【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十六章

(サイモン)885 お決まりのパターン

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(サイモン)

「本当によく回る口だなぁ?でも別に俺のやり方は間違ってねぇだろ?
いくら実力があってもなくても、世の中は人を上手く利用したモン勝ち。
それを知らずにアホみたいにキラキラした目で前へ進もうとする奴らに、俺は現実ってヤツを教えてやってるんだよ。」

ナックルの口からはボタボタと血が流れ落ち、確実に瀕死状態だというのに余裕がある。
それが何故か分からずリリアと共に警戒していると、ナックルはそんな僕達を見てより一層笑みを深くした。

「俺はよぉ、これからもそういう奴らを踏み台にして先へ進むぜ? 
だってそれが人の『正しい』生き方だからな。
世の中はそうやって『踏み台になるヤツ』とその踏み台に上って『先に進むヤツ』の2つしかいねぇんだ。
だから、お前たちにはこの俺の『踏み台』になって貰わなきゃ困るんだよ。
それに────あのクソガキもな。」

ナックルは胸元の裏ポケットへ手を伸ばし、そこから黒いビー玉の様なモノを取り出すと、そのままゴクリッと飲み込んだ。
すると、その途端に魔力がブワッ!と体から吹き出す様に立ち上り、瀕死だった傷がたちまち治っていく。

「えぇ~────……何、あれ?<強善薬>?それとも回復系の何か?
でも、色が黒いのなんてあったかな?」

ナックルの周囲に発生した強い魔力により風が吹き付け、片手でその風よけを作りながらリリアに話しかけると、リリアは眉を寄せ険しい顔を見せた。

「アレは<強善薬>なんかじゃないわ。
……黒幕は随分手の込んだモノを作ったみたい。
────兄さん、あれは<強善薬>じゃないけど、飲み込んだ人をパワーアップさせる効果があるの。ちょっと面倒ね。」

リリアはスキル<錬合魔力探知>を発動し、その黒い謎の薬の正体を解析した様だ。
リリアのこのスキルは人の手が加わったものしか解析できないため、恐らく誰かが創り出し渡したもの、かつ恐らく効果はパワーアップだけではない。
何となく展開が読めて、僕はフフッと笑ってしまった。

「なるほどねぇ~。うんうん。悪い奴らって皆同じ考えだもんね。
でも、文句は言えないよねぇ?
人を踏み台にするなら、自分が踏み台にされてもさ。
自分がした事しか返ってこないよ、人間はさ。」

不誠実には不誠実を、敵意には敵意を、そして忠義には忠義を。
それを覚悟して生きていく事。
多分これを都合よく一方通行にしたがるなら、それを『悪』と呼ぶのだと僕は思う。
僕のポツリと呟いた言葉など一切聞いてはいないナックルは、自分の体から溢れんばかりに吹き出る『力』に夢中になっている様で、突然大声をあげて笑い出した。

「は……はははは……クッ……アハハハハ────!!!!
何なんだよ!!この力はよぉぉぉ~!!こりゃ~最高だ!!
なぁぁぁぁ~んだぁぁ~こんな力があるなら、別にぃぃ~?周りの奴らなんて使わなくてもいいんじゃねぇのぉぉ??
これならお前らもそのクソガキもぉ~簡単にぶっ殺せるぅぅぅぅ~~!!!きんもちいぃぃぃぃぃ~~────!!!」

ナックルの目は血をぶちまけた様に真っ赤に染まっていて、顔と体中にはドクンっドクンっと拍動する太い血管が蜘蛛の巣みたいに走っている。
うわっ、見るからにヤバそう……そう思った瞬間、ナックルが視界から消えた。

一体どこに!?

慌てて周りをザッと見渡すと、奴はリリアの目の前に一瞬で現れる。

「リリアっ!!」

僕が叫ぶとリリアは直ぐに、前方にスライム結晶を作り出したが、ナックルはサーベルを構え、ニヤぁぁ~と笑みを浮かべた。


<曲剣士の資質>(ノーマル固有スキル)

<打衝剣(強)>

剣でありながら繰り出される打撃属性の非常に強力な攻撃。
スピードが速いほどその威力は増す。
(◆◆◆の効果により一時的に威力が極大UP)
(発現条件) 
一定以上の攻撃力、スピードを持つ事
一定回数以上剣での戦闘を経験する事、かつ打撃系攻撃で戦闘に勝利する事( パーティーでの達成可 )


横に振られた剣はリリアのスライム結晶を打ち砕き、その衝撃によりリリアは横にふっ飛ばされてしまう。

「────っう……!」

リリアのうめき声を聞き、ナックルは笑いながら追加攻撃をしようと吹っ飛んでいった方向へ先回りし足を振り上げたが、その前に僕はスキル<猫の忍び足>で移動。
その攻撃をタガーで受け止め、そのまま激しい剣のラッシュが続く。

「……っ!!反則でしょ~!こんなのぉ~。全く、悪役って絶対裏技みたいの使ってくるから嫌なんだよねぇ!!」

「ハッハッハ────!!!ほらほらぁぁ~?どうしたぁぁぁ??さっきの余裕がなくなってんぞぉぉ?
スピードは同等でもパワーは、こっちが上みてぇだな。
このままじゃあっという間に真っ二つだ────ぜっ!!!!」

ナックルは物凄いパワーで僕のタガーを一本弾き飛ばすと、そのまま間合いを一気に詰めてきた。
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