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第二十四章
817 蝶だ……
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(レイド)
「お前たち生徒の事は我々教師達が必ず守り抜く。だから事が済むまで皆はここで待機していてくれ。俺達はこれから北門を総力を持って防衛する。────では頼んだぞ! 」
淡々と説明を終えると、クルト先生は急いで外へと飛び出していった。
すると今まで何とか平静を保っていた生徒たちだったが、モンスター行進と聞きだんだんと気持ちが抑えられなくなってきたのか、先程よりも大きな声で騒ぎ出す。
確かにモンスター行進など一度起きれば小さい街などは一瞬で全滅する事もある災害級の大事件……。
怖がる気持ちはよく分かる。
「……クソッ。」
思わずチッと舌打ちすると「……えっ?何……?あの数……?」という呆然とした声が窓の近くにいた生徒から上がった。
何だ?
そう思ったのは俺だけではなかった様で、窓の近くにいる生徒たちは次々に窓の外を見て、そこに広がる景色に呆然とする。
「伝電鳥……?」
「あんなに沢山……?伝言シャボンも……。」
見たこともないくらい沢山の伝電鳥と伝言シャボンが空を飛び回っていて、全員また一気に騒ぎ出す中、窓の近くにいた生徒達が窓を一斉に開ける。
すると中に大量に伝言シャボンが飛んできて、パチンッパチンと空中で弾けた。
《お母さんよ、こっちは街の教会に避難を────。》
《今守備隊の指示に従って避難を────。》
《こっちの街も避難を完了したから心配しないで────。》
などなど、それぞれ家族や知り合いからの言葉が弾けていく伝言シャボンから伝えられ、パニックになりそうだった生徒たちが少し落ち着いてくれたようだ。
その事にホッと胸をなでおろしたのも束の間、冷静さを取り戻した事で周りを見渡す余裕ができた生徒たちは、この場に避難している者達が全員平民や低位貴族である事に気づく。
「……おい、何で非難しているのが平民ばかりなんだよ?」
「貴族達は、自分たちだけ逃げたんだ。」
「……くそっ!俺達平民は見殺しかよ。普段あれだけ偉ぶってるくせに!」
「……酷い。こういう時こそ先頭に立つのが貴族の役目なんじゃないの?」
ガヤガヤと別の意味で騒ぎ出してしまった生徒たちを見てサイモンが降参のポーズをしながらため息をついた。
「まぁ、そりゃ~不満が出るのは仕方ないよねぇ?ボク助かったらこの事を報道部の方で大々的に書くよ。きっと今年一番の売上になるだろうなぁ~。」
「……サイモン、君は本当に逞しいな。じゃあもし助かってその記事を書く時には我が家の新発売商品<薔薇のバターサンドクッキー>も載せてくれないか?物凄い宣伝量になるはずだ。」
「あ、じゃあ俺の家の新発売<卵バタースフレサンド>も一緒に載せて欲しいっす。
どこの宣伝使おうか迷っていたから、ちょうどよかったっす。」
こんな時にも性根魂を見せてくるサイモンとモルト、ニールを見て緊張していた体から力が抜け「それ美味そうだな。」と軽口を叩いた、その時────突然ドロドロ……とした気持ち悪い空気が外から漂ってきて、ピタリと動きを止めた。
────キ……キモチワル……っ。
思わず口元を覆うと、隣にいるメルも他の獣人達も同様に気分が悪そうな様子を見せる。
そして続いて魔力感知が鋭いエルフ族も……。
人族の生徒達が不思議そうな顔をしながら、ある一人の生徒がフッと窓の外に視線を向けると、突然「きゃあぁぁぁ────!!!」と大きな悲鳴を上げた。
それにハッ!として全員が再度窓の外に視線を向けると、なんと空が墨汁を垂らした様に黒くなっていくではないか!
「なっ……何なんすか……?」
「前と同じ様に空が……黒く……。」
ニール、モルトが続けてそう言った後、俺は直ぐに外に飛び出し、黒く染まっていく空を呆然と見上げた。
俺に続くように他のメンバーが外に出てきて同様に空を見上げると、更にヨロヨロと他の生徒たちもそれに続いて出てくる。
黒いモヤにすっかり空が覆われてしまった頃、今度はそのモヤの塊が正門の方の上空に浮かんでいる事に気づき、全員が一斉にそれを見つめた。
するもそのモヤモヤしたものは次第に形を形成していき────あっと言う間に見覚えのある形へと変わっていくのが目に映る。
「……蝶。」
メルがボソッと呟くのと同時に周りからは大きな悲鳴が上がり、不安と恐怖でパニックに。
絶えず流れてくる気持ち悪い気配はグンッと大きくなり、俺はお辞儀をする様に体を前に倒した。
キモチワルイ。
コワイ。
これはヤバいヤツ。
情けなくも冷や汗と悪寒、震えは止まらず、ブルブルと体と尻尾を震わせながら必死に恐怖する心と戦うが、獣人本来の感覚が邪魔して上手くできない。
早く逃げろ。
こんな化け物、どうすることもできないだろう?
戦おうとする心に次々と囁かれる声により、とうとう尻尾はくるんっと丸まり降参を告げてしまう。
生まれて初めて出会うその存在感に完全に飲まれそうになった、その時、一人の生徒が大声で叫んだ。
「……呪い……呪いだわ!あの黒い蝶も周りの黒いモヤも全部っ……!!
あんなモノ、どうしようもできないじゃない!!」
恐らくは解析系の資質の生徒だろう。
その正体をズバリ当て、その後は大きな悲鳴を上げると……恐怖は物凄い早さで皆に伝染していった。
「お前たち生徒の事は我々教師達が必ず守り抜く。だから事が済むまで皆はここで待機していてくれ。俺達はこれから北門を総力を持って防衛する。────では頼んだぞ! 」
淡々と説明を終えると、クルト先生は急いで外へと飛び出していった。
すると今まで何とか平静を保っていた生徒たちだったが、モンスター行進と聞きだんだんと気持ちが抑えられなくなってきたのか、先程よりも大きな声で騒ぎ出す。
確かにモンスター行進など一度起きれば小さい街などは一瞬で全滅する事もある災害級の大事件……。
怖がる気持ちはよく分かる。
「……クソッ。」
思わずチッと舌打ちすると「……えっ?何……?あの数……?」という呆然とした声が窓の近くにいた生徒から上がった。
何だ?
そう思ったのは俺だけではなかった様で、窓の近くにいる生徒たちは次々に窓の外を見て、そこに広がる景色に呆然とする。
「伝電鳥……?」
「あんなに沢山……?伝言シャボンも……。」
見たこともないくらい沢山の伝電鳥と伝言シャボンが空を飛び回っていて、全員また一気に騒ぎ出す中、窓の近くにいた生徒達が窓を一斉に開ける。
すると中に大量に伝言シャボンが飛んできて、パチンッパチンと空中で弾けた。
《お母さんよ、こっちは街の教会に避難を────。》
《今守備隊の指示に従って避難を────。》
《こっちの街も避難を完了したから心配しないで────。》
などなど、それぞれ家族や知り合いからの言葉が弾けていく伝言シャボンから伝えられ、パニックになりそうだった生徒たちが少し落ち着いてくれたようだ。
その事にホッと胸をなでおろしたのも束の間、冷静さを取り戻した事で周りを見渡す余裕ができた生徒たちは、この場に避難している者達が全員平民や低位貴族である事に気づく。
「……おい、何で非難しているのが平民ばかりなんだよ?」
「貴族達は、自分たちだけ逃げたんだ。」
「……くそっ!俺達平民は見殺しかよ。普段あれだけ偉ぶってるくせに!」
「……酷い。こういう時こそ先頭に立つのが貴族の役目なんじゃないの?」
ガヤガヤと別の意味で騒ぎ出してしまった生徒たちを見てサイモンが降参のポーズをしながらため息をついた。
「まぁ、そりゃ~不満が出るのは仕方ないよねぇ?ボク助かったらこの事を報道部の方で大々的に書くよ。きっと今年一番の売上になるだろうなぁ~。」
「……サイモン、君は本当に逞しいな。じゃあもし助かってその記事を書く時には我が家の新発売商品<薔薇のバターサンドクッキー>も載せてくれないか?物凄い宣伝量になるはずだ。」
「あ、じゃあ俺の家の新発売<卵バタースフレサンド>も一緒に載せて欲しいっす。
どこの宣伝使おうか迷っていたから、ちょうどよかったっす。」
こんな時にも性根魂を見せてくるサイモンとモルト、ニールを見て緊張していた体から力が抜け「それ美味そうだな。」と軽口を叩いた、その時────突然ドロドロ……とした気持ち悪い空気が外から漂ってきて、ピタリと動きを止めた。
────キ……キモチワル……っ。
思わず口元を覆うと、隣にいるメルも他の獣人達も同様に気分が悪そうな様子を見せる。
そして続いて魔力感知が鋭いエルフ族も……。
人族の生徒達が不思議そうな顔をしながら、ある一人の生徒がフッと窓の外に視線を向けると、突然「きゃあぁぁぁ────!!!」と大きな悲鳴を上げた。
それにハッ!として全員が再度窓の外に視線を向けると、なんと空が墨汁を垂らした様に黒くなっていくではないか!
「なっ……何なんすか……?」
「前と同じ様に空が……黒く……。」
ニール、モルトが続けてそう言った後、俺は直ぐに外に飛び出し、黒く染まっていく空を呆然と見上げた。
俺に続くように他のメンバーが外に出てきて同様に空を見上げると、更にヨロヨロと他の生徒たちもそれに続いて出てくる。
黒いモヤにすっかり空が覆われてしまった頃、今度はそのモヤの塊が正門の方の上空に浮かんでいる事に気づき、全員が一斉にそれを見つめた。
するもそのモヤモヤしたものは次第に形を形成していき────あっと言う間に見覚えのある形へと変わっていくのが目に映る。
「……蝶。」
メルがボソッと呟くのと同時に周りからは大きな悲鳴が上がり、不安と恐怖でパニックに。
絶えず流れてくる気持ち悪い気配はグンッと大きくなり、俺はお辞儀をする様に体を前に倒した。
キモチワルイ。
コワイ。
これはヤバいヤツ。
情けなくも冷や汗と悪寒、震えは止まらず、ブルブルと体と尻尾を震わせながら必死に恐怖する心と戦うが、獣人本来の感覚が邪魔して上手くできない。
早く逃げろ。
こんな化け物、どうすることもできないだろう?
戦おうとする心に次々と囁かれる声により、とうとう尻尾はくるんっと丸まり降参を告げてしまう。
生まれて初めて出会うその存在感に完全に飲まれそうになった、その時、一人の生徒が大声で叫んだ。
「……呪い……呪いだわ!あの黒い蝶も周りの黒いモヤも全部っ……!!
あんなモノ、どうしようもできないじゃない!!」
恐らくは解析系の資質の生徒だろう。
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