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第二十四章
814 黒く……黒く……
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(レイド)
「……確かに、かつてのドロティア帝国はその化け物を消し去る事に成功した。でも……その方法が問題だったの。」
「方法??それって一体どんな方法だったんだ?」
青白い表情のリリアは、震えだした手をギュッと握りしめ、ポツリポツリと小さな声で話し出す。
「【聖令浄化】という特殊な魔法を使ったらしいわ。
これは禁呪とされていて、簡単に言えば呪い属性に聖属性魔力をそのままぶつけて呪いを消し去る大魔法ね。
それだけ聞くと簡単に聞こえるかもしれないけど、それを使うには沢山の『代償』が必要なの。
ドロティア帝国は、大勢の国民の命をその『代償』にして、その大魔法を使った。」
「そ……そんな……。」
「嘘っすよね……?」
モルトとニールの唖然とした声が耳に入り、俺も同様の声が漏れそうになったが、口元を覆いそれを隠す。
リリアはゆっくりと俺達を見回し、更に絶望的な言葉を口にした。
「犠牲は恐らくこの街だけでは足りないはず……。ここを中心とした沢山の街も同じ様に犠牲になるでしょう。
ただし、優秀な聖属性魔力を持つ者を『代償』にすれば、その他大勢の命は助かるかもしれない……。
でも……どちらにしても犠牲はどうしても必要になる。」
『優秀な聖属性魔力を持つ者』
その言葉で浮かんだ人物は、その場の全員が同じだったらしく、全員サァァァ……と青ざめていった。
「……要は、その呪いの化け物を倒すためには、大勢の人間の命かソフィアの命か、どっちかは必ず犠牲にしないと駄目だって事かよ?そんな事……。」
呆然としながら俺が言った言葉に対し、リリアは静かに頷いた。
どうしようもない現実が俺達に重くのしかかり、全員が俯いているとニールがボソボソと呟く。
「……だから高い身分の奴らは皆ここから逃げたんすね。自分達だけは『代償』にならない様に。────やっぱりあいつら最低っす。」
悔しそうに呟かれる言葉は全員共通の想いで、俺も心の奥底から怒りの感情が浮かんできたが必死に抑えた。
人族の治めるこの国、<アルバード王国>は、完全なる実力主義の獣人の国<ジェンス王国>とは違い、身分に重きを置いている国だ。
そのあまりの違いに、最初は戸惑いながらも次第にその状況に慣れてきたが、見ていていい気分はしないものがほとんどだった。
正直身分というものより強さに重きを置く俺達獣人からすれば、どうにも違和感だらけで仕方がない。
勿論、『では、全ての獣人に悪い奴がいないのか?』と問われれば答えは完璧に『NO』。
だが、実力が高い奴らは総じて好戦的で、戦場ならばまず真っ先に突っ込んでいく奴らばかり。
そのため、そこで強き者達と弱き者達で絶妙なバランスを保っているのだ。
普段は偉ぶってどうしようもないヤツでも、何か有事の際はいち早く駆け付けて命を脅かす恐怖と戦ってくれる。
ならば、普段はどんなに傍若無人な行為をしてきても我慢しよう。
それで上手くバランスが取れジェンス王国は見事平和を実現している。
勿論限度はあるが……。
納得できない気持ちのまま、俺は後頭部を掻きむしる。
別に身分に重きを置くのは良い。だが、これはない。
獣人の価値観からして、これはどうしても受け入れられない事であった。
普段偉ぶっていても暴力を振るわれても非常にムカつくが、それはそれ。
人族と違い、実力重視の獣人にとって、その状況はさして深刻な状況というわけではない。
しかし、ならばこうした有事の際は率先して動くべき。
それができないなら、下は従う必要はない、そう考える。
ムカムカ~と次から次へと怒りが込み上げてきたが、両頬を叩いて気持ちを切り替えた。
「そんな逃げ出したニワトリ野郎共の事を考えても仕方ねぇよ。俺達は俺達で今できることを考えようぜ。
リリア、本当に他に方法はないのか?
俺は、ソフィアの命も他の奴らの命も犠牲になんてしたくねぇ。」
「……無理よ。例えこの街の人達だけ助けたとしても、その分他の誰かが必ず犠牲になる。
選択を迷っている間に、どんどん犠牲者は増えていくでしょうね。
迅速に動かなければ、この国に未来はないわ。」
いつもは冷静沈着、感情は表に決して出さないリリアが先程から青ざめて震えたまま。
その様子からも本当にどうしようもないのだと悟り、俺はクソっ!と呟き地面を睨みつけた。
『自分と他の大勢の人間が犠牲になるか、大事な友達が一人犠牲になるか』
どちらかを必ず選ばなければならない。
自分の力だけではどうすることもできない事への悔しさ、悲しさ、そしてこの出来事を起こした者達への怒りと憎しみで自分の心の中はぐちゃぐちゃになった。
こんな事────絶対に絶対に許せない。こんな事をした奴らをこの手で────…………っ!
「……リーフはまだ諦めるって言ってない。」
ズズズ……と心の中が真っ黒に染まる前に、隣に立っているメルがボソッと呟いた。
「……確かに、かつてのドロティア帝国はその化け物を消し去る事に成功した。でも……その方法が問題だったの。」
「方法??それって一体どんな方法だったんだ?」
青白い表情のリリアは、震えだした手をギュッと握りしめ、ポツリポツリと小さな声で話し出す。
「【聖令浄化】という特殊な魔法を使ったらしいわ。
これは禁呪とされていて、簡単に言えば呪い属性に聖属性魔力をそのままぶつけて呪いを消し去る大魔法ね。
それだけ聞くと簡単に聞こえるかもしれないけど、それを使うには沢山の『代償』が必要なの。
ドロティア帝国は、大勢の国民の命をその『代償』にして、その大魔法を使った。」
「そ……そんな……。」
「嘘っすよね……?」
モルトとニールの唖然とした声が耳に入り、俺も同様の声が漏れそうになったが、口元を覆いそれを隠す。
リリアはゆっくりと俺達を見回し、更に絶望的な言葉を口にした。
「犠牲は恐らくこの街だけでは足りないはず……。ここを中心とした沢山の街も同じ様に犠牲になるでしょう。
ただし、優秀な聖属性魔力を持つ者を『代償』にすれば、その他大勢の命は助かるかもしれない……。
でも……どちらにしても犠牲はどうしても必要になる。」
『優秀な聖属性魔力を持つ者』
その言葉で浮かんだ人物は、その場の全員が同じだったらしく、全員サァァァ……と青ざめていった。
「……要は、その呪いの化け物を倒すためには、大勢の人間の命かソフィアの命か、どっちかは必ず犠牲にしないと駄目だって事かよ?そんな事……。」
呆然としながら俺が言った言葉に対し、リリアは静かに頷いた。
どうしようもない現実が俺達に重くのしかかり、全員が俯いているとニールがボソボソと呟く。
「……だから高い身分の奴らは皆ここから逃げたんすね。自分達だけは『代償』にならない様に。────やっぱりあいつら最低っす。」
悔しそうに呟かれる言葉は全員共通の想いで、俺も心の奥底から怒りの感情が浮かんできたが必死に抑えた。
人族の治めるこの国、<アルバード王国>は、完全なる実力主義の獣人の国<ジェンス王国>とは違い、身分に重きを置いている国だ。
そのあまりの違いに、最初は戸惑いながらも次第にその状況に慣れてきたが、見ていていい気分はしないものがほとんどだった。
正直身分というものより強さに重きを置く俺達獣人からすれば、どうにも違和感だらけで仕方がない。
勿論、『では、全ての獣人に悪い奴がいないのか?』と問われれば答えは完璧に『NO』。
だが、実力が高い奴らは総じて好戦的で、戦場ならばまず真っ先に突っ込んでいく奴らばかり。
そのため、そこで強き者達と弱き者達で絶妙なバランスを保っているのだ。
普段は偉ぶってどうしようもないヤツでも、何か有事の際はいち早く駆け付けて命を脅かす恐怖と戦ってくれる。
ならば、普段はどんなに傍若無人な行為をしてきても我慢しよう。
それで上手くバランスが取れジェンス王国は見事平和を実現している。
勿論限度はあるが……。
納得できない気持ちのまま、俺は後頭部を掻きむしる。
別に身分に重きを置くのは良い。だが、これはない。
獣人の価値観からして、これはどうしても受け入れられない事であった。
普段偉ぶっていても暴力を振るわれても非常にムカつくが、それはそれ。
人族と違い、実力重視の獣人にとって、その状況はさして深刻な状況というわけではない。
しかし、ならばこうした有事の際は率先して動くべき。
それができないなら、下は従う必要はない、そう考える。
ムカムカ~と次から次へと怒りが込み上げてきたが、両頬を叩いて気持ちを切り替えた。
「そんな逃げ出したニワトリ野郎共の事を考えても仕方ねぇよ。俺達は俺達で今できることを考えようぜ。
リリア、本当に他に方法はないのか?
俺は、ソフィアの命も他の奴らの命も犠牲になんてしたくねぇ。」
「……無理よ。例えこの街の人達だけ助けたとしても、その分他の誰かが必ず犠牲になる。
選択を迷っている間に、どんどん犠牲者は増えていくでしょうね。
迅速に動かなければ、この国に未来はないわ。」
いつもは冷静沈着、感情は表に決して出さないリリアが先程から青ざめて震えたまま。
その様子からも本当にどうしようもないのだと悟り、俺はクソっ!と呟き地面を睨みつけた。
『自分と他の大勢の人間が犠牲になるか、大事な友達が一人犠牲になるか』
どちらかを必ず選ばなければならない。
自分の力だけではどうすることもできない事への悔しさ、悲しさ、そしてこの出来事を起こした者達への怒りと憎しみで自分の心の中はぐちゃぐちゃになった。
こんな事────絶対に絶対に許せない。こんな事をした奴らをこの手で────…………っ!
「……リーフはまだ諦めるって言ってない。」
ズズズ……と心の中が真っ黒に染まる前に、隣に立っているメルがボソッと呟いた。
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