【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十六章

(サイモン)879 普通と奴隷

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(サイモン)
                    
「……そう。奴隷に受験させるなんて、随分とがお好きな方なのね。
恥をかかせて笑うつもりかしら?」

不快を隠す事なくそう言うリリアに負けず、僕も同じ感情を顕にしてリーフ様の情報が書かれた紙に視線を向ける。

『奴隷は主人の所有物』

勿論奴隷精度はこのエルフの国<レイティア>にも存在している。
このリーフ様の奴隷も、主人であるリーフ様には逆らえず無理やり受験させられるのだと思うが、その事から恐らく年齢は同じ年、そして問題は何用の奴隷として買ったのかという事。

奴隷という広い意味で使われる身分の名前の中には、いわゆる階級の様なモノがあって、ダントツに身分が低いのは【犯罪奴隷】だ。

重犯罪を犯した者達は全員この身分を与えられ、大抵は過酷な危険鉱山送りか魔素領域との境界線へ送られるが、借金をした事で奴隷になってしまう【借金奴隷】はそれより階級は上。
更に貴族や富裕層に買われれば、その家の使用人になったり子供の子守人になったりと仕事内容は多種多様だが、それなりの地位は約束される。
他にも戦闘資質持ちなら戦闘要員として買われたり、護衛や守衛など、人としての最低限の生活は送れる者達も多いし、まれに外見が良ければそのまま愛人として囲われ普通以上に贅沢な暮らしをさせてもらえる者もいる。

しかし奴隷を中学院に入れようとするなど聞いたことがない。
連れて行くなら、別に所有物として学院に連れて歩けばいいのだから。

「確かにぃ~リリアの言う通り、恥をかかせて笑うつもりじゃないかな?
それか、自分の実力が足りないのを隠すための引き立て役とかにするつもりじゃないの~?
コンプレックス擦れ過ぎ、陰湿タイプ~。」

ゲゲゲ~と嫌そうに眉を潜めると、リリアは突然険しい表情になってポツリと呟いた。

「……もしかして愛人目的で買った可能性もあるかもね。
貴族は成人前にそういった存在を与えて遊ばせるって話も聞くわ。
可愛い愛人にいいところを見せたくて無茶している……とか?」

「うっわ!なにそれ、最低~。」

どんどん悪い妄想で膨らんでいく『リーフ様像』に、二人同時にため息をつくと、僕は手に持つ紙をバサッ!と上に投げた。
正直いいイメージが何も浮かばないが、結局は会ってみないと分からない。

「まぁ、本当にそうなら騙しやすそうだねぇ~。
人を外見で判断して態度を変えるヤツの方が簡単だもん。
せいぜい持ち上げて利用するだけしたら~……────ポイッ!……してやろ~っと。」

ウキウキしながらそう言うと、リリアは「程々にね。」と言ってニヤッと笑った。

そしてライトノア学院の受験日当日────……早速ターゲットである『リーフ様』を発見して、まずは遠目から観察してみたが、まぁ一言で言うと本当に『普通』。
何一つ突出したものは感じない。
寧ろ────……。

僕はリーフ様の隣に立つ、黒いフードを被った大きいヤツ、『リーフ様の奴隷』の方へ視線を移した。

「……う~ん……男だし愛人じゃなさそうだねぇ~。リーフ様よりかなり大きいし……。それに……何か気配が変……??」

何とも言えない違和感に首をぐい~と傾けると、リリアも難しい顔をして考え込んだ。

「私もそう感じたわ……。何かあの黒いフードの男の人、変よ。
でも、何が変か分からないわ。」

完全に顔も隠れていたが、遠目から見てもかなり鍛えていそうな身体と骨格の感じからして男である事は間違いない。
辛い目に合わされているか弱い女の子ではなかったため、そこはホッと胸を撫で下ろした────が……結局男でもひどい目に合わされている可能性もなくはない。

そう思った僕は直ぐに行動を起こし、わざとぶつかってキッカケを作ってやろうと思ったのだが、何とそれを奴隷の方に防がれ派手に倒れてしまった。

計画は狂ったが、まだまだ無問題!

そこでムクッと起き上がり、渾身の可愛いアピールをしてみたが、何とも反応は普通……。

ぜ、全然靡かな~い!!

更に続くリリアの魅惑のボインボインになら……っ!!と期待をしたが、これまた完全『普通』……。
その時点で、あれ……??と釈然としない気持ちになる。

「…………?」

そう思ったのはリリアもだったらしく、う~ん……と考え込んでしまった様だが、直ぐに体剣術の試験の説明が始まったので、一旦それを保留に。
大人しく試験の説明を聞いていると、突然要注意人物リストに入っていたマリオン様が、リーフ様の奴隷に対し黒フードをとるべきだと訴えた。
確かに、何でそんなに顔を隠すのか??と疑問に思っていたので『ラッキー!』と内心ほくそ笑む。

どんな顔してるんだろう?
よほどの美形で、周りに見せたくないとか?

不謹慎にも、ワクワクしながら見守っていたが……黒いフードをとった瞬間、そんな感情は遥か彼方まで吹っ飛び、恐怖でガチガチに固まってしまった。

見たことがない程真っ黒な髪に、まるで呪いを一身に受けた様な恐ろしい顔貌……。

固まる僕たちの周りでは殆どパニックが起き始めていて、勿論受験どころではない程の騒ぎになってしまった。
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