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第二十三章
793 黒い影の正体
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(リーフ)
なんだかいつもよりもふわふわしておぼつかないレオンに対し、大丈夫??と心配しつつも、俺達は冒険者ギルドへ到着した。
建物の外には、かなり遠くからでも見える程、既に沢山の冒険者達が集まっていて、自分のパーティー内での装備やアイテム類のチェック、更にクラス内での情報交換のためか、アチラコチラで様々な話が飛び交っている様子が見られた。
「すごい数の冒険者だ。それに、ギルドの職員さんも……。」
冒険者ではないギルド職員さん達も忙しなく動き回っていて、ギルド内の倉庫からありったけの戦闘用魔道具やアイテム類をチェックしながら各クラスへ分配したり、伝電鳥と伝言シャボンを次々と空に飛ばしたりと、ずっと走り回っている。
そんな緊迫した状況の中、俺とレオンはとりあえずコソコソと端の方でその様子を見守っていたのだが、その後直ぐにギルドの扉が開いた。
中から出て来たのは、グリモア支部長<ヘンドリク>さん、そしてその後ろからはA級冒険者である<ザップル>さんと受付でお馴染みの<エイミ>さんだ。
3人の姿が見えた瞬間、一同は一斉に静まりかえり、俺も静かに様子を伺っていたのだが、フッとあることに気づいた。
────あれ?エイミさんが戦闘服を着ているぞ!
軽い皮製の胸当てに、両手には黒いグローブにゴツいナックル。
結構な攻撃特化型の戦闘員の格好にギョッとしたが、それよりも三人の表情があまりにも重く暗いものであったため、直ぐにそちらに意識が向く。
その顔は、事態があまり良くない事をよく物語っていた。
「冒険者諸君、これより緊急ギルド依頼を発動する。
先程森で発見されたのは『呪災の卵』と言って、過去ドロティア帝国の領土を半分も飲み込んだ、恐るべきモノであった。
そして、それは間もなく孵化しこの世界に生まれてくるだろう。」
『呪災の卵』?
『ドロティア帝国の半分を飲み込んだ』??
それが何かは分からないが、どう考えても穏やかではない話に俺も一同も驚き、ザワザワとし始める。
現在<ドロティア帝国>は、たった一人の女王が全ての実権を握っている王政国家だ。
非常に好戦的で、かつそれに見合った実力を兼ね備えている、まさに『世界の脅威』と言ってもいい国である。
『侵略する事に正義あり』
それこそが誇りであるとしている彼らは、隙あらば他国を侵略しようと様々な攻撃を日々仕掛けてくるが、今の所は4カ国同盟の強固な連携のお陰で、全ては失敗に終わっている。
だが、それを実行するドロティア帝国の戦闘員達の実力は非常に高く、ポテンシャルも高いため並大抵の実力では敵わない。
そんなドロティア帝国が、領土を半分も失う程の相手……?
更にそれを失う前は、今よりも遥かに人数は多かったはずなので、自ずとその生まれてくるモノへの脅威度が測れてしまう。
「あの……その卵からは一体何が生まれるのですか……?」
冒険者の一人が手を上げ質問すると、ヘンドリク様は目を一度閉じてから重い口を開いた。
「呪災の卵から生まれてきたのは『呪い』じゃ。」
『呪い』という言葉に、冒険者達の間には一瞬で痛いくらいの緊張が走る。
俺も思ってもない事に驚いたが、夢の中で見た正門辺りにいたモノの正体が見えた気がして……。
最強と言われている第二騎士団が、なぜなすすべもなくやられてしまったのか、その理由を理解した。
あの大きな黒いモヤモヤの化け物の正体は、『呪い』だったのか……。
頭を抱えている間にも、ヘンドリクさんの話は続く。
「以前ドロティア帝国で生まれた時は、鳥の形をしていたそうじゃが……おそらくそれはモンスターでも生物でもない。
『呪い』そのものであるため自我はなく、浄化は効かぬそうじゃ。
たとえどこに逃げようとも、それはどこまでも追いかけてきて、この地を全て喰らい尽くすまで止まらんじゃろう。」
告げられた内容は重く、全員が口を閉ざしたが、一人の冒険者が、あっ!と何かに気づいた様子で手を上げ発言した。
「倒す方法は、何かあるのでしょうか?
ドロティア帝国がまだ健在であるということは、それが存在しているという事ですよね?」
その質問が上がった瞬間、周囲を漂う張り詰めた空気はいくらか薄まった様な気がした。
確かにドロティア帝国は半分になってしまっても存在している事から、何らかの方法でその化け物を倒したはず。
問題は、その方法が何なのかだが……。
夢の中でみた光景を思い出し、俺は首を傾けた。
もしかして、その方法が間に合わなかったから、あんなにも地獄絵の様な状況に陥ってしまったのだろうか……?
うう~ん?と目を瞑って考えていると、エイミさんがそれに答える。
「たった一つだけその化け物を消し去る魔法が存在しています。
ですが、その魔法を発動するには時間が必要です。
ですので、皆さんにはその時間を稼いで頂きたい。
呪災の卵が孵化するのと同時に、大規模なモンスター行進が起きる事が予想されるので、魔法が発動するまでこのグリモアを守り抜いて欲しいんです。
防衛戦に掛かった費用は、全て国とギルドがお支払いしますので惜しみなく使って下さい。
そして必ずご自身の命を守りきって下さい。
この未曾有の危機を、皆で共に乗り切りましょう。」
なんだかいつもよりもふわふわしておぼつかないレオンに対し、大丈夫??と心配しつつも、俺達は冒険者ギルドへ到着した。
建物の外には、かなり遠くからでも見える程、既に沢山の冒険者達が集まっていて、自分のパーティー内での装備やアイテム類のチェック、更にクラス内での情報交換のためか、アチラコチラで様々な話が飛び交っている様子が見られた。
「すごい数の冒険者だ。それに、ギルドの職員さんも……。」
冒険者ではないギルド職員さん達も忙しなく動き回っていて、ギルド内の倉庫からありったけの戦闘用魔道具やアイテム類をチェックしながら各クラスへ分配したり、伝電鳥と伝言シャボンを次々と空に飛ばしたりと、ずっと走り回っている。
そんな緊迫した状況の中、俺とレオンはとりあえずコソコソと端の方でその様子を見守っていたのだが、その後直ぐにギルドの扉が開いた。
中から出て来たのは、グリモア支部長<ヘンドリク>さん、そしてその後ろからはA級冒険者である<ザップル>さんと受付でお馴染みの<エイミ>さんだ。
3人の姿が見えた瞬間、一同は一斉に静まりかえり、俺も静かに様子を伺っていたのだが、フッとあることに気づいた。
────あれ?エイミさんが戦闘服を着ているぞ!
軽い皮製の胸当てに、両手には黒いグローブにゴツいナックル。
結構な攻撃特化型の戦闘員の格好にギョッとしたが、それよりも三人の表情があまりにも重く暗いものであったため、直ぐにそちらに意識が向く。
その顔は、事態があまり良くない事をよく物語っていた。
「冒険者諸君、これより緊急ギルド依頼を発動する。
先程森で発見されたのは『呪災の卵』と言って、過去ドロティア帝国の領土を半分も飲み込んだ、恐るべきモノであった。
そして、それは間もなく孵化しこの世界に生まれてくるだろう。」
『呪災の卵』?
『ドロティア帝国の半分を飲み込んだ』??
それが何かは分からないが、どう考えても穏やかではない話に俺も一同も驚き、ザワザワとし始める。
現在<ドロティア帝国>は、たった一人の女王が全ての実権を握っている王政国家だ。
非常に好戦的で、かつそれに見合った実力を兼ね備えている、まさに『世界の脅威』と言ってもいい国である。
『侵略する事に正義あり』
それこそが誇りであるとしている彼らは、隙あらば他国を侵略しようと様々な攻撃を日々仕掛けてくるが、今の所は4カ国同盟の強固な連携のお陰で、全ては失敗に終わっている。
だが、それを実行するドロティア帝国の戦闘員達の実力は非常に高く、ポテンシャルも高いため並大抵の実力では敵わない。
そんなドロティア帝国が、領土を半分も失う程の相手……?
更にそれを失う前は、今よりも遥かに人数は多かったはずなので、自ずとその生まれてくるモノへの脅威度が測れてしまう。
「あの……その卵からは一体何が生まれるのですか……?」
冒険者の一人が手を上げ質問すると、ヘンドリク様は目を一度閉じてから重い口を開いた。
「呪災の卵から生まれてきたのは『呪い』じゃ。」
『呪い』という言葉に、冒険者達の間には一瞬で痛いくらいの緊張が走る。
俺も思ってもない事に驚いたが、夢の中で見た正門辺りにいたモノの正体が見えた気がして……。
最強と言われている第二騎士団が、なぜなすすべもなくやられてしまったのか、その理由を理解した。
あの大きな黒いモヤモヤの化け物の正体は、『呪い』だったのか……。
頭を抱えている間にも、ヘンドリクさんの話は続く。
「以前ドロティア帝国で生まれた時は、鳥の形をしていたそうじゃが……おそらくそれはモンスターでも生物でもない。
『呪い』そのものであるため自我はなく、浄化は効かぬそうじゃ。
たとえどこに逃げようとも、それはどこまでも追いかけてきて、この地を全て喰らい尽くすまで止まらんじゃろう。」
告げられた内容は重く、全員が口を閉ざしたが、一人の冒険者が、あっ!と何かに気づいた様子で手を上げ発言した。
「倒す方法は、何かあるのでしょうか?
ドロティア帝国がまだ健在であるということは、それが存在しているという事ですよね?」
その質問が上がった瞬間、周囲を漂う張り詰めた空気はいくらか薄まった様な気がした。
確かにドロティア帝国は半分になってしまっても存在している事から、何らかの方法でその化け物を倒したはず。
問題は、その方法が何なのかだが……。
夢の中でみた光景を思い出し、俺は首を傾けた。
もしかして、その方法が間に合わなかったから、あんなにも地獄絵の様な状況に陥ってしまったのだろうか……?
うう~ん?と目を瞑って考えていると、エイミさんがそれに答える。
「たった一つだけその化け物を消し去る魔法が存在しています。
ですが、その魔法を発動するには時間が必要です。
ですので、皆さんにはその時間を稼いで頂きたい。
呪災の卵が孵化するのと同時に、大規模なモンスター行進が起きる事が予想されるので、魔法が発動するまでこのグリモアを守り抜いて欲しいんです。
防衛戦に掛かった費用は、全て国とギルドがお支払いしますので惜しみなく使って下さい。
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