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第二十三章
783 裏の歴史
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発言を許されたので疑問を口にすると、一瞬の沈黙が降りたが……その後はエルビスがゆっくり説明し始めた。
「『呪災の卵』は、意図的に隠された【裏の歴史】の一つなんだよ。
基本的に伝えられるのは、戦闘系及び特殊な役目を持っている貴族の者達だけ。
……まぁ、仕事の性質上、勿論諜報ギルドや他の戦闘系ギルドの人間でも知っている人は多くいるけどね。
『呪災の卵』は魔素で覆われた……人が住めるとされている領域の外────【魔素領域】でたまに発見される真っ黒い卵だ。
今では【魔素領域】との境界線には、しっかりとした防壁が設置されて近寄る者達はいないけど、かつてはそこの調査に躍起になっていた時期があってね。
その時に稀に見つかっていたそうなんだけど、そのほとんどが腐っていて、気がつけば土に還っている事から長い間無害だと思われていたんだ。だけど────……。」
一旦不自然に言葉を切るエルビス。
俺は聞かされた『裏の歴史』や『魔素領域で稀に見つかる黒い卵』というモノについて考えながら、フッとエイミの方を振り向くと────エイミは青白い顔をしたまま小さく震えていた。
エイミは元々諜報ギルドに務めていたので、どうやらその存在を知っているらしい。
エルビスはそんなエイミの様子をチラッと確認した後、更に話を続けた。
「その黒い卵を何かに利用できないかと自国に持ち帰ったのが、当時世界一広大で豊かな土地を持ち『神様の国』とも言われていた────<ルセイル王国>だ。
昔の<ドロティア帝国>だよ。約2000年前のね。」
「────はっ???」
最大の侵略国家である<ドロティア帝国>
他国を『力』によって支配し、統治下に置くことこそ正義とする非常に好戦的な国で、我がアルバード王国と4カ国同盟国にとっては最大の脅威である国だが……かつては別の国だったという。
更にドロティア帝国の領土は、現在このアルバード王国と同じかそれよりも小さいにも関わらず、『世界一広大な土地』である事、そして季節が秋と冬しかないドロティア帝国が『豊かな土地』という事に強い違和感と────嫌な予感がした。
「まさか……その『呪災の卵』のせいだけで、ドロティア帝国は領土を失ったというのですか?
それでは……これからこの国は……。い、一体何がそれから生まれたのですか?」
震える声でそう尋ねると、エルビスは神妙な面持ちで「呪いだよ。」とポツリと呟いた。
『呪い』は、戦闘に携わる者なら誰しもが恐れる無敵の力。
俺が固まってエイミ同様小さく震えていると、エルビスは淡々と説明を始めた。
「正しくは『呪いを振りまく何か』……かな?
そいつのせいで<ルセイル王国>は領土の半分を失った。
正直アレが何かは分からないし、生物であるとも言い切れない。
ただ、<ルセイル王国>で孵化した時は、鳥の形をしていたそうだよ。
詳しい事はほとんど不明だけど、持ち帰る際にそれに触れた兵士達はあっという間に卵に同化してそのままその一部になってしまったらしいね。
だから運び出す際は、その同化している兵士の皮膚の部分に触れて運んだと言われているよ。」
背中を冷たい汗が伝い、俺とエイミは思わずゴクリと喉を鳴らす。
「そして持ち帰って直ぐ、『呪災の卵』は大地と同化し、一切動かす事ができぬまま直ぐに大きくなっていったそうだ。
状況から察するに、その卵は人の『感情』……しかも『負の感情』を餌に育つんじゃないかと、今では言われているね。
だからこそ『感情』という複雑な精神構造を持たないモンスターだらけの【魔素領域】では育つ事ができなかった。
その結果、腐ってしまっていたんだろうね。」
「では……森にあるその『呪災の卵』を動かす事は……もう……。」
震えながら聞いた質問に、エルビスは迷いなくコクリと頷いた。
「もうとっくに大地と同化しているだろう。
そいつは間もなく孵化し『呪い』で国を覆っていくよ。
魔素を瘴気へと進化させながら、大規模なモンスター行進を各地に起こして地を飲み込んでいく。
文献に残っている生き残った人たちの話だと、その化け物は人が恐怖を感じる程に力を増し、誰かが死ぬ度に大きくなっていったそうだ。
当時強さも数も世界一であった兵団も、そいつにとっては美味しい美味しいおやつ程度だったみたいだね。
未だかつて『呪い』に対抗できる者が現れた事などない。『人』がそれを倒す事は────100%無理なんだよ。」
キッパリと断言したエルビスに、その場の誰もが口を閉ざす。
しかし、その時俺の脳裏には呪いの唯一の対抗策の存在が過り、直ぐに口を開いた。
「そうだ!『浄化』があるではないですか!それを使ってその化け物をゆっくり『浄化』して────。」
「多分それは難しいんじゃないかと……。そいつに『浄化』はほとんど効かないのではと思われます。」
横にいたエイミが横から口を挟み、驚く俺に説明を始めた。
発言を許されたので疑問を口にすると、一瞬の沈黙が降りたが……その後はエルビスがゆっくり説明し始めた。
「『呪災の卵』は、意図的に隠された【裏の歴史】の一つなんだよ。
基本的に伝えられるのは、戦闘系及び特殊な役目を持っている貴族の者達だけ。
……まぁ、仕事の性質上、勿論諜報ギルドや他の戦闘系ギルドの人間でも知っている人は多くいるけどね。
『呪災の卵』は魔素で覆われた……人が住めるとされている領域の外────【魔素領域】でたまに発見される真っ黒い卵だ。
今では【魔素領域】との境界線には、しっかりとした防壁が設置されて近寄る者達はいないけど、かつてはそこの調査に躍起になっていた時期があってね。
その時に稀に見つかっていたそうなんだけど、そのほとんどが腐っていて、気がつけば土に還っている事から長い間無害だと思われていたんだ。だけど────……。」
一旦不自然に言葉を切るエルビス。
俺は聞かされた『裏の歴史』や『魔素領域で稀に見つかる黒い卵』というモノについて考えながら、フッとエイミの方を振り向くと────エイミは青白い顔をしたまま小さく震えていた。
エイミは元々諜報ギルドに務めていたので、どうやらその存在を知っているらしい。
エルビスはそんなエイミの様子をチラッと確認した後、更に話を続けた。
「その黒い卵を何かに利用できないかと自国に持ち帰ったのが、当時世界一広大で豊かな土地を持ち『神様の国』とも言われていた────<ルセイル王国>だ。
昔の<ドロティア帝国>だよ。約2000年前のね。」
「────はっ???」
最大の侵略国家である<ドロティア帝国>
他国を『力』によって支配し、統治下に置くことこそ正義とする非常に好戦的な国で、我がアルバード王国と4カ国同盟国にとっては最大の脅威である国だが……かつては別の国だったという。
更にドロティア帝国の領土は、現在このアルバード王国と同じかそれよりも小さいにも関わらず、『世界一広大な土地』である事、そして季節が秋と冬しかないドロティア帝国が『豊かな土地』という事に強い違和感と────嫌な予感がした。
「まさか……その『呪災の卵』のせいだけで、ドロティア帝国は領土を失ったというのですか?
それでは……これからこの国は……。い、一体何がそれから生まれたのですか?」
震える声でそう尋ねると、エルビスは神妙な面持ちで「呪いだよ。」とポツリと呟いた。
『呪い』は、戦闘に携わる者なら誰しもが恐れる無敵の力。
俺が固まってエイミ同様小さく震えていると、エルビスは淡々と説明を始めた。
「正しくは『呪いを振りまく何か』……かな?
そいつのせいで<ルセイル王国>は領土の半分を失った。
正直アレが何かは分からないし、生物であるとも言い切れない。
ただ、<ルセイル王国>で孵化した時は、鳥の形をしていたそうだよ。
詳しい事はほとんど不明だけど、持ち帰る際にそれに触れた兵士達はあっという間に卵に同化してそのままその一部になってしまったらしいね。
だから運び出す際は、その同化している兵士の皮膚の部分に触れて運んだと言われているよ。」
背中を冷たい汗が伝い、俺とエイミは思わずゴクリと喉を鳴らす。
「そして持ち帰って直ぐ、『呪災の卵』は大地と同化し、一切動かす事ができぬまま直ぐに大きくなっていったそうだ。
状況から察するに、その卵は人の『感情』……しかも『負の感情』を餌に育つんじゃないかと、今では言われているね。
だからこそ『感情』という複雑な精神構造を持たないモンスターだらけの【魔素領域】では育つ事ができなかった。
その結果、腐ってしまっていたんだろうね。」
「では……森にあるその『呪災の卵』を動かす事は……もう……。」
震えながら聞いた質問に、エルビスは迷いなくコクリと頷いた。
「もうとっくに大地と同化しているだろう。
そいつは間もなく孵化し『呪い』で国を覆っていくよ。
魔素を瘴気へと進化させながら、大規模なモンスター行進を各地に起こして地を飲み込んでいく。
文献に残っている生き残った人たちの話だと、その化け物は人が恐怖を感じる程に力を増し、誰かが死ぬ度に大きくなっていったそうだ。
当時強さも数も世界一であった兵団も、そいつにとっては美味しい美味しいおやつ程度だったみたいだね。
未だかつて『呪い』に対抗できる者が現れた事などない。『人』がそれを倒す事は────100%無理なんだよ。」
キッパリと断言したエルビスに、その場の誰もが口を閉ざす。
しかし、その時俺の脳裏には呪いの唯一の対抗策の存在が過り、直ぐに口を開いた。
「そうだ!『浄化』があるではないですか!それを使ってその化け物をゆっくり『浄化』して────。」
「多分それは難しいんじゃないかと……。そいつに『浄化』はほとんど効かないのではと思われます。」
横にいたエイミが横から口を挟み、驚く俺に説明を始めた。
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