813 / 1,649
第二十三章
797 自分のやりたい事
しおりを挟む
(リーフ)
その直後、怒っているレオンに洗浄魔法を掛けられながら、俺はヒョイッと下を見下ろす。
すると最前線には、大盾を持った守備隊員達が門を中心にズラッと横に並び、その後ろには各々の得意武器を装備した隊員達がいつモンスターが襲ってきても良いようにと、ズラズラ~と並んで待機している姿が見えた。
その光景はまさに圧巻の光景!
か、か、カッコいい~!!
少年だった頃の心を思い出し、ドキドキンッ!と胸を踊らせると、そんな守備隊が並ぶ中央あたり、門の真ん前に見知った2つの背中を見つけ、俺はそこに向かって飛び降りた。
────ドシ────ン!!
その2人の人物の前に勢いよく着地すると、俺をまん丸お目々で見つめてくるのは、守備隊隊長の<ケン>さん。
そしてもう一人、同じく目をまん丸にして俺を見つめてくるのは、なんと【リンゴの隠れ屋】のパン屋店長、かつリーンちゃんのお父さんの<マルク>さんであった。
「ケンさん、マルクさん、こんにちは!
ケンさんがここにいるのは予想していたけど、マルクさんは何でここにいるんだい?」
パン屋さんの店長が守備隊に……というミスマッチ感が凄い状況に対して質問してみると、マルクさんはいつも通りの穏やかな笑みを浮かべてそれに答える。
「リーフ君こんにちは。それはね、実は私はパン屋を開く前は守備隊に勤めていたからだよ。だから今回は特別ゲストってやつかな?」
「えっ!!」
なんとあの穏やかで優しい100%のマルクさん、以前は荒ぶるモンスター達や非常に凶暴な荒くれ者達を相手にする守備隊であったという!
びっくりおったまげ~しながらも、これであの本来の未来でケンさんと共に戦っていた理由が分かった。
人は見かけによらないね~。
しみじみ~とそんな事を思いながら頷く俺と、穏やかに微笑むマルクさんを交互に見てから、ケンさんはタバコに火をつけ、ふぃぃ~……と煙を下に吐き出した。
「ほほ~ぅ?屠ったモンスターは数知れず。悪人相手に我先にと飛び出しぶっ殺す《特攻の死神》がゲスト……ねぇ?
いや~、そんなヤンチャ100%のお前が結婚してガキが生まれて?んっでもってパン屋を始めた時は、幻影魔法の類か何かかと思ったぜ~。今でも信じられねぇわ。」
ぷぷぷ~っ!
吹き出した後に笑い続けるケンさんに、マルクさんは笑顔のまま顔を向け、チィィッ!!と舌打ちする。
えっ?マルクさん、今舌打ちした???
あまりにも似合わないその行為にポカンとしていると、それを真正面から受けたケンさんは、ピタリと笑うのを止めてスィ~と不自然に視線を逸した。
すると、マルクさんは再び仏の様な穏やかな笑顔のまま再度俺の方へ顔を向ける。
「私はね、戦う事以外知らなかった……いや、知ろうとしなかったんだ。
生まれた時から孤児院育ちだったし、資質も戦闘に特化したものだったからね。
才能に流され、自分の価値はそこにしかないんだと思っていた。
でもカルナに……妻に出会ってからそれが変わったんだよ。」
突然話しだしたマルクさんは、そう言って酷く幸せそうに微笑んだ。
マルクさんの奥さんは、リーンちゃんが小さい頃に亡くなっているそうなので、きっと奥さんとの思い出を思い出しているのだろうと思われる。
「彼女は戦闘系にあまり適さない資質でも、必死に努力して傭兵になった凄い人だった。
『何でそんなに頑張るのか?』って聞いたら『人を助けたいと思ったから』って言ってたよ。
私はその時、凄く恥ずかしくなったんだ。
ただ才能があるからと、目的もなく戦う自分を……何も考えずに戦う自分をね。
目的をもってそこに向かって努力する、考える……それができる彼女がカッコいいと思った。
信念を曲げずに進んでいく彼女は、私の憧れだったんだよ。」
幸せそうに微笑むマルクさん。
しかし────不意に眉を下げ、困った様な表情を見せた。
「恥ずかしながら、そんな彼女に心底惚れてしまって、何度も告白してやっと結婚して貰えたんだけど……彼女は口癖の様にこう言っていたんだ。
『私は戦い続けたい。それが夢だから。』
『目の前に助けを求める人がいたらきっと何も考えず飛び出しちゃう。だからごめんね。』────って。
そして、その言葉通り彼女はリーンを生んだ後、子供を助けてあっさりと死んでしまったよ。
凄く悲しかったけど、彼女らしい最後だったって今は思っている。
だから私はそんな彼女を見習って、自分のしたい事を見つけてみたいと思ったんだ。
パンつくりはその一環でやってみたんだけどね、彼女が『おいしい!』って大絶賛してくるもんだから、それがすっかり私のやりたい事になってしまったよ。」
今度は照れながらカラッ!と笑うマルクさんと、そんなマルクさんを茶化すように、ケンさんはニヤニヤ笑う。
そんなケンさんを軽く小突いたマルクさんは、続けて直ぐに真剣な表情になり、自身の手を見下ろした。
その直後、怒っているレオンに洗浄魔法を掛けられながら、俺はヒョイッと下を見下ろす。
すると最前線には、大盾を持った守備隊員達が門を中心にズラッと横に並び、その後ろには各々の得意武器を装備した隊員達がいつモンスターが襲ってきても良いようにと、ズラズラ~と並んで待機している姿が見えた。
その光景はまさに圧巻の光景!
か、か、カッコいい~!!
少年だった頃の心を思い出し、ドキドキンッ!と胸を踊らせると、そんな守備隊が並ぶ中央あたり、門の真ん前に見知った2つの背中を見つけ、俺はそこに向かって飛び降りた。
────ドシ────ン!!
その2人の人物の前に勢いよく着地すると、俺をまん丸お目々で見つめてくるのは、守備隊隊長の<ケン>さん。
そしてもう一人、同じく目をまん丸にして俺を見つめてくるのは、なんと【リンゴの隠れ屋】のパン屋店長、かつリーンちゃんのお父さんの<マルク>さんであった。
「ケンさん、マルクさん、こんにちは!
ケンさんがここにいるのは予想していたけど、マルクさんは何でここにいるんだい?」
パン屋さんの店長が守備隊に……というミスマッチ感が凄い状況に対して質問してみると、マルクさんはいつも通りの穏やかな笑みを浮かべてそれに答える。
「リーフ君こんにちは。それはね、実は私はパン屋を開く前は守備隊に勤めていたからだよ。だから今回は特別ゲストってやつかな?」
「えっ!!」
なんとあの穏やかで優しい100%のマルクさん、以前は荒ぶるモンスター達や非常に凶暴な荒くれ者達を相手にする守備隊であったという!
びっくりおったまげ~しながらも、これであの本来の未来でケンさんと共に戦っていた理由が分かった。
人は見かけによらないね~。
しみじみ~とそんな事を思いながら頷く俺と、穏やかに微笑むマルクさんを交互に見てから、ケンさんはタバコに火をつけ、ふぃぃ~……と煙を下に吐き出した。
「ほほ~ぅ?屠ったモンスターは数知れず。悪人相手に我先にと飛び出しぶっ殺す《特攻の死神》がゲスト……ねぇ?
いや~、そんなヤンチャ100%のお前が結婚してガキが生まれて?んっでもってパン屋を始めた時は、幻影魔法の類か何かかと思ったぜ~。今でも信じられねぇわ。」
ぷぷぷ~っ!
吹き出した後に笑い続けるケンさんに、マルクさんは笑顔のまま顔を向け、チィィッ!!と舌打ちする。
えっ?マルクさん、今舌打ちした???
あまりにも似合わないその行為にポカンとしていると、それを真正面から受けたケンさんは、ピタリと笑うのを止めてスィ~と不自然に視線を逸した。
すると、マルクさんは再び仏の様な穏やかな笑顔のまま再度俺の方へ顔を向ける。
「私はね、戦う事以外知らなかった……いや、知ろうとしなかったんだ。
生まれた時から孤児院育ちだったし、資質も戦闘に特化したものだったからね。
才能に流され、自分の価値はそこにしかないんだと思っていた。
でもカルナに……妻に出会ってからそれが変わったんだよ。」
突然話しだしたマルクさんは、そう言って酷く幸せそうに微笑んだ。
マルクさんの奥さんは、リーンちゃんが小さい頃に亡くなっているそうなので、きっと奥さんとの思い出を思い出しているのだろうと思われる。
「彼女は戦闘系にあまり適さない資質でも、必死に努力して傭兵になった凄い人だった。
『何でそんなに頑張るのか?』って聞いたら『人を助けたいと思ったから』って言ってたよ。
私はその時、凄く恥ずかしくなったんだ。
ただ才能があるからと、目的もなく戦う自分を……何も考えずに戦う自分をね。
目的をもってそこに向かって努力する、考える……それができる彼女がカッコいいと思った。
信念を曲げずに進んでいく彼女は、私の憧れだったんだよ。」
幸せそうに微笑むマルクさん。
しかし────不意に眉を下げ、困った様な表情を見せた。
「恥ずかしながら、そんな彼女に心底惚れてしまって、何度も告白してやっと結婚して貰えたんだけど……彼女は口癖の様にこう言っていたんだ。
『私は戦い続けたい。それが夢だから。』
『目の前に助けを求める人がいたらきっと何も考えず飛び出しちゃう。だからごめんね。』────って。
そして、その言葉通り彼女はリーンを生んだ後、子供を助けてあっさりと死んでしまったよ。
凄く悲しかったけど、彼女らしい最後だったって今は思っている。
だから私はそんな彼女を見習って、自分のしたい事を見つけてみたいと思ったんだ。
パンつくりはその一環でやってみたんだけどね、彼女が『おいしい!』って大絶賛してくるもんだから、それがすっかり私のやりたい事になってしまったよ。」
今度は照れながらカラッ!と笑うマルクさんと、そんなマルクさんを茶化すように、ケンさんはニヤニヤ笑う。
そんなケンさんを軽く小突いたマルクさんは、続けて直ぐに真剣な表情になり、自身の手を見下ろした。
134
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる