【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十五章

(ゲイル)849 ゲイルの思惑

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(ゲイル)

【街の中央広場、噴水前、呪災の卵孵化前】

「ガ────ハッハッ!!楽勝すぎて笑いが止まらねぇな~!」

イシュル神の像が中央に立つ大きな噴水の前で、家具屋からパクってきた大きなソファーにドドン!と座り込み、大きな声で高笑いをする。

「そうっすね!」

「やりましたね、ゲイルさん。」

その場にいる二人の仲間達がニヤニヤしながら俺に言ってきたため、同じくニヤつきながら前に置かれたテーブルに足をダンッ!と置いた。

テーブルの上には今回合図があるまで守る様に指示された『聖浄結石』と、宝石店から盗んできた宝石や貴金属類が山の様に積まれているため、それが足を置いた振動でガシャンっ!と大きな音を立てる。
そして俺はテーブルの上でガタガタと揺れる『聖浄結石』に目を向けた。

「こ~んな石ころを守るだけで俺は貴族になれるんだぜ?更には有り余る程の大金といい女も!人生ちょろすぎんだろ~。
勿論クラスの奴らにもこれから美味しい思いをさせてやるから、楽しみにしてな。」

ニヤニヤしている仲間二人に視線を向ければ、二人はギラついた目でそれに答えた。

◇◇
元々傭兵をしていた俺、ゲイルはそこでそこそこ活躍をしていたのだが、ある日自分の成長に壁を感じる様になった。
ある程度まではさして努力もせずにサクサクと行けたのだが、その立ちふさがる壁達を見る度に、努力してその壁を越えていく事に大きな嫌悪感を持つ。

何故かって?
だって自分が苦しい思いをしてまでその壁を登らなくたって、誰かを踏み台にすればそんな壁は楽々登れちまう事を知っていたからだ。

最初は確か……そうそう、<モーニング・スターベア>を初めて単体で討伐した時だったか……?
そのモンスターはCランクであるため非常に強く、偶然居合わせてしまった当時の俺達パーティーは、戦闘を離脱するため死にものぐるいで戦いながら逃げ出すタイミングを計っていた。

あ~……このままだとやべぇな~……
こんなモンスターと遭遇するなんてついてねぇ。

そんな事を考えながらポチポチと後方で戦闘に参加していたその時、突然フッ……と名案を思いつく。

──────こいつらを犠牲にすればいいんじゃね?

そう思いついた俺は直ぐに必死に戦う仲間達の背後から攻撃し、モーニング・スターベアに全員食わせてやった。
するとどうだ?
なんとあんなに強くて討伐が困難なモーニング・スターベアが何の苦労もなく倒せてしまったのだ。

こんな簡単な事で人生をイージーモードにできるなんて……!

多分今までの人生の中で一番感動した。

それから俺は同様の方法で手柄を立てていったが、傭兵は元々己の腕のみでのし上がっていく、いわば完全なる実力重視の世界であったため新人だろうが強い奴は強い。
そのため中々上手く陥れるのが難しくなってきた頃、更に厄介な奴に目をつけられてしまった。

<オーガ落としのアントン>
                                そんな二つ名を持つ凄腕のSランク傭兵と依頼の現場が被った時、いつも通りのやり方で依頼を達成しようとしたが見つかり、その場で殴り飛ばされてしまう。
結局その時は証拠がなく、何とか逃げる事ができたのだが……それからというものそいつが目を光らせていたため仕事が全くできなくなり、逃げるように傭兵ギルドを脱退し、その後は冒険者ギルドへ登録し冒険者としてやっていく事にしたのだ。

当時は腸が煮えくり返る思いだったが、結果的にはその選択は大正解。
なぜなら冒険者達の方が傭兵よりも扱い安い奴らが多かったから。

俺は早速いつも通りのやり方で上手く上にのし上がり、その内同じ様な気質の仲間を集め、とうとう巨大クラスまで持つほど成長を遂げた。
これからもっともっとクラスを大きくしてあのクソ気に入らねぇSランク傭兵に復讐してやる!
そう思っていたのだが、そこであの化け物小僧の出現だ。
あの忌々しいクソガキの顔が頭に浮かぶと、ブチブチ────ッ!!と青筋が額中に広がっていく。

俺がこのグリモアにくる前、その当時のグリモアは徐々に増えていくモンスター被害によって疲弊し始めた頃だったが、その話を耳にいれて俺が思った事と言えば────まぁ精々『ご苦労さま~♬』くらい?
自分には関係ないし?誰がどうなろうとどうでも良かったので特に思う事はなかった。

物資の流通は滞り、モンスターによるけが人多数。
対応が間に合わない守備隊、人手不足で依頼に手が回らない各戦闘系ギルドに、圧迫する病院施設に教会……。
そんな話も全てどうでもいい話として右から左に流していたが、そんな中で指名依頼として俺のクラスに出されたのが『グリモアへの救援派遣依頼』だ。
しかもそれを指名してきたのがあの公爵家の<メルンブルク家>だというのだから、流石にビビってしまったが────そんな高位貴族からの美味しい依頼なら受けないわけにはいかないと、結局は二つ返事でその依頼を受けた。

そうしてグリモアにクラスで派遣された、俺と俺のクラス。

さぁ、どうやったらこの状況を最大限に利用して儲けられる?
それをよく考えて初めてしたことは、討伐したモンスターの素材売却のセーブだ。
これにより街の奴らの生活をひっ迫させ、明確な上下関係を築くのが目的で、その素材を売って欲しい飲食店などは思惑通り逆らう事が出来ずに徐々に口を閉ざしていった。

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