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第二十四章
823 何があった??
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(マリオン)
~呪災の卵孵化前、学院内の貴族専用食堂にて~
いつもと変わらぬ学院内のランチの時間。
俺はいつもお馴染みのメンバーである4人と共に【貴族専用食堂】の外にあるテラス席にて、優雅な一時を過ごしていた────と言いたい所だが……。
イライラ、イライラ!
言葉に出さずとも分かるくらい険悪な顔と雰囲気を醸し出し、更にはそのイライラを手に持っているパンにぶつける様に、ちぎっては乱暴に口に入れ、ちぎっては乱暴に口に入れ……そんな俺の様子を全員が苦笑いしながら見守っていた。
・・
「マリオン様……そんなに気にするの辞めましょうよ。アレは昔からあんなですし……。」
見かねたメンバーの一人────薄い栗色の長い髪を後ろに一つに縛り、穏やかそうな顔に柔らかい物腰、まさに優男というイメージがピッタリの<フリック>が、なだめる様に手を振りそう言った。
<フリック>は、魔道具の販売などでは最大手と言われる【レイゼン商会】を自ら営む子爵家<レイゼン家>の一人息子だ。
小学院からの付き合いのこのメンバーの中でも、最古の付き合いであり、幼なじみと言っていい仲である。
「これを気にせずにいられるか!日に日に図々しくなっていく、あのくっつき黒虫め!!」
フリックになだめられても全く気は収まらず、キーキーと騒ぐ俺を見て益々仲間たちの苦笑いは深いものになる。
フリックはその中で、ふぅ……とため息をついた。
「まぁ、確かに最近遠慮がなくなってきたとは思いますが、ボクにはアレがリーフ様のテイムモンスターにしか見えないんですよね~。
だからあんまり気にしない方が、良いと思いますよ。ほら、僕のテイムモンスターの<コロちゃん>も、毎日ブラッシングして~ってじゃれてきますし……。」
フリックは膝の上で気持ちよさそうにまどろんでいる、中型犬ほどの大きさの兎型テイムモンスターを撫でてニコニコと笑う。
「…………。」
俺はフリックのテイムモンスターをチラッと見て、そのもふもふとした愛らしい姿と比べ、だいぶ大きくガッチリしている愛らしさの欠片もない憎き黒虫を思い出し『どこが同じだ!!』と内心吐き捨てた。
毎日毎日リーフ様のまわりをベタベタとくっついて回っているお邪魔なひっつき黒虫レオンは、今日も今日とて絶好調であった。
まずは午前中の【特急組】の授業。
見たくもないのに、絶対に目に入る場所にリーフ様とヤツの席があるが、まぁそれは別にいい。
しかし、その席が二つではなく一つで、更にリーフ様の方がテイムモンスターの様に抱っこされている姿は見たくない。
それを死ぬほど我慢して我慢して見ないように授業を受けているのに、あの黒虫は鼻先をリーフ様の頭にくっつけワシャワシャしたり、スンスン匂いを嗅ぎ回ったり……。
手をモミモミしたり、スリスリしたり、腰辺りを擦ったり、ペタペタ触ったりと、正直普通じゃない行動ばかりしてくるものだから意識にチョイチョイ入ってきてしまう。
うっとおしい!
気持ち悪い!
忌々しい!!
思いつく限りの暴言が一瞬で浮かぶほど不快を感じているのに、意外にも周りの者達は、そんなに気にするような様子はなかった。
それこそフリックの様に『テイムモンスター』だの、他にも『高性能魔道具』だの『最新型肌色ゴーレム』だのと、おおよそ人間として認知されていないため、気にならないそうだ。
更に最近ではそんな気味の悪い事をされて可哀想でしかないリーフ様を『羨ましい♡』と言う女生徒たちまでいるのだから、本当に信じられない!
ギシギシ…………!!
怒りと憎しみが抑えきれずに歯ぎしりしながら、食べかけのパンをギュム~ッ!と握りつぶしそうになり、慌てて手の力を抜いた。
すると力が入った事でせっかくのふわふわパンが一回りくらい小さくなってしまったのを見下ろし、更に怒りがブワッと湧いてくると……そのまままた乱暴にちぎって口の中に放り込んだ。
そんなトンチンカンな認識しかしてない周りの者達だったが、たった二人だけ俺と同じく強い違和感を感じている人物達がいる。
それがアゼリアとクラークであった。
普段は全く気が合わない犬猿の仲と言って良い二人だが、何故かこの事に関しては妙に気が合い、隙あらばチクチクグサグサと黒虫に意義を申し立てていた。
アゼリアに関しては、まぁ分かる。
アゼリアは元々バカ正直と言うか、融通が効かないイノシシ女であるため、あの風紀乱れる行為が癇に障っているのだと思われる。
しかし、意外だったのはクラークの方だった。
クラークは、基本自身の家に関しての事や魔法の事にしか興味がなく、それに関係ない他の事に関しては当たり障りがない対応しかしない男だったからだ。
それこそ貴族なら大なり小なり皆そうであろうが、その中でもクラークは、人一倍自身の心の内を晒すのを酷く嫌がるヤツだと思っていたため、最初は不快を隠すことなくレオンに嫌味を言い出した事に少々驚かされた。
特に最近の条件反射の様に感情を剥き出しにして噛み付く姿を思い出し、ふ~む?と少々考え込んでしまう。
何かしら、心境の変化を起こすような事でもあったのか……?
~呪災の卵孵化前、学院内の貴族専用食堂にて~
いつもと変わらぬ学院内のランチの時間。
俺はいつもお馴染みのメンバーである4人と共に【貴族専用食堂】の外にあるテラス席にて、優雅な一時を過ごしていた────と言いたい所だが……。
イライラ、イライラ!
言葉に出さずとも分かるくらい険悪な顔と雰囲気を醸し出し、更にはそのイライラを手に持っているパンにぶつける様に、ちぎっては乱暴に口に入れ、ちぎっては乱暴に口に入れ……そんな俺の様子を全員が苦笑いしながら見守っていた。
・・
「マリオン様……そんなに気にするの辞めましょうよ。アレは昔からあんなですし……。」
見かねたメンバーの一人────薄い栗色の長い髪を後ろに一つに縛り、穏やかそうな顔に柔らかい物腰、まさに優男というイメージがピッタリの<フリック>が、なだめる様に手を振りそう言った。
<フリック>は、魔道具の販売などでは最大手と言われる【レイゼン商会】を自ら営む子爵家<レイゼン家>の一人息子だ。
小学院からの付き合いのこのメンバーの中でも、最古の付き合いであり、幼なじみと言っていい仲である。
「これを気にせずにいられるか!日に日に図々しくなっていく、あのくっつき黒虫め!!」
フリックになだめられても全く気は収まらず、キーキーと騒ぐ俺を見て益々仲間たちの苦笑いは深いものになる。
フリックはその中で、ふぅ……とため息をついた。
「まぁ、確かに最近遠慮がなくなってきたとは思いますが、ボクにはアレがリーフ様のテイムモンスターにしか見えないんですよね~。
だからあんまり気にしない方が、良いと思いますよ。ほら、僕のテイムモンスターの<コロちゃん>も、毎日ブラッシングして~ってじゃれてきますし……。」
フリックは膝の上で気持ちよさそうにまどろんでいる、中型犬ほどの大きさの兎型テイムモンスターを撫でてニコニコと笑う。
「…………。」
俺はフリックのテイムモンスターをチラッと見て、そのもふもふとした愛らしい姿と比べ、だいぶ大きくガッチリしている愛らしさの欠片もない憎き黒虫を思い出し『どこが同じだ!!』と内心吐き捨てた。
毎日毎日リーフ様のまわりをベタベタとくっついて回っているお邪魔なひっつき黒虫レオンは、今日も今日とて絶好調であった。
まずは午前中の【特急組】の授業。
見たくもないのに、絶対に目に入る場所にリーフ様とヤツの席があるが、まぁそれは別にいい。
しかし、その席が二つではなく一つで、更にリーフ様の方がテイムモンスターの様に抱っこされている姿は見たくない。
それを死ぬほど我慢して我慢して見ないように授業を受けているのに、あの黒虫は鼻先をリーフ様の頭にくっつけワシャワシャしたり、スンスン匂いを嗅ぎ回ったり……。
手をモミモミしたり、スリスリしたり、腰辺りを擦ったり、ペタペタ触ったりと、正直普通じゃない行動ばかりしてくるものだから意識にチョイチョイ入ってきてしまう。
うっとおしい!
気持ち悪い!
忌々しい!!
思いつく限りの暴言が一瞬で浮かぶほど不快を感じているのに、意外にも周りの者達は、そんなに気にするような様子はなかった。
それこそフリックの様に『テイムモンスター』だの、他にも『高性能魔道具』だの『最新型肌色ゴーレム』だのと、おおよそ人間として認知されていないため、気にならないそうだ。
更に最近ではそんな気味の悪い事をされて可哀想でしかないリーフ様を『羨ましい♡』と言う女生徒たちまでいるのだから、本当に信じられない!
ギシギシ…………!!
怒りと憎しみが抑えきれずに歯ぎしりしながら、食べかけのパンをギュム~ッ!と握りつぶしそうになり、慌てて手の力を抜いた。
すると力が入った事でせっかくのふわふわパンが一回りくらい小さくなってしまったのを見下ろし、更に怒りがブワッと湧いてくると……そのまままた乱暴にちぎって口の中に放り込んだ。
そんなトンチンカンな認識しかしてない周りの者達だったが、たった二人だけ俺と同じく強い違和感を感じている人物達がいる。
それがアゼリアとクラークであった。
普段は全く気が合わない犬猿の仲と言って良い二人だが、何故かこの事に関しては妙に気が合い、隙あらばチクチクグサグサと黒虫に意義を申し立てていた。
アゼリアに関しては、まぁ分かる。
アゼリアは元々バカ正直と言うか、融通が効かないイノシシ女であるため、あの風紀乱れる行為が癇に障っているのだと思われる。
しかし、意外だったのはクラークの方だった。
クラークは、基本自身の家に関しての事や魔法の事にしか興味がなく、それに関係ない他の事に関しては当たり障りがない対応しかしない男だったからだ。
それこそ貴族なら大なり小なり皆そうであろうが、その中でもクラークは、人一倍自身の心の内を晒すのを酷く嫌がるヤツだと思っていたため、最初は不快を隠すことなくレオンに嫌味を言い出した事に少々驚かされた。
特に最近の条件反射の様に感情を剥き出しにして噛み付く姿を思い出し、ふ~む?と少々考え込んでしまう。
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