【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十章

689 討伐完了と適正について

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(リーフ)

<魔術騎士の資質>(シークレット固有スキル)

< 犬の鼻まね >

生物が持つ生元魔力を感知し、嗅ぎ分ける事ができる特殊系スキル。
擬態や阻害系スキルなどの影響は一切受けない。

(発現条件) 

スキル< 昆虫の予見者 >が発現している事
一定以上のスピード値と魔力値、全耐性値、直感力、運があること
一定以上のレベル差の敵に一定回数以上挑み、かつ生還を果たすこと



このスキルは、生物なら必ず持つ生元魔力を感知するもので、姿を消したり認識を阻害されたりしても、それを正確に嗅ぎ分け居場所を察知する事ができる。

まさに、阻害系スキルを持つ敵にとっては、無敵のスキル!!

────と言いたい所だが……これとスキル<昆虫の予見者>をフルマックス発動しても、レオンの気配はやっとちょろっと、たま~に感じる程度。


俺のこのスキルを上回る、阻害系スキルでも持っているのだろうか……?


涼しい顔で省エネモードになっているレオンを見上げ、やはり気配がぼんやりとしか分からない事に今更ながら、ううん?と不思議に思う。

こんなに主張が強い外見と実力を持っているのに、何故か俺より空気と同化してる。

その事に首を傾げながら、気配バレバレな<カメレオン・ヘビ>を次々と討伐していく。


「あ、もしかして、謎の『適正』でも持ってたりするのかな?」


レオンの謎スキルと、その感知できない理由を考えてみて、ピコンッ!とある可能性が浮かんできた。


元々生物は、大なり小なり必ず魔力を持っていて、理論上は必ず魔法が使える。

しかし、その使いたい魔法に必要な魔力量がなければ使えないのは言わずもがな。

じゃあ魔力量が沢山あれば魔法沢山使えるね!────にならないのは『適正』というものが大きく関係してくる。

わかり易く例えると、例えば中に液体がたっぷり詰まった貯水タンクがあるとしたら────……。


中の水の量が『魔力量』。

水の色が『生元魔力』。

そしてそのタンクの大きさが『元からもっている魔力のキャパシティ』だ。


ちなみに、そのタンクの大きさは、人それぞれ。

つまりそれぞれ決まった大きさのタンクを、一人につき一個持って生まれてくる。

そしてそのタンクの中の水を使いたい場合、もちろんその水を取り出す蛇口が必要になるわけだが……その蛇口こそが『適正』だ。


火の『適正』がある蛇口から出せば、火属性魔法。

水の『適正』がある蛇口からなら、水属性魔法。


そんな風に、その蛇口の特性からどの魔法属性が取り出せるかが、決まるというイメージである。


鳥さんの頭でもちゃんと理解できてる事が嬉しくて、思わずニンマリと笑みを浮かべた。

しかし、ここで疑問として浮かんでくるのは、ある一つの属性についてだ。


『直接その蛇口を通っていない?』

『またはまだ未知の蛇口的存在があるのでは?』


そう言われている属性があって、それが《無属性》。


一応《無属性》は、今のところ、生元魔力に関係しているのでは?と言われている。

例えていうなら、『水の色がこの色の系統だったら何でも通れますよ~という特殊な形の蛇口』があると言われれば、分かりやすいかもしれない。

ただし、それがあまりに多様すぎて、解析が難しいのだそうだ。


次にこの世界で最強!無敵!と言われている《呪い属性》。


これは単純に蛇口などは使わず、タンクに爆弾をぐるぐると設置し、そのまま爆発させるようなもの。

ドドンッ!!という凄まじい威力と共に、水は溢れ出し、周り全てを巻き込む大爆発が起きる。

ただしタンクを爆破するわけだから、その当事者である本人だって無事に済むはずもなく、その反動で下手したら命を落とす……というわけだ。


それが【代償】。


そして、爆発させる爆弾こそが《感情》で、それが強ければ強いほど爆発力は大きくなる。

そう考えると人の感情こそが、この世界で最も驚異的な力である事が思い知らされる。


しかし、呪いは主に人型種以外発生することがない上、強い想いがあっても中々発生する事はないと言われている。


その理由は主に二つ。

一つ目、複雑な感情は一定以上の知能がなければ発生しないため。

そして二つ目、複雑な感情をワンランクUPさせるには、特殊な精神構造と経験値をもっていないと駄目らしいから。


確かに呪いが発生した実例を見ると、幼少期の境遇や生まれながらに持っている気質などが大きく関わるらしく、人型種の中でも感情を呪いにまで進化させる事ができる人は僅か。

確かに、全員にその適正があれば、今頃人類は滅びているだろうと思われる。

仕事をしていれば、怒りや憎しみは友達。理不尽こそが絶対ルールだからね!


「くぅ~……!こんにゃろこんにゃろ~!。」


今まで経験してきた、数々の困ったさん達を思い浮かべて剣を振り続けると、いつの間にか<カメレオン・ヘビ>は討伐完了していた。

「おぉ……??」

養鶏場の辺り一面は、倒した<カメレオン・ヘビ>が沢山転がっている。

そして、ポカンと立ち尽くしている養鶏場の人たちと、その前には多分皆で頑張って倒したらしい一体の<カメレオン・ヘビ>の死骸があった。

更にそのすぐ横で半分喰われ掛けている鶏と、寄せ集まって震えるヒヨコの面々が……。


「コケ~!!!」


鳴き声をあげながら、必死に食べられまいと踏ん張る鶏を慌てて救出し、その<カメレオン・ヘビ>をガスッ!と殴って止めを刺した。

すると、その瞬間、ワッ!!と飛び上がって喜ぶ養鶏場の人たちに、驚いて肩が震える。


「ありがとう!ありがとう救世主さまぁ~!!」


ワンワン泣きながら、お礼を言ってくる皆の顔面は真っ赤だ。


これは、喜びに顔が赤く……じゃなく、ホントに真っ赤。

垂れ流しの、自分達の血で。

どうやら、倒した一匹の<カメレオン・ヘビ>との戦闘時に、全員結構なケガをした様だ。

血が小さな噴水みたいにピューピュー吹いている姿に、ギョッ!として素直に喜べない!


「あの……。ケ、ケガ……。」


狂った様に歓喜している皆に必死に訴えたが、誰も聞いてくれない。


「と、とりあえず、後で病院に行ってね……?」


それだけポツリと言い残し、大量の卵の小麦焼きと、助けたお礼か?ニワトリ達がその場で産んでくれた卵をお土産に、俺とレオンはその場を去った。
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