えた。
これは全く相手に興味がない時の、レオンの平常時の態度だ。
「…………。」
俺は再び目が点になり、直ぐにレオンの耳元に近づいてヒソヒソヒソ~!と話しかける。
「レオン、あのね……多分あの人、レオンの事知っている人だよ。
レオンは知ってる人?
それにね、もう少し、こう……目の前の人について思う事ないのかな~?
ほら、怖いとか怖いとか怖いとか……。」
そうそう、俺なんてさっきから怖くて怖くて3・2・1でおしっこ漏らしちゃいそうなのに、ここまで関心が持てないなんて逆に凄い!
フルフルと震えながらやっとの思いで口にした言葉だったが、レオンには伝わっているのかいないのか……。
不思議そうな顔をしながら、視線を一瞬だけ謎の人物へと向けた後、直ぐに俺に戻した。
「知りません。邪魔ですね。」
とりあえずレオンは、このやばい奴を知らない、そして邪魔だと思っている。
それは理解したが、『そうじゃない!』と、俺とマリオンが青ざめながら心の中で、ツッコミを入れた。
いや、でもでも~ちゃんと自分の意見を言えて偉い!
ここは褒めるべきか……。
う~ん……と思わず考え込んでしまうと、突然謎の人物がビクッ!!と大きく体を揺らす素振りを見せたため、直ぐに視線をそいつへ戻す。
『ありえない……。』
『こ、これは一体……??』
すると、何やらブツブツと呟きながら、後ろへ一歩、二歩と下がり動揺している様だったので、俺は首を傾げた。
何だ……??
一体何に驚いたんだろう??
こちらも混乱し警戒しながらその様子を眺めていたが、急にピタリと止まった謎の人物は、大きく息を吐いてから再度口を開いた。
『……そうか……。
何らかの強力な阻害系スキルでも手にしたのか……?
その判読不能のスキルの数々は────……????
……まぁ、いい。
いまはまだ ” 見る ” のに時間が足りないだけだろう。
────いずれ……分かる……。』
そう言った直後、そいつはドロドロと溶け始め、立っていた場所に黒い水たまりが出来始める。
「────っ!!?」
「────~……っ!!」
その光景に息を飲むと、後ろのマリオンからも同じく息を飲み込む音が聞こえた。
そのまま二人でそれを凝視していると、形を失いただの水たまりになってしまったソイツは……そのまま地面に溶ける様に消えてしまったのだ。
その瞬間、空はパッ!と元通りのカンカン照りの青空に戻り、俺とマリオンの体も自由に動けるようになったので、二人で同時に息を思い切り吐き出し、そのままゼイゼイと乱れる呼吸を整え始めた。
「マッ……マリオン大丈夫?」
「はっ……はっ……。
なん……とかっ……大丈夫で……す。」
息も絶え絶えな俺たちに対し、レオンは俺がグテっ~と力なく寄りかかっている姿にご満悦な様子で、頭に鼻をつけてワシャワシャと髪を乱してくる。
レオンは全然大丈夫。
まぁ、良かった良かった。
もう好きにして~と、そのままレオンは放って置いて、俺はマリオンに向かって言った。
「とにかく直ぐに先生達の所に戻って報告しよう。
さっきの奴、普通じゃなかった。
他の皆に何かあったら大変だ。」
マリオンは頷いてから直ぐに、ググ……と体に力を入れて立ち上がる。
俺もレオンにほとんど持ち上げられているため、少々浮き上がっている自分の足に力を入れた。
『もう終わり?』
そんな不満気な様子のレオンの手を引き、俺達は先生たちの元へと急いで飛んでいった。
85
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる