【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十九章

672 鑑定?それとも……

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(リーフ)

『ちょっとそこまでアイス買ってくるね!』

そんなコンビニへ走るくらいの軽~い感じで言うレオンに対し、俺はハァ~……と大きなため息をつく。

そしてその後、そのお高い鼻をキュムっと摘んでやった。


「あのね~……逃げた猫を捕まえるのとはわけが違うんだよ。
あと、あんまり物騒なことを言わないの!────めっ!」


レオンはあの某有名なご病気……いわゆる中2病を発症中であるため、こうした物騒な言葉をよく使う。

思春期の子が、ママさんやパパさんに対し『クソババァ』やら『ぶっ◯ろすぞ~!』やらを言ってしまう的なやつ。

ちょっと言いたいお年頃~♬ってやつだ。

反抗期は、最初の反抗時に出鼻をくじくべし。

それを知っている俺は鼻を摘みながら『カァァ~ッ!!』と呼吸を濁音にする威嚇音もつけておいたら、周りの人達が多分恐怖で固まったが、レオンが怖がる様子はない。


赤ちゃん返りしている今が最大のチャンスだ!────と、キツめに叱咤しているのに……。


結局聞いているのかいないのか、嬉しそうな笑みを浮かべながら「はい。」と言っただけだった。


『とりあえず何で怒られたのか分からないけど、構ってもらえて嬉しいな~!』


そんなレオンの心の声が聞こえた様な気がして……ガックリ肩を落とし、この甘えたちゃんの鼻から手を離してあげたのだが、直ぐにその手を追いかけて顔を擦り付けてくる。

行動で『ごめんなさ~い』して、甘えて許してもらおう作戦。英雄は手強い!


「ぐぬぬっ……!」


全面降伏している相手に、これ以上怒るに怒れず悔しさを顔に滲ませる俺。

そして俺の手にスリスリ~と顔をくっつけ、有耶無耶にしようとするレオンの攻防戦が開始!

そんな水面下の戦いを見たソフィアちゃんは、視線をやや下に下げ、「レオン様の存在を忘れてました……。」と言って頭を抱えてしまった。

「俺も……。」

「あたいも……。」

先生二人も頭を抱えて唸っていたが、アゼリアちゃんとマリオンは嫌悪丸出しの顔を見せチッ!と舌打ちをする。

最初はレオンを怖がっていた、ソフィアちゃんや先生達。

最近は全く怖がらなくなったので、謎の人物に対しても恐怖は薄れた様だ。


そうそう、レオンって怖いの最初だけなんだよ。
基本は空気と同列。なんたってめちゃくちゃ大人しいから!

……ゴネなければ。


全く~……と、反省皆無のレオンの頭を両手でワシャワシャとかき混ぜてあげると、うっとりとご満悦な表情を見せてきた。

「「…………。」」

そんな大人しいレオンを見て先生達は汗を一筋掻いていたが、とりあえずは冷静になった様だ。

クルト先生は、その場で生徒たちに向かって今後の予定を伝える。


「異常事態宣言を発動!今回の出来事の報告と調査は、これから俺達教員が行う!
本日の授業は午後も含めてなしにするから、皆は速やかに教室に帰って解散してくれ!
学院内に危険はないと思うが、絶対に油断せずに過ごす事!
頼んだぞ!」

「「「はい!」」」


俺達はそれに従い、その場に残る先生たちを背にゾロゾロと学院の方へ向かい歩きだした。


◇◇◇◇

「一体リーフ様達が出会ったのは何者だったのでしょう?
それに『見る』とは一体何の事なのでしょうか……。」

学院内の敷地に到着した頃、未だ緊張し不安そうにしているソフィアちゃんがそう話を切り出してきたので、俺はう~ん……と改めて考える。


「本当に何なんだろうね?……でも、今思い出したんだけど、そいつがレオンに向かって変な事言ってたんだ。
『強力な阻害系スキルでも手にしたのか』『スキルの数々は────』って……。
だから、もしかしてスキル<鑑定>を使ったのかもしれないね。
もしそうなら、教会の方で何か分からないかな?」


『阻害系スキル』そして『判読不能のスキルの数々』。

その言葉からして、多分レオンに対し<鑑定>もしくは、それに類似した何かをしたに違いない。

だが、俺のスキル<鑑定(改)>でも、レオンのスキルはほとんどが文字化けしてて読めないので、恐らくあの謎の人物も同様に読めなかったんじゃないだろうかと思う。

「…………。」

鑑定ができる人物……?聖職者??

僅かな手がかりではあるが、もしそうなら教会の方で何か分かるかもしれない。

そう考えて発言すると、ソフィアちゃんは顎に手を当てて考え込む様な仕草をする。


「確かに……。もし<鑑定>を使えるのだとすれば、聖職者系の資質を持っているのかもしれませんね。
それを使える者はそう多くありませんから、教会の方で何か分かるかもしれません。」


その発言が聞こえたらしいジェニファーちゃんとクラーク君が、ピクリと反応するのを目の端に捕らえつつ、俺は更に続けて言った。


「ただ普通の<鑑定>じゃないかもしれないんだ。体から光が発光してなかったからさ。
もしかしてそれに類似した何かかも。
それに、聖職者系資質の人特有の……何ていうか清らかな魔力オーラ?的なものも一切感じなかったな~。
マリオンはどうだった?」


恐怖で一杯一杯でそこまで意識が回らなかったが、<鑑定>を使ったとすれば体から白い光が発光するはずなので、やはり普通の<鑑定>ではない事は確かな様だ。


もしかして俺と同じスキルか、それ以上の……?


モヤモヤとその可能性を考えていると、マリオンは謎の人物との対面時の事を思い出したのか、ドッと汗を掻きながらそれに答えた。


「……私にもそんなオーラは感じませんでした。
どちらかといえばドロッとして体中に纏わりつくような……気味の悪いイメージが一瞬で浮かびましたね。
そもそもあれは『人』ではなかったと……そう思います。」
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